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第一話 山中他界

 寒い、痛い、そのふたつがごちゃ混ぜになって、鈍く脳を刺激した。(あき)楽子(らこ)はゆるゆると瞼を持ち上げる。映ったのは、目をつぶっているときとほとんど変わりない漆黒だった。どうやらもう夜になっているらしい。湿気を含んだ重たい空気の匂いがした。しかしそれは、彰楽子自身からにおうものでもあった。

 彰楽子は地面に倒れていた。身体の下に地面の凹凸と、湿った土の感触がする。それになおさら身体が冷えた。彰楽子は身震いし、思いがけず身体に響いた激痛に呻く。

 そういえば、階段から足を滑らせたのだった、浅く呼吸しながら彰楽子は思い出す。制服がすっかり濡れているのを鑑みるにどうやら池に落ちたらしいが、どういうわけか溺れ死ぬことは免れたようだ。頭も打っていないらしい。自分の名前もちゃんと覚えている。()(くに)彰楽子、十五歳、高校一年生、奥ノ津村の――――――巫女姫。

 咄嗟に飛び起きようとして、身体の末端にまで鈍痛が奔る。一瞬意識が遠のいた。全身の血が一気に下がる。

 一体いまは――――何時だ。

 どれほど気絶していたかは不明だが、日も短くなってきたとはいえこの気温は夜も遅い時刻に違いない。彰楽子が戻らないことに、社の人間はどう思っているだろうか。おそらく相当に激昂していることは確かだ。探しにも来ていることだろう。短気だけは起こさないでくれ、と彰楽子は願った。彰楽子は逃げたわけではない。これは事故だ。言いつけを守らなかったのは確かに彰楽子の非だが、こんなことになるなんてまさか想像もしなかったのだから。

 早く村に戻らなければ、怪我は一体どの程度のものだろう、彰楽子は横ざまに倒れたままゆっくりと左手を動かした。大丈夫、動く。ひどい痛みはない。関節も、骨も無事なようだ。しかし胴の下敷きにしてしまった右の手首は、かすかに動かすだけでもひどい苦痛だった。指を動かしても、その痛みが響くのだ。

 右の足も腫れてきているのか、だんだんと熱を持って痺れてくる。折れているのかそれとも重度の捻挫だろうか。全身ずぶぬれのせいもあって、悪寒までしてくる始末だ。

(……駄目だ)

 ついに彰楽子は諦めた。全身打っているのか、痛いところが多すぎて数えることができない。出血も多少あるかもしれないが、手当ができるわけでもなし、これだけ全身痛んでいればものの数にもはいらない。

 それでもいつまでも転がっているわけにもいかなかった。奥歯を噛み締めて、彰楽子は左手を使って何とか身体を起こした。筋に力を入れるたび、連鎖的に他の場所も収斂して痛みを引き起こす。

 呼吸するたび刺すような痛みが肺に溜まった。自然浅くなる呼吸に何度も意識が薄れる。

 やはり身体を立てていることは難しく、背中を預けるものもないので、彰楽子はまた地面に崩れた。土の冷たさまで身に沁みる。始まったばかりとはいえ、もう秋だ。夜はかじかむほど寒い。それが山のなかなら、なおさらだ。しかも彰楽子のセーラー服はたっぷりと水分を含んでいて、寒さをしのぐには最悪の装備だった。

「しっかり……しろ……」

 彰楽子は自身にいい聞かせた。

 すぐに村人たちが探しに来る。彰楽子は巫女姫だ。奥ノ津に必要な人間だ。そんな役目すこしもほしくなんてなかったのに、その肩書きが自分を救うことになるのかと思うと、彰楽子は皮肉に哂ってしまう。

 自分が死んでしまったら、役目を放棄することになったら。両親はどうなる。村の存亡は現実的でないにせよ、彼らの生き死には人の思惑が絡んでいる。仕方がない、とそう簡単にゆるしてもらえるとは思えない。

 だからこの状態で、また気絶してしまっては、駄目だ。絶対に、駄目だ。

 助けが来るまで、絶対に来るから、頑張って、気を確かにしていなくてはならない。

〈ダメダヨ来ナイヨォ……〉

 声が聞こえたのは、そんなときだった。

 彰楽子はぎょっとして身を強張らせる。

「だれ!?」

〈来ナイヨムリダヨォ……〉

〈ムリムリ〉

〈ダメダメ〉

〈オ前ハココカラ出ラレナイヨォ……〉

 声は彰楽子の質問には答えなかった。しかも、その声は複数だ。口口に駄目だ無理だと闇の底から奥から静かに騒ぎ立てている。奇妙な興奮が根底にあるその音は、彰楽子の知っている人間の声とは違った。

