VRMMO買ったんだが。
はい。諸事情により移転しました。
これからはこっちの方で上げていくんでお願いしますね。
「なッがい行列だな二時に来てこれかよ」
「ほんとだわ、さっき来たのに最後尾が点になってるよ。起こしてくれた未来に感謝だわ」
「ホントだよ、お前俺が行かなかったらずっと寝てたろ」
「いやー夢の中でゲームしてて」
衝撃の発言。
夢の中でまでゲームするとか、こいつの脳休んでないんじゃないか・・・?
普通に心配なんだが。
「まあなんだ、お前が買えなかったら一緒にプレイするやつが居なくて悲しくなるからな。つまり俺個人のためでもあるわけなんだよ。それにそのゲーム、βテスターが悲鳴上げてたらしいしな」
「なるほどなー、確かにPV見てた限りだと難しそうだったもんな」
「ほんとそれ、とりあえず操作難しそうな種族は無しな」
「えーそんなん言ったらヒューマンぐらいしかねーぞ、そういうゲームは難しいキャラで「こいつできるッッ!!!!!」って言わせんのが楽しんだろー?」
「あのなあ、俺はお前見たく器用でもないんだよ!あんま過大評価してると照れるぞ」
「おう!照れろ照れろ、それにお前絶対強いぞ?この前もスマフラで負けかけたし」
「だからあれはまぐれだって・・・」
「おっ、そろそろ開くんじゃないか?」
咲真が近くの公園の時計を指差す。
確かに、俺の調べたところによるともうすぐ開店だと思うんだが。
「大変長らくお待たせしました。まもなく開店でございます」
不意に店から出てきたお姉さんがそう述べた瞬間に辺りが騒々しくなる。
中には雄叫びを上げているものも居るほどだ。
「すっごいな・・・」
「そりゃあな、VRMMO日本初上陸だからな」
「お前は叫ばないのか?」
「・・・あのなあ、さすがの俺でもあんなにはならねえよ・・・」
「そうだったのか、初耳だ」
「お前ナァ」
「すまんすまん、冗談だよ」
「ったく」
茶番をしているうちに列の先頭が近づいてきている。
一歩、また一歩と近づいていく度に感動が俺を包んでいく。
「大変長らくお待たせしました。色は赤、青、黒と白のミックスがございますがどちらにいたしますか?」
やっとついた。
店員さんは笑顔で接客している。少々作っている感じはするが・・・。
「色か・・・咲真はどうするんだ?」
「へっへっへ実はもう決めてんだよな」
「へー!で?どれにするんだ?」
「これだ!」
咲真はそういいながら黒と白のミックスを指差す。
ふむ、確かにかっこいい、が俺の好みではないな。
「じゃあ俺は赤にするかな。同じ色だと分かりずらいし」
「あー確かになんかすまんな」
「いいよ別に俺はゲームがしたいだけだし」
「あんがとな」
「おう・・・じゃあこの黒と白のヤツと赤いのでお願いします」
「かしこまりました、では合計八万八千円になります」
うぐっ、財布に結構くる・・・。
俺は会計を済ませ片方の袋を咲真に渡す。
というか、この会社凄いな。その場で渡してる。
直接対応してて本当に間に合うのだろうか・・・?
