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第七話 誰がために舞う

 奥ノ津は凄惨な状況だった。大雨、雷が鳴り響き、山からは土砂が崩れ、川を埋めていた。土砂は村の幾件かを呑みこみ、いまだに鳴動する山のせいで救助はままならない。土にせき止められた水も、いずれは決壊して溢れだし二次被害となる。

 この災害をもたらしたものは一体何か。彰楽子は己のてのひらを見下ろした。生々しく残った、夜伏の肉を断つ感触、被った血の生温かさ。その味。

 この山山は夜伏神やぶせのかみの治める地。彼を傷つけて、無事ではいないというわけだ。山中他界もおそらく、同じように被害を受けている。

 自分たちの思い込みのせいでかつては村を沈め、夜伏のために災禍が引き起こされ……、難儀な村だ、と感情も乏しく彰楽子あきらこは分析する。

「よく戻ったね……」

 社の前で真っ先に引き合わされた祖母は、ぐっしょりと夜伏の血に濡れた彰楽子の姿に卒倒しそうになった。雨のせいで大半が落ちているものの、着物に染み込んだものなどはそう簡単には取れない。両隣から巫女二人に支えられ、真っ青な顔をしている。誰も彰楽子には近寄れず、遠巻きにしていた。夜伏の神威の名残は、村人にとって瘴気に等しい。けれどその中に悪しき蛇神のもとにいた彰楽子に対する好奇が混じっているのもまた事実だ。

「住人たちに、感謝することです。多大な犠牲を払って、お前を取り戻したのですよ。これはお前のせいだということを自覚しなさい」

山が崩れて地鳴りがする。

「お前が荒神などに囚われるから、天津神もお怒りです」

 梓伊那のことは範疇外だが、この災害が彼の神のせいだけではないことは分かる。

(……これは夜伏が苦しんでいるからだわ)

 彰楽子は心中で反論したが、むろん、それを口に出しはしない。村人たちを激憤させるだけだろうし、穏やかなそぶりの下で祖母がどれだけ残酷なことができるか知っていたせいもある。

「……おばあさま、わたしは戻ってきたわ。母さんも父さんも、解放して」

「――よくも図図しく言えますね。お前がお役目から逃げたいなどと思うから、攫われたりしたのでしょう。教育が足りなかったようですね」

 祖母は彰楽子の全身を睨めつけ、長嘆した。

「純潔を守るだけの理性はあったことだけが、救いです。蛇淫に堕ちなかっただけ、褒めてやるべきなのかもしれません。お前は天津神を慰める処女(おとめ)なのですから」

「っ違う!」

 かっと頭に血が上った。止められなかった。

 違う、違う。もう戻れない。虚ろな人形には。夜伏と出逢って、知ってしまった。様々に動く感情を。

「わたしは夜伏のものだったわ!」「彰楽子!」「煩い!」

 直彰に叱責とともに腕を取られたが、彰楽子はそれを振り払う。更に掴まれ羽交い絞めにされ頬を張られた。だが、彰楽子には何の抑止にもならなかった。

ずきずきとこめかみが痛む。本当は夜伏に捧げるべきそれを、事実としての神どころかただの下らない欲望だけの男に与えるのかと思うと彰楽子は堪らなかった。梓伊那しいなが来るのだろうか。けれどどうせ、この身を与えるのは梓伊那自身ではない。夜伏でなければ、誰も同じだ。「この御山も本当は夜伏が治めているのに!」

彰楽子の叫びに呼応するように、どうと土砂が決壊し、水が溢れだす音がした。祖母が蒼白になって巫女たちの腕に縋りながらずるずると腰を抜かして頬を戦慄かせる。

「なんということ、なんと恐ろしいこと……! ここまで穢されていたなんて、可哀想に! 彰楽子、お前は自分が何を言っているか分かっていないのです。ここまで正気を失ってしまっているなんて……!」

 恐ろしい恐ろしいと祖母は呟く。村人からもバケモノのように見られたが、彰楽子は一向に構わなかった。体内で荒れる霊威で冷冷と白く瞳を染め、彼らを睨みつける。

「こ、この子を社に閉じ込めなさい。精進潔斎させ、忌まわしい悪神の名残を消し去りなさい。天津神の機嫌を損ねることがあってはなりません。常時監視をつけ、大祭の日まで、逃がさぬよう……。穢れさえ祓えば、この子も正気に返るはず……!」

 ――外には出さない。

 祖母のその言葉の通り、彰楽子はそれから一年ものあいだ社に幽閉されることになった。外には一歩たりとも出られずに、常に何者かの監視がついた。直彰なおあきの監視は、一層厳しかった。両親は直彰が彰楽子の傍にいることを、ひどく嫌った。