 くぐもったどこかちぐはぐな音――。そう使うべきではない声帯で、無理やり人間の言葉を喋らせたような齟齬。一瞬何を言っているのか聞きとれなくて、けれどもよくよく耳を澄ませばそれは確かに人間の言語だったという強烈な不快感。それに、上乗せされた、得体のしれないものへの純粋な恐怖。

 それは本能的な――――、自身の怪我よりも身に迫った死への恐れを彰楽子に抱かせた。

不自由な手足を使ってなんとかこの場を離れようと地面を掻く。

 けれど――――、そこで彰楽子ははたと気づく。

(かこまれて、いる)

 声はぼわぼわと反響しながらも、いたるところから聞こえてきていた。右からも、左からも、前からも後ろからも。上、からも。

 逃げ場がない。

 あれらから、彰楽子ははっきりと害意を感じていた。平坦な口調のなかにひそむ楽しげな色。弱弱しい獲物を高みから嬲るような、気配。

 それはじわじわと彰楽子に向かって近づいてきている。闇よりも濃い色をした影が、ちらりと彰楽子の視界の端で揺れる。揺れる。いくつも。

〈マノコクハスグ〉〈モウスグ喰エル〉〈カワイソウニ〉〈カワイソウニ〉〈サンチュウタカイナドニ堕チコンデ〉

〈コンナニ清ラカナムスメナノニ〉

「いや……、いや……」

 彰楽子はのろのろと頭を振り、耳を塞いだ。恐ろしい声を聞きたくはなかった。なのに不自由な右の手では、音をすべて塞ぎきることはできない。容赦なく、音は注ぎこまれる。

ゆっくりと、蠢く闇は近づいている。

 彰楽子を、害そうとして。

「いや……!」

 彰楽子はできるだけ身体を丸め、目をつぶって悲鳴を上げた。視界を閉ざしていても、恐ろしいものの気配が徐々に彰楽子との距離を縮めてきているのが分かる。

 ぞろゾろり、ひタヒたぺたぺた、ずる、ずルリ。

「来ないで……ッ!」

 声を振り絞る獲物を、舌舐めずりをしながら彼らは嘲笑う。

 ダメダメココハサンチュウタカイ

誰ニネガッテモタスケテクレル人ハイヤシナイ

マヨイコンダモノハ我ラノエ

村人タチハソウチカッタ

オ前ハ我ラニ喰ワレルヨ

ココニ堕チテ来テシマッタノダカラ

「いやだぁ……ッ」

 引き攣れる咽喉、心臓が潰れて、呼吸が乱れる。冷えた身体が寒さのためでなく震えて、抑えが効かない。

闇は密度を増して、彰楽子に覆いかぶさってくる。じィと見つめてくる幾多の眼。

サテサテ喰ウナラドウシヨウ

楽しげに声声は言いあった。じっとりと獲物を逃がさぬよう囲いやって。

我ラノトキガ始マレバ

 スグニモ腹ヲサキゾウモツヲヒキズリダシテ

 シシハネジキリダルマニシテ

 嗚呼タマラヌマチドオシイ

 キムスメヲ喰ウノハヒサカタブリダ

 嗚呼、ドレホド力ニナルダロウ

 ちょいちょいと彰楽子のスカートを引っ張って、影のバケモノたちはねっとりとした息を吹きかける。生臭い、死体の臭い、墓場の臭気。

 悲鳴はとうに咽喉に詰まって、喘ぐことしか彰楽子はできない。ぶるぶる震える身体を引き摺って、彰楽子は逃げようと、どこかに逃げようと、湿った土に爪を立てた。

 そのとき内心が問いかけた。

 逃げる。どこへ。――――どこへ。

 冷えた脳がその言葉を処理した瞬間、は、と彰楽子は乾いた笑みを漏らした。

(――――どこへも)

 諦めた自身が呟いた。くちびるが歪なかたちを刻む。

(だって、逃げるところなんて、どこにもなかったじゃないか)

 助けてくれる人も、いなかったじゃないか。

 どこにいても彰楽子は逃げることなどできなかった。

 こんな命の瀬戸際にだって、なすすべなく。

 助けてくれる、ひともなく。

 いつだって彰楽子にできたのは、己の生すら諦観することだけだった。

 繰り返される転校も、この村に来ることも、巫女にされることも、神事なんてくだらないもので損なわれる身体のことだって。もう諦めて。

 わけの分からないバケモノに狙われていても、逃げれない、助けはない。

 だから、今更。……いまさら。

 死んだって、いいじゃないか。

 あってないような人生だから、ここで終わってもさして変わりない。

(だけど、)