「なあ未来、帰ったらどうするよ、早速やるか?」
「やるつってもサービス開始してないんだから出来ねえだろーが、今日はキャラクリして終わりだ」
「あー・・・そういえばそうだったな、早くしてーなー」
「そうだ、種族の話、まだ終わってねーぞ」
「そういえばそうだったな、でもお前ヒューマンはまじでおススメしないぞ」
「はあ?ヒューマンってこういうゲームでは定石だろ?」
「だーかーらー定石だからつまんないって言ってんの」
「んーつまりどういうことだ?」
「まあ簡単に説明するとだな、ヒューマンは視聴者にウケナイんだ」
「・・・はあ、その口振りだと俺がお前の動画に出るみたいじゃねえか」
そう、こいつは動画配信者だ、何でも結構有名な方らしい。
ちなみに俺はデータ入力の仕事をやっている。サイトと専属契約を取っていて、結構収入は安定しているほうだ。
つまり俺は殆ど外出する必要が無いので、日中仕事漬けになれば夜中は遊び放題と言うわけだ。
かといって俺はコミュニケーションに問題があるわけではない、現に今咲真と話しているし、一軒家を二人でシェアしたりもしない。だからその辺は勘違いしないで欲しい。
そして今のうちに言っておくと俺と咲真は『ハウスメイト』というやつだ。
何故そんなことをしているのか、理由は簡単で明白、自分が払うお金が減るからだ。
「・・・この手のゲームってスゲェうまい人とか面白かったりすると視聴者は増えるんだけど、グダグダだったりありきたり過ぎたら視聴者が離れて行っちゃうんだよー!かといってゲーム実況者がこのゲームをしないわけにもいかないんだよ、だからさ、お願い!」
「何か親友に金貸してって言われてる気分だ」
「そこをなんとか!このとーり」
「・・・はあ仕方ないなあ、まあ俺も家賃払われないと困るしな、ヒューマン以外のにしてやるよ」
「まじ?!ほんっと助かるよ」
こんなのでも咲真は親友だ困っているのならば助けなければならないだろう。
ちなみに家賃払われないと困ると言うのは建前だ。
そんな感じで歩いていると心なしか人が増えてきているような気がする。
それも若者ばかり。
「なあ咲真、何か人集まってきてねえか?」
「ん、確かに、何か多いな」
俺が咲真と話していると女の子達が話しかけてくる。
パッと見高校生ぐらいだろうか。
「すいません、サク焼さんですか?」
は?何だそのサク焼とかいうイカれた名前のやつは。知らんぞそんな奴。
「うん、そうだけど、何か用?」
「ホラっーー!絶対そうだと思ったんだって!!写真一緒にとって貰って良いですか?」
「じゃ、じゃあ俺たちも後でいいすか?!」
いやー、控えめに言って最悪だな。
俺、空気見たく扱われるの嫌いなんだわ。
「オッケー、いいよ!」
そのJK達が話しかけたのを拍子にどんどん人が集まってくる。
一体何者なんだよサク焼さん。皮肉を混ぜた目で咲真を見る。
はあ、予想はしていたがこれは凄いな。
現在咲真はイケメンスマイルで神対応中だー。
というかこれは結構どころではないだろ、ものすごい有名人だろ。
こんなんならつまらん動画の一つや二つ上げても「疲れてるんですか?しっかり休んで毎秒投稿してくださいね」で終わりだろ。
「はあ・・・先に帰っとくかんな!」
「ああ、ごめん」
「いいよ別に、人気者は大変だもんな」
「皮肉にしか聞こえないんだけど」
「はは、その通り、皮肉だよ」
さて、帰ってきたものの何をするか。
俺たちはまだ朝ごはんを食べていない。が、もうすぐで昼だし一緒に済ませればいいだろう。
今日は珍しく仕事が少なかったため昨日のと一緒に終わらせてある。
つまり俺はもうすることが無い、いや、もう一つあった。
「キャラクリ、終わらせとこうかな・・・」
いや、あいつは配信者だし未開封の物を動画にしたいだろう。
仕方ないからそれはしないでやることにする。
「溜まってる録画、見るか」
・
・
・
これで録画三つ目だ。時計はもう一時を過ぎている。
やっぱり木曜日のタウンダウンは面白い。
テレビを見て馬鹿みたいに笑っているとドアの開く音がした。
咲真が帰ってきたんだろう、袋の擦れる音と足音が台所に入っていく。
「お帰り咲真」
「うん、ただいま、待たせたお詫びにお前の好きな唐揚げ弁当買って来たぞ」
「まじ?待ってた甲斐があったってもんだわ」