「私たちのせいね……」

 訪ねてくるたび、母は彰楽子に何度も謝った。彰楽子はそのたびに首を振った。違うわ、母さん。母さんたちのせいじゃない。

「母さんたちは、たった一人を選べたんだわ。それはとても、すごいことよ……」

「彰楽子、あなた……」くしゃりと母は顔を歪めた。傷つき果てて泣いていた。彰楽子のひと言だけで、母は十分に悟ってしまったらしい。

「戻ってこなくてもよかったのよ……。他界が、幸せなところだったのなら。私たちのことなんてどうだってよかったのに。……戻ってきたりするんじゃなかった。どうあっても逃げ続けるべきだったんだわ! あなたを売るような、真似をして……!」

「皆が死んでしまうことが、怖かったんだもの。あそこにいたってわたしは幸せにしてあげられなかった。それに、母さんたちは何も間違ったことはしてないわ。もしこの村でずっと育っていたら、きっとわたし、御山になんて登らなかった――」

 夜伏に出逢うことも、なかった。

 生涯でたったひとつの僥倖。それが、夜伏だ。

「それでいいの、彰楽子。諦めてしまうの」「だって、母さん」

 彰楽子はふうわりとわらう。「――奥ノ津の神は、梓伊那神だもの」

 それが彰楽子の習性だ。それしかすべがなかったから、そうしたのだ。この後に及んで、どうしろと。どうしろ、と。彰楽子の言葉は受け入れられなかった。

(――――何をかを望んでいいというの)

 こんな遠く隔たれた場所に来て。もう彰楽子に出来ることは何もないのだ。

「……母さん、それ以上言うなら、咎めを受けてもらうよ。これ以上彰楽子を、村を掻きまわすような真似は止めてくれ。俺たちの正しいあり方を壊そうとするのは」

 母の肩に手を置き、直彰は有無を言わせぬ口調で言う。彼女は拳を握り、怯えの交った瞳で息子を睨んだ。「お前は彰楽子の弟よ……!」

「そうだ。あなたは俺も連れていくべきだったんだ。でもだからこそ、俺を捨ててくれたことには感謝している」

「どういうこと……?」

 何かひどくおぞましい気がして、彰楽子はか細く訊いた。「彰楽子は天津神の巫女だ、ということだ」

 母に向けたものとは違う、優しげな表情が直彰の頬に乗る。

「不安に思うことは何もないよ。怖がらなくても、俺が一緒だから」

 ――違う。

 そうやって蓋をして、このまま過去にしてしまうのか。取り返しのつかない裏切りをした。それで夜伏が心底彰楽子を見限ってくれていればいい。それでいい。そのつもりで、腹を刺した。

けれどまだ、彰楽子にやれることがあるなら。叫ぶことが、許されるなら。

 毎日大祭にむけて神楽の練習をした。舞い踊り、そのとき彰楽子が考えるのは、夜伏のことだ。誰も知らない。これが夜伏神に捧げる神楽だとは。

 どうぞ無事で、健やかで。あなたの御威光が、この先も御山を守りますよう。あなたが矜持を押し込めて、守ってきた世界がこれからも幸いでありますよう。

 夜伏の想いを知っているはずなのに、この災害を引き起こしたのが自分の手だったことに彰楽子は暗雲たる気持ちになる。

 彰楽子が奥ノ津に戻ってから、一ヶ月後にぴたりとすべての天災は止んだ。そのとき彰楽子が能面のような表情のしたでどれだけ動揺したか。

 最悪を考えそうになる自分を叱責し、彰楽子は神楽にだけ集中する。

(だいじょうぶ、だいじょうぶ、だ)

 格子の填まった窓から見える木々はゆるゆると葉の色を変え、季節がひとつ巡り終える。吹き込んでくる風も徐々に冷たさを帯びてきた。秋の大祭が近づく。

 廿年に一度の神事。

 一年も過ぎれば、山中他界での出来事も遠のく。たった三週間余りの記憶だ。なのに彰楽子から、一向にあの世界は遠ざからなかった。男の呼吸、彰楽子への触れかた、口づけ、くれた言葉。思い出すたび、傾く。

 傷がひどくないといい。すこしでもこの神楽が慰めとなればいい。恨まれても構わない。ただ、彰楽子の本心がいまどこにあるか、誰に知られずとも、示したかった。夜伏には届かないかもしれない。それでもこれが誰のための神楽か、彰楽子だけは知っている。

(夜伏神に舞う神楽)