 ――逃げたら家族の命はありませんよ

 頭のなかを反響する、物静かな祖母の脅迫。

 見開いた目、絶望を、死を映した目、地に臥せった傷だらけで無力な人の仔の瞳を、にやにやと嗤う眼が見返す。

 無理だ、駄目だ、分かっている、分かっている、言われなくとも。

 いつだって、なんだって、無駄だったんだ。

(でも、)

「死んでは、だめだ――」

 彰楽子ひとりならどうだっていい。でも両親の命がかかっている。

 命だけは、諦めらきれない。なにより、死ぬのは怖かった。諦念はあっても、恐怖は消せない。

「死ぬのは、いやだ――――ッ」

 這い進む彰楽子を、バケモノがやんややんやと囃したてた。逃げる、逃げるぞと、やれ逃げろと、ちっぽけな命の抵抗を楽しむように。彰楽子自身には触れられないのか、制服を引っ張り靴を蹴飛ばしてよろめき咳き込む彰楽子を嗤っている。

 どこが痛いのか、すべての感覚がもう遠い、ただ空っぽうになった脳髄が、前に進めと喚きたてる。前なんてどこかも知らないのに。

 ぼろぼろと涙が零れて上がりきった呼吸が熱い。殺される前に、これでは死んでしまうと彰楽子は思った。「――やれ、面白いな、奥ノ津の巫女が迷い込んできた」

 なのに倒れながらも、先へ、と手を伸ばさずにはいられなかった。先へ。「珍しい、本物の巫女か」

「ッ!」

 その手を、冷たい何かが掴んだ。反射的に彰楽子はそれを振り払う。

「ッいや、いやいやぁあああッ!」

 彰楽子は遮二無二身体を起こして、むちゃくちゃに腕を振り回して叫んだ。しかしすぐに身体が限界を迎え、尻もちをつく。彰楽子は尻を後ろに引き摺り、身体を縮めて頭を庇い、悲鳴を上げ続ける。その手首をまた掴まれ、彰楽子は昏倒しそうなほどの恐怖を還元するように声を上げた。

 喰われる、喰われる喰われる喰われる、

 ――――――死ぬ!

「やだぁ……ッ!」

 後退した背中が、思い切り何かにぶつかる。木の幹。行き止まり。恐慌しながら膝立って、後ろに回ろうと、盾にしようと縋りつく。

 身体の筋肉が勝手に痙攣している。はっはっ、と、犬みたいに喘いで怯えている。壊れた涙腺から涙が際限なく落ちて、えぐえぐとしゃくりあげる咽喉まで痛い。

「おい」

「――――!」

 彰楽子は背を強張らせた。腰砕けになった下半身を引っ張って声から距離を取ろうとするが、うまくいかない。

「おい、」

 声は彰楽子に近づいては来ず、同じ場所から投げられた。「助けてやろうか」

 何を言われたのか、よく理解できなかった。

 恐怖に飽和した脳は逃げるというただその一点のみに本能を働かせていて、言語を解する余裕がなかった。野生の小動物のように震える彰楽子に、声は辛抱強く話しかける。

「助けてやる。――――私の言っていることが分かるか?」

 誰かが何かを言っている。何度も繰り返されるうちに、ようやく彰楽子も落ち着いてきた。恐ろしいモノたちが、彰楽子の傍からいなくなっている。近くにはまだいるけれど、息遣いを感じるほどではない。それが僅かに、彰楽子の理性を取り戻させた。