「あれ、まだ開けてないのか?」
「ん?ああお前もどうせ動画にするなら未開封のほうがいいだろ?」
「おおお!良く分かってんじゃん、マジで助かるよ!あんがと!」
「何か今日、お前にお礼言われてばっかの気がするわ」
「俺も、お前にお礼言ってばっかの気がするわ」
「ん、よし!じゃあ朝飯兼昼飯だ!」
「おーーー!」
そういうと咲真は暖めていた弁当たちを取り出し持ってくる。
席に座って俺に唐揚げ弁当を渡し自分の豚カツが乗った弁当を開けて続けざまにパソコンを開いている。
「何か調べもんか?」
「いや、今のうちに攻略サイトでも立てようと思って」
「ふーん、デザインはどんな感じにするんだ?」
「っふっふっふうー、それがもうフォロワーの絵師さんに頼んでるんだよね」
「仕事が早えーな」
「まあね、こうやってしとくと何かと便利だし」
「でもお前、運営とかできんのか?いっつも編集とかで忙しそうだし」
「そっちも大丈夫なんだよなー、サイト運営したい人って募集掛けたら三人の人からメッセきたから今その人たちにも権限渡してるんだー、これで基本的な情報はあの人たちが掲載してくれるし、ちゃんと掲示板も用意してるし、特別な情報は俺が直接書き込めばいいしな」
「でもそれ大丈夫なのか?その人たちにサイト伝って色々されたりしないのか?」
「その辺も大丈夫、最近結構性能のいいセキュリティアプリ買ったからね」
「ホントお前仕事速いのな」
「えっへっへ」
あっ、ちなみに俺は唐揚げが大好きだ。
うん、唐突過ぎて自分でもなに言ってるか分からんくなってきたよ。
「ご馳走様でした!」
「食べるの早いね」
「いつもの事だろ、そんなんで驚くな」
「じゃあこれ以上未来を待たせんのも悪いし、さっさと動画撮ってくるわ」
「ああ、さっさとしろよ?」
「すぐ終わるさ」
咲真が階段を上っていく。
「うおっ」
いつの間にか咲真の弁当は空になっている。
お前も十分早いじゃねえか。
二階からは挨拶をかましている咲真の声が聞こえてくる。
「片付けるか・・・」
立ち上がって空になった弁当を持って台所へ向かう。
動画の収録は十五分ほどで終わるらしい。
やっぱり時間がかかるのは編集らしい。
今回は編集は後でするらしいが。
「いつもどおり、うっさいな」
二階では咲真が暴れているのだろう。
凄いほど物音がしている。
「いつか壊れんじゃないのか?この家」
するといきなり物音が止む。
収録が終わった証拠だろう、きっと今頃、世間話とか攻略サイト作ったみたいな宣伝してんだろう。
はあ、一度あいつの動画を見てみようか、どんな出来か気になってきた。
「よっしゃー終わったぞ未来」
「今日は結構早いんだな」
「そりゃ今回は買ったって報告して開封して終わりだからね」
「そっか」
「そうそう、ハイこれ、赤いヤツ、黒白もいいけど、これの光?がすっげえかっけえんだよ」
「光?このへこんでる部分か?」
「そうそれ!超ハイテクって感じだぜ」
「ほーん、お前のは?」
「俺のはこんな感じだ」
咲真は電源ボタンを押して俺に見せ付ける。
「おおっ、予想以上に凄いな、これ」
「だろ?特にこのグラデーションが最高なんだよ」
「じゃあ俺のはどんな感じなんだ?」
「そっちもめちゃくちゃすげーぞ、なんかこう・・・まあとにかくすげーんだ」
「お、おう」
俺も電源ボタンを押す。
少しずつ光が広がっていって全体が光る。と、光が消えて別の場所から少しずつ光が広がっていく。
これを何度か繰り返している。
「なんかこれみてると青のがどんなか気になってきたんだけど」
「俺も俺も!調べたら出てくるんじゃないか?」
そういって咲真がパソコンを開く。
「おっ、あったぞこれだ」
そういって俺にパソコンを向けてくる。
これは・・・赤の青い版っていったら伝わるのか。
「赤と同じだな」
「うんそうだね」
「なんか俺のが特別みたいな感じだな」
「性能に変わりは無いだろ」
「まあそうだけどさ」
「・・・よし!キャラクリだ!種族は会うまでのお楽しみな」
「おけー!ヒューマン以外で頼むぞ!絶対だからな!」
「はいはい、分かってるよ」
ちなみに、一つの話で書く字数ってどれぐらいがいいんですかね?
今のところ自分は四千とちょっとくらいで書いているのですが・・・。
まあ自分に合う感じでいいんですかね?