 そして、


   *


 大祭の日が来た。

 神楽のための舞殿が立てられ、紙垂しでが付けられたしめ縄が飾られる。彰楽子も中心となる巫女としてこの日ばかりは外に出された。奥ノ津の神楽は日が落ちてから始まる。まずは宮から仮屋かりやへ主祭神を誘う、神迎えの儀式。これは社の祭殿で、巫女姫ただ一人で舞う。それが終わると、神を連れ、舞殿へ、そこで本格的に神楽が始まり、他の巫女を含め、神官たちの囃子も加わることになる。

 姫面を被り、肩より少しだけ伸びた髪をしなやかに打ち振りながら、彰楽子は舞い踊る。白衣に千早、裾が有り余るほどの長さの緋袴も優雅な足さばきで散らし、ふわりと浮いて白い素足と袴の赤の対比が目に眩しい。

 自身へ絡みつく男の猥雑な視線を振りきるように、彰楽子は神楽鈴を一層強く打ち鳴らす。清冽な氣が弾ける。

 村中の男と女がこの神楽を見に来る。神楽は決まった神事の際に行われるが、この廿年ごとの節目の大祭は最も重要視される神事だ。天津神と巫女の聖婚。次代の巫女に譲る儀式だ。

夜半を迎えるころ一日目の神楽が終わり、彰楽子は山に籠る。山にある別宮で、彰楽子はまた一人神に問う神楽をする。神は彰楽子に憑いているため、交わることはできない。そのためひとり男を選び出し、その男に憑いて子を成すのだ。別宮まで一番早く辿りつけたものが神に選ばれた証となり、巫女を暴く権利を得る。

 ねっとりとした遠慮のない男たちの欲望が、彰楽子の躯へ絡みつく。神楽を神聖視する一方で、神への供物となる聖なる処女を貪れる機会に興奮しているのだ。彼らは神の代行ではない。ただの獣だ。

 夜伏に出逢う前ならば、彰楽子は悲鳴や吐き気を必死に抑えたに違いない。けれど今の彰楽子を支配していたのは、恐怖やおぞましさより、憤りだった。

 身の程知らずに思い知らせなければならない。神楽が進むごとに、彰楽子は自分の中の感覚が研ぎ澄まされていくのが分かった。人から外れた、他者を威圧する凄烈な氣が彰楽子から発せられる。それを向けるのが正しい相手なのか悟らせるべく、彰楽子は舞いながら畜生どもの目を一匹一匹見回した。彰楽子に中てられ、ふとその目に畏怖が乗る。そうだ、それでいい。邪な感情など入り込む余地もない、神威の煌めきを纏った巫女にひれ伏せばいい。白く凍てついた眼差しを輝かせ、少女は思う。

 いまさらになって、彰楽子ははっきりと思い知った。夜伏の手が、身体が、どれほど彰楽子を慈しんでくれていたか。

 彰楽子を無理やり手籠めにしようとするときでさえ、おぞましくはなかった、てのひら。あれは彰楽子を愛する手だった。それを彰楽子は欲望と、愛情からくるものとの区別がつけられずに村の男たちといっしょくたにして、夜伏を拒絶していたのだ。

 それがどれだけ彼の尊厳を傷つける行為だったか。

 相容れないと何度も失望しながら――――、それでも傾く気持ちを止められなかった。それは恋という感情から始まったものではなかったけれど、惹かれていくのだけは、たしかだった。

 だって出逢ったとき、手を差し出され抱えあげられたとき、彰楽子の運命は回り始めたのだ。

 たった一人の、少女としての運命が。

 結局彰楽子は家族をとってしまって夜伏の前に立つ資格はないけれど、それでももう重なり合わない場所からでも、彰楽子が誰を想うか証明し続ける。

 感じているだろうか、気づいている?

 赦してもらおうとは思わない。

 ただ許してもらわなくても、彰楽子はもう、夜伏神の巫女になる。

 彰楽子は一度舞台から下がった。舞台を仕切る神楽幕の向こうの楽屋で、巫女たちは蛇体を動かす準備に忙しい。

 演目も終盤、これから始まるのは、村を荒らす大蛇と、それを退治る天津神の舞だ。暴れまわる大蛇に対し、天津神の面をつけた彰楽子が、剣を持って舞い挑む。

 舞に使う際の本物ではない。それは一年前、彰楽子が山中他界の夜伏の腹に置いてきた。

囃子が鳴り、神楽歌を経て再び彰楽子は舞台へあがる。拍子の速い楽器の音は、これから始まる闘いの凄まじさを表現している。

 舞いの動きも激しさを帯び、これまでの優美さはない。彰楽子はうねる蛇体を見、あの美しい夜伏神の本身(もとのみ)を記憶に蘇らせた。

 夜伏神を模したその大蛇の周囲を舞い飛び、怒った大蛇は鬣を激しく振って喰らいつこうとする。

ひらりひらりとかわしながらふと衆目の一番後ろに目が引かれた。誰よりも目立つその人外の美貌。けれど誰ひとり気づいてはいない。柱にもたれかかるようにして彰楽子を見ていたのは、梓伊那しいなだった。いつもよりも数段豪奢な着物。ひらひらと長い裾と袖を引きずっている。鮮やかな彩色が目に眩しい。身に纏った薄布のひれは梓伊那の神威を受けてふんわりと空に浮いている。まさに神々しい神の姿。

 内心の驚倒は、外には現れなかった。だがどっと心拍数が上がった。梓伊那は彰楽子に向かって首を傾げた。桜色の爪が指し示すくちびるが、何ごとか動く。その口元だけが、やけにゆっくりと、鮮明に網膜に投影される。

(だ、い、じょ、う、ぶ――――)

 ――それは、夜伏の神楽だね。僕はお前に喚ばれたわけではないから、安心してお出で。一度、すべてを清算してあげる――――

 舞い踊りながら怒り狂う大蛇の頤をかわし、剣一閃、どうと倒れ込む蛇体。

 天津神は無事山山に安定をもたらす。

 そして場面は移り、これまでの実りに感謝を捧げられた天津神が、奥ノ津の今後二十年の豊穣を約束する――。梓伊那は何もすることなくふわふわと笑いながら、それを眺めていた。頬が色づいているのは、いつの間にか右手に握っていた神酒の一升瓶のせいだ。奉納品として大量に持ち込まれるので、でき上がっているものも多い。

 二度目の山場、荒神を抑えたことによる盛り上がりがこの演目への緊張と期待度を増す。

 別の巫女が放り投げた蛇に模した縄を弓で射落とすことでその豊穣が約束されるため、失敗は決して許されないのだ。

 何度も何度もこうして神事のたびに夜伏は存在に泥を塗られ、その一部に加担している。矢が過たず細い縄を貫き、地に落ちるさまを見ながら心臓が軋む音を聞いた。いくら内実は違おうと、これが夜伏の慰めになるのか。

 けれど、でも、もう、これで。

 肩から力が抜ける。僅かなあいだ、彰楽子は放心していた。安堵が観客からさざ波のように漏れ、続いて盛大な歓声が起こる。梓伊那は腹を抱えて笑っていて、足を震わせながらよろよろと舞殿を出ていった。彼はこれから誰かのところに降りるのだろうか。彰楽子は、梓伊那を喚んではいないのだけれど。けれどそれは、あちらも承知している。

 こちらにやって来た梓伊那の意図は分からなかったけれど、自身の気持ちだけははっきりしている。

(夜伏、)

 とまれ、儀礼上これからの二十年は保障された。これで今日のここでの神事は終わりだ。あとは別宮に移り、秘事としての神事になる。天津神との三三九度を上げ、交わる儀式。

 けれど彰楽子は――――決めていた。二度と夜伏を裏切らない。

 別宮は、あの石段の上にあった。彰楽子があの日掻き分けて進んだ草むら以外に、神楽宮の人間しか知らぬ道がある。

 松明に火を燈し、祖母を先頭に、神官二人、三人の巫女を従え彰楽子は宮に向かう。それぞれ役割を持った仮面を被っており、彰楽子のそれは最初に被っていた姫面だ。

 石段についた。これを登ればすぐに別宮だ。あのときはここから落ちて、他界に迷い込んだ。登り始めた祖母たちを、彰楽子は追いかけなかった。石段を凝視する。

 面を外し、彰楽子は彰楽子に戻る。それは、ここではしてはならない禁則だ。けれど彰楽子はあえて外した。

 これから話すのは他の誰でもない。彰楽子だ。

「おばあさま」

 凛とした呼び声に、祖母は、思わずといった調子で振りかえった。

「どうしましたか」

「……豊穣でした。神はつつがない今後を、約束してくださいました」

「ああ、そうだね。ですがまだ、神事は終わっていませんよ。慎みなさい」

「わたしは、夜伏神のために、舞いました」

「……なんだって?」

 祖母の声が、低くなった。

「夜伏神を、お招きしました。他の皆さんは天津神のために舞われたでしょうが、わたしは蛇神様に、神楽を奉納しました」

 彰楽子ははっきりと祖母を見据え、仁王立った。透徹とした眼差しが、たいまつのほのかな明かりできらめいた。気圧されたように、祖母はくちびるを引き結ぶ。

「……わたしは夜伏神に仕えます。誓約うけいをしました。一度はその誓いを断ち切って奥ノ津に戻りましたが、二度はありません。わたしはもう、夜伏神のものです。他の誰のものにも、なりません。私の気持ちは、あのときとなにも、変わらない」

(彼が、要らないと言っても)

 沈黙が下りた。風が木木をざわめかかせている音だけが鮮明に響く。濃い緑が香る。あのときも、こんな強い風に煽られていた。魅かれるように、先に進んだ。

「……豊穣と出ました」

 なびく髪を押さえ、彰楽子は繰り返した。

「どの神のお告げでもよいのです。おばあさまには。そうでしょう。わたしがこんなに不敬なことをしていても、奥ノ津にはかすかな災いもない。天津神はお赦しになられている。もしいまこれをきいて、そして何かが起こったなら、それは神のせいではない。おばあさまたち、人の仔のせいだ。思い込みが、災禍を呼ぶのです!」

 夜伏神は慈悲深い。あのとき矢を外しておけば、彰楽子に復讐もできたのに。あのとき覚悟していた。本当は。でも失敗しなかった。それは夜伏神のお陰ではなかったかもしれないけれど、彰楽子が彼に仕えてもいいのだと、そう感じる理由のひとつにはなった。思い込みだ。彰楽子のものも。信心なんて、思いこみなのだ。

「巫女なんて、誰でもいいんだ。人の都合だ。神は気にも留めていらっしゃらない。わたしがここでわけのわからない名目で、誰とも知れない男に躯を自由にされる言われはない」

「……関係ない。これは風習だ。お前は従わなければならない」

 連れてきなさい、と祖母は合図し、巫女たちに両腕を掴まれそうになる。その手を彰楽子は必死で振り払った。千早の下から、隠し持っていた矢を引っ張り出す。縄を射た矢だ。こんなときのために、隠し持っていた。それを自身に突きつける。背後には、池。あと一歩後ろに下がれば、簡単に池に落ちることができる。

「無理やりわたしを従わせるつもりなら、今すぐ死にます」

 夜伏に捧げると決めた。実際に彼のものになることはなくても。

「わたしは夜伏神のものだ。それを失うくらいなら、ここで殉じるほうが本望です」

 いくら崇敬さが足りないと言われようと、あの日日のなかでの夜伏神は、彰楽子にとって雲の上にあるような、遠い存在ではなかった。触れあえて、こころをかわした、ひとりの男だ。

「……両親は。いいのですか。お前のせいで死にますよ」

 矢を持った手が震えた。

「なにも起こらないわ。なのにどうして殺すんです」

「神子でない巫女に、価値はありません」

「わたしだってそうだわ。できそこないだった」「そうです。だから、血を回復させなければならない」

「……わたしと交わっても、産まれるのは夜伏神の子でしょう。わたしが招いたのは、彼の神だ」

 彰楽子は憫笑した。

 そのとき、がさりと草をかき分ける音がして「あれ?」と穏やかな声が上がった。

「まだこんな所にいたんですか。何をしているんです」

「直彰……?」

 当たり前のように現れた弟に、彰楽子は呆けた声を出す。「どうしてここに、」

「おや、早かったですね」

「一番ですか」「そのようです。よくやりましたね。これで奥ノ津も安泰だ」

 祖母のねぎらいに、うっとりと彼は哂う。険しい山中を登って来たせいで乱れた小忌衣を整えながら、突っ立ったままの姉を見た。

「彰楽子のためですから。誰にも負けるわけにはいかない。でも、彰楽子のお陰もあるのかな。皆、彰楽子の氣に祓われてやる気を失っていた。俺たちが特別な証だ」

 小忌衣は、神事に参加する男全員が着る。しかし親族は別だ。だってこの儀式は、彰楽子と性を交す儀式なのだ。「どういう、こと……?」

「俺が一番だ。彰楽子は俺のものだ」

 彰楽子は弟の瞳のなかに、村人たちと変わらないねばついた欲望があるのを確かめた。ぞっとして、彰楽子は短い悲鳴を上げる。

「彰楽子は俺といるのが一番いいんだ。双子なんだから。魂を分けた俺たちが交われば、完璧なひとつになれる。生まれたときから、決まっていた」「――嘘よ!」

 彰楽子は鋭く拒絶した。肉親からそのような感情を向けられることに、理性より本能が拒否反応を起こしていた。込み上げてくる吐き気に、彰楽子は空いた手で口を押さえる。これだったのだ、直彰から感じていた違和感、歪さの正体は。

 なぜ両親は彰楽子一人だけを連れて逃げたのか。昔から直彰は彰楽子に執着していたからだ。彰楽子が巫女姫になることが決まっていたように、直彰が彰楽子の夫となることも、神楽社の中では半ば決定事項であったのだ。両親はそれを知っていた。ようやく、彰楽子は両親の直彰に対する態度の意味を知る。

「我がままは聞きませんよ、彰楽子。直彰はここに最初に辿りついた、神の依代です。誠心誠意、お仕えしなさい」

 祖母の声が段上から降ってくる。

「やれよかったこと。これで少しは血が濃くなるでしょう」

「下賤の血が混じっているとはいえ、さすが神子だけはある」

 囁き交わす、巫女たちの声。

 たまらず膝を崩し、彰楽子はがちがちとなる奥歯の震えを必死に噛み殺した。直彰は草を踏み倒して近づいてくる。

「他の知らない奴らより、彰楽子だって俺の方がいいでしょ? ずっと彰楽子だけを見てきた。誰より特別だ。彰楽子もそうなるべきなのに、戻ってきてからも彰楽子は俺なんてどうでもいい顔をしてた」「当たり前でしょう!」

 彰楽子は絶叫した。

「普通、弟をすきになったりしない!」「蛇に惚れる方が異常だよ! 汚らわしい!」

 その言葉に、頭を強かに殴りつけられた。グわりと揺れる。彰楽子は呆然とした。誰も彼も、彰楽子を、夜伏を否定する。

「何もかも、俺にさえ興味なくて! この村で、俺はずっと彰楽子を待ってたのに、よりにもよってあんな蛇野郎に惚れやがった! あんな畜生に! でももうあいつはいない! 俺が一番になったのは、彰楽子のせいでもある。彰楽子も本当は俺と一緒になることを望んでるんだ――!」

 ぐっと腕を掴まれ、無理やり立たされる。直彰はむりやり彰楽子の腕を引っ張って、石段を登ろうとする。抗おうとしても萎えた足が言うことを聞かない。左手をきつく握り込んで、そのとき自分が手にしていたものが何だったのか思い出した。

 少女は自分を思い出す。きっと顔を持ち上げた彰楽子の裡から、溢れ出る神威の波。

「二度と逢えなくても――」

 振り上げた手にした矢、彰楽子はその矢尻を喉元へ向ける。

「わたしが愛したのは夜伏だけだ――――!」

「直彰! 止めなさい!」

 祖母が彰楽子の凶行に気づくが、一足遅い。弟が振り返るより早く、彰楽子はひと思いに咽喉に矢をつきたてようとした。けれど強く矢を握りこんだとき、それは忽然とてのひらのなかから消えていた。

「、……なんで……」

 蒼白になって彰楽子は足元を見回す。なにもない。逃げなければ、と思う。捕まえなさい、そう言ったはずの祖母の言葉が、不自然に途切れる。弟の手が緩んだすきに足を引き、何かにぶつかった。風が、強い。

「――――なんで、」

 呆然と、呟いた。

気づけば、強く抱きすくめられていた。広い胸、堅い筋の感触。匂い。なじみ深い、圧倒的な神威。

「――――彰楽子、」

 響くような低い声。

 分かってしまう。五感すべてが、たったひとつの答えを示す。「やぶ……、」

 言葉にならない感情が喉元に込み上げ、息ができない。

「迎えに来た、彰楽子」

 懐かしい声が、耳を伝い、心臓に突き刺さるようだった。

「お前が喚ぶから、来た。――――間違いないな?」

 間をあけ、こく、と彰楽子は夜伏の腹部に頬を当てたまま、散漫な仕草で頷いた。突然の出来事に、情報の処理がうまくいかない。荒れ狂う気持ちを静めるため、ぐっとこぶしを握りこむ。そしてか細い呼吸とともに、言葉を押しだした。

「でも、ど――、どう、やって?」

「巫女が招けば、途ができる。私は矢に姿を変えていた。いつ割り込もうと思っていたが、思いがけない言葉を聞いたな」

 夜伏は苦笑して、懐かしい手つきで彰楽子の髪をかき混ぜる。

「神楽を通して、ずっとお前を感じていた。今日はその確認をするつもりで来た」

 夜伏は彰楽子の両頬を掬い、視線を絡めた。赤酸漿の瞳。人とは異なるその目に見つめられると、身動きひとつ取れなくなる。

「助けてやる、彰楽子。だから選べ。憂いはすべて払ってやる」

 到底信じられない言葉を聞いた。「私の妻になるか、ここで死ぬか、選べ」

 傲慢極まりないその台詞が、彰楽子はこころを震わせて止まなかった。こんな言葉が、もう一度聞けるなんて。他人のものになるくらいなら殺すとはっきり告げる、その狭量さがたまらない。

 目を瞑る。頬を支える手に、てのひらを重ねた。荒れた指先。ひたすらに涙が流れる。この言葉だけで、もう充分だった。咽喉を鳴らし、呼吸を整え、口を開きかけたとき、音になる前に返答は阻まれる。

「この――――、邪神!」

 唸りとともに、直彰から発された呪詛。彰楽子はその悪意にすくみあがる。

「夜伏……、悪しき神か」

 二人の神官は武器のように御幣をかざしたが、至近にいた巫女たちはふらりと足元を崩して気を失った。祖母も神官もいまにも足元を崩しそうで、立っているだけで精いっぱいといった様子だ。憎々しげに夜伏を睨む直彰すらも、辛そうにしている。夜でさえなければ、彰楽子は皆が喘ぎ、額に玉の汗をかいている様子をはっきりと見ることができただろう。夜伏は何もしていないと言うのに、その場にあるだけで男の持つ神通力に精神を侵食され、気力が失われる。

 地面の深い場所が鳴動を始め、夜伏は目元をほんのかすかに歪めた。

歓迎すべからざる神の来臨に動揺、嫌悪、恐怖を剥き出すのみならず、天変地異すら引き起こす。そんな天津神を奉ずるものたちに、夜伏は尊大に言い放った。

「この子どもは私が貰っていく」

「……馬鹿なことを、」

 気丈な彰楽子の祖母は、神官二人に支えられながら、それでも夜伏を前にして怯まなかった。怒りに揺らいだ声は鋭い。

「その子どもをなんだと思っているのです。お前ごときの悪神のものになる娘ではありません。天津神の巫女、天津神の妻。身の程を知りなさい」

「……身の程、か。そっくり返そう、人間よ。人の仔ごときが神に無礼を働き、無事でいるか試してみるか。私はもう、今まで十分赦してきた」

 うっそりと、底冷えのする声で夜伏は言った。ず――、と空気が重くなる。闇より黒い木木たちが、夜伏の感情に煽られてざわめいた。

「梓伊那は、――天津神はお前たちを助けてはくれんだろう。私はすでにやつに許されて彰楽子を攫いに来たのだからな」

「そんなわけがない! 許されているのは俺だ!」

「そうか? それではなぜ天津神は私を咎めない? 縁起にあるように、私を討たない? そもそも荒神と呼ばれ、滅ぼされたはずの私が自由にここにいるのはなぜだ?」

 喚く直彰に、夜伏は淡々と言葉を重ねた。

「お前には十分世話になったが……、私と直接対するにはお前は奥ノ津に染まりきっているようだな。礼をするまでもないか」

 わざと夜伏が神威を強めれば、直彰はそれに中てられ、息を荒げてへたりこむ。

「天津神はお前に憑いているのだったか。――――梓伊那、出で来い」

「――別に、これに憑いているわけじゃないんだがね」

 空中に浮いた声、ふわりと顕れ、池に降りたったのは梓伊那神自身だった。

「娘が得られるかと思って、画策していただけだよ」

袖が一瞬遅れて重力に追いつく。しかし梓伊那は沈まない。一升瓶を抱き、頬をほんのり赤らめている。それでも発する神威がそのまま光となるように、梓伊那の周りはぼんやりと明るい。

「やあ夜伏己で己を射かける気分はどうだった? 僕は見ていて凄く面白かった」

 からりと笑い、梓伊那は夜伏を彰楽子から視線を外し、石段の中腹にいる双子の祖母、彼女を支えている神官二人、下段に腰を抜かしている直彰、池のほとりに倒れている巫女たちを順繰りに視界に収めた。 笑みの種類が変わり、梓伊那はくちびるで弧を描く。血の通わない弓月の瞳。陽気で、時に親しみやすささえ感じる梓伊那は衣装までも異にする今、この場においては高位から冷然と小さきものを見下す神そのものだった。

 梓伊那神の来臨に、地鳴りは徐々に静まっていく。

「――――人間、私は夜伏を咎めないよ。私はこの男がそうすることを知っていた。お前たちがそれを阻むというのなら、それも咎めない。この男を滅ぼせば、きっと娘は従順に戻るだろう。好きにするといい。だが私は娘が己の意思でなく、私に嫁ぐというのならば欲しくはない。私はこの子どもに選ばせに来たんだ。そもそも私はこれまで一度も、お前たちの祭祀の場に降りたことはなかった。巫女たちと契ったことも。お前たちの営みにこれっぽっちも興味はなかったから。だがそのせいで子らが苦しむというのなら救う義務も多少はあろう。だから今日は、降りてきた」

 梓伊那はすうとしなやかな腕を伸ばし、彰楽子の祖母を示した。「あなたのことも、私は知らない。あなたの相手を、祝ったこともない」

 祖母は声もなくその場に崩れ落ちた。梓伊那は顔色ひとつ変えずに続けた。

「けれどこの子どもの選択如何で、それを罪咎とし人質を殺すというのなら、赦さない。縁起以上の大禍を見ることになるだろう。夜伏神だけでなく、私の神罰を覚悟するがいい」

 縁起以上と聞いて、一同の顔は蒼白になる。そうなってしまえば奥ノ津も終わりだろう。神社縁起には、荒神がしでかしたこととして、ありとあらゆる天変地異と、現代でも病名のはっきりせぬ奇病が襲った記録がある。それに荒神以上の力を持つ天津神が加われば、一体どのようなことが起こるのか。

「その場合は最早お前たちの咎だ。お前たちが災禍を引き起こすのだということをこころするがいい。恭順の意思がなかった故の禍なのだから。巫女姫など誰でもいい。お前たちの信仰の都合で、罪なき娘の躯を穢すな。そんな巫女を私は好まない」

 梓伊那は首を傾けた。

「――さて……、どうする? この男を滅ぼすのなら、武器を呉れてやるぞ。まあ、今まで奥ノ津を祝ってきたのはこの神だから、滅ぼせばどうなるか知れたものだが」

「そ、それは、……どういう、」

息も絶え絶えに訊く祖母に、梓伊那は丁寧に答えてやる。「今までここら一帯を守護してきたのは夜伏神だ、ということだ。娘が戻って来たときの災害、あれは娘に腹を突かれたからだ。もし滅ぼされでもしていたら、山が平らにでもなったろうな。娘もそう言ったろう。この娘は十分正気だよ」

 こともなげに梓伊那は言い、再度「試すか?」と訊いた。「私の言葉を、信じなくても構わないよ」祖母はゆるゆると首を振る。

「……従いましょう」「おばあさま!」

 直彰が非難したが、黙りなさい、と一喝される。「村のための彰楽子だ。彰楽子のために、村を潰すわけにはいきません。信じられないが……天津神が仰ることを、無碍にして賭けに出る必要はありません」

 声を震わせる祖母とは対照的に、梓伊那の口調はどこまでも軽い。村にとってどれだけ大事でも、梓伊那にはこれっぽっちも関わりないことだからだ。

「ありがとう。きっと夜伏は今後二十年、その先の祝いも保障してくれるよ」「――そうだな」

 夜伏は重く頷いた。

「じゃあ……、娘」

 梓伊那は水面を渡り、彰楽子の前までやってきた。清冽な神気に腰が引ける。

「……一度すべて清算してあげた。……お前が優しい子だと、知っているよ。だからあのとき、唯一の夜伏を選べなかったことも。だから、今度こそ、選びなさい。誰かのためではなく、お前自身の気持ちで選びなさい。真実の祈りであれば、叶えられるだろう」

 もちろん、僕でもいいんだぞ。広げられた両手を見て、彰楽子は首を振った。「……ごめんなさい」

 ふは、と梓伊那は噴き出す。「万が一には、可能性があると思ったんだけどねえ。やっぱり振られたな、無駄な努力だったか。何度目だ?」

 梓伊那はぽんと彰楽子の頭に手をのせて、目線を合わせる。

「幸せになりなさい、――祝言に呼ばれるのを、楽しみにしている」

 夜伏の腹を殴りつけて、その刹那陽炎のように揺らめいて消えた。腹を押さえて、おのれ、と夜伏が呻く。

 夜伏を案じながらも、彰楽子は弟に、祖母たちに居直った。

「……わたし、直彰とはいられない。天津神の妻にもならない」「彰楽子、」

 伸ばされようとする手を、彰楽子は拒絶した。「……ひどいこと言ったわ、わたし。独りぼっちで置いていったのに、なのに大切にしてくれようとしたのよね」

「そうだよ。彰楽子だけだ。ずっと待ってた。二人でひとつなのに、一人でいるのは痛かった。二人になれて、これが正しいんだって。……彰楽子は、違うの」

「――わたしはずっと、独りだと思ってた。直彰に会えても。ずっといなければよかったんだって思ってた。でも求められても、それに『わたし』は必要なかったの」

 求められた先、巫女姫という役割、強いられる行為。自我は必要なかった。役割をまっとうする、器だけが必要とされた。

 そんなもの以外で、彰楽子自身を欲しいと言ってくれたと思った初めてが、夜伏だった。灰色だった感情に色がついた。

「……他の誰と一緒でも、生きていけないの。余生みたいな人生だった。あそこにいて初めて、わたし、自分が息をしてるって知ったのよ」

「特別だと思っていたのは、おれだけ?」

「特別よ、……家族だから」

 直正は傷ついたようにくちびるを噛んだ。

「でも――――、唯一では、ないわ」

 彰楽子は夜伏の着物の袖を握る。ひとつ息をついて、微笑んだ。

家族。未練は残る。もっとうまくやれるのかもしれないと思う。これからなら。けれどそれ以上に、魅かれてやまないひとがある。

「……さようなら。父さんと母さんに、よろしくね」





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