 助けてやる、と語る男の声。低く落ちついた、人のものだ。バケモノの声ではない。

「ほ――ほんと、に、たすけて、くれるの」

 彰楽子は声を振り絞った。おそるおそる、木陰から顔を出す。そして引き攣った悲鳴を上げた。

 数メートル離れた場所に浮かぶ、(こき)()の輝き。輝く、瞳。

 人じゃ、ない。

 再度膨れ上がりかけた恐怖を遮り、男は「落ちつけ」と言った。瞼を落としたのか、光が消える。

「怯えるな。お前を害する気はない。お前が望めば、こいつらを追っ払ってやってもいい」

 周りのバケモノどもは口々に男を非難したが、彼が煩げに一喝するとそれを止めた。

「サイになるなら、私はお前を助けてやれる。どうする。ここで殺されるか、私のサイになるか、だ。選べ。死にたくはなかろう」

「……死にたくない」

「どうしてほしい」「たすけて」

 かそけく彰楽子は答えた。

「サイになるか」

「なる――――、なる、から、」

 死にたくなかった。命の保障をしてもらえるのなら、もう彰楽子はなんだってよかった。死にたくない。それだけだった。「たすけてよ」

 涙声で彰楽子は訴えた。

「よし――――、よし」

 男は満足げに頷いた。

 そして周囲に聞かせるように、朗々と声を張り上げる。

「聞いたかお前たち。この子どもに手出しするな。即刻去ね」

〈シカシ、ヤブセノカミ〉「黙れ」

 男はすぐさま反論を封じる。

「私が決めた。この子どもと、誓約(うけい)を交わしたのだ。なにか文句があるのか」

〈……イイエ、アリマセヌ〉

 どろどろと、闇は引いていく。その気配を肌で感じ、彰楽子はすこしだけ空気が軽くなったような気がした。

真っ赤に濡れた輝きが闇間に現れ、土を踏む足音が近づいてくる。彰楽子は身構えたが、それよりも早く木の後ろに回ってきた男に、身体を攫われた。

 軽々と抱えあげられ、彰楽子は身体を強張らせて男の肩を掴んだ。薄い布越しに、しっかりとした筋肉の厚みを感じる。低い体温、それでも生き物の熱がじんわりと染み出すようにそこから伝わってきた。

 ……温かい。

 全身から力が抜ける。

暗い中で男の瞳だけが爛々と輝いていた。縦長の瞳孔の周りに灰の虹彩が散らばっている。近くで見る男の眼は、やはり彰楽子のものとは違った。

「……人ではないの」

「それが、どうした。怖いか」

「……いいえ」

 彰楽子はゆるく首を振った。不思議と恐怖心は消えていた。それは低くやわらかな男の語り口のせいかもしれなかったし、守られているという絶対的な安堵感のせいかもしれなかった。男の力強さがあれば、怖いモノからは全部遠ざけてもらえるとわけもなく信じていた。「助けてくれるって、言った。そうでしょう」

「そうだ。だから、安心していろ」

 断言。断言、だ。

 彰楽子はちいさく息をのんだ。

 途方もない感情がこころを浸し、少女はしばし呆然と脱力した。この想いがどこからくるものなのか、判断ができなかったせいで。どうしてだかたまらなくて、一度止まったはずの雫がまた頬を流れた。

 いままで彰楽子に、こうして手を伸べてくれたものは誰もいなかった。

 もう大丈夫だと、言ってくれたものはいなかった。誰も。

「泣いているのか」

 それが咎める口調ではなかったせいで、彰楽子はとうとう泣くのを止めることができなかった。

ほろほろと落ちる涙を掬われ、ぐちゃぐちゃになった髪を撫でられる。

 あやすように揺すられると、いままで張りつめていた緊張の糸が一気に切れた。忘れていた痛みと疲労とが、津波のように襲ってくる。

 ぐったりと凭れかかると、男は彰楽子が楽になるよう抱え直してくれた。

「ああ、大丈夫だ。しばらく、眠っていろ」

 男の胸元に頬を寄せながら、彰楽子はちいさく頷いた。そうやって甘えてもいい腕のなかなのだと、漠然とそう、確信していた。

 ――――――互いの名も知らないのに。


    *


 目が覚めたのは、驚いた女の声が意識の表層で弾けたからだった。彰楽子はうっすらと目を開ける。

「まあ! (ぬし)さま、どうしたのです、その御子は」

 どこかの建物の、玄関らしき場所だった。出迎えなのか、数段上がった場所にある廊下の左右の壁に沿ってずらりと何十ものひとが並んでいる。

 その中から一人の女が飛び出してきて、素足のまま土間に下りた。

「いきなりお出掛けになられたと思ったら!」

「迷い込んでいたから、拾ってきた。奥ノ津の巫女だ。私のサイにしようと思うてな」

 非難する口調ではあったが、対する男はその苦言をまったく気にしていないようだった。こともなげな男の言に、軽いどよめきと歓声が上がる。

「おやまあ、奥ノ津の」

 女もうれしそうに相好を崩しかけ、ぼろぼろに傷ついている彰楽子の有様に慌てて頬を引き締めた。

後ろを振り返り、わらわらと興味深げに彰楽子を覗きこもうとする衆目を一喝する。

「あとになさい! お前たち、薬湯の用意を。軽い食べ物と、手当の用意もです」

 その指示に出迎えの大半が慌てて散っていく。

声の数からして、この場に残った人数はそう多くはないようだ。かすかな光の刺激も堪らなかったので、彰楽子は確認する前に目を閉じた。

「ずいぶんひどい目に遭われたよう」

「人の身でこちらにきたのだから、無理もなかろう。喰い殺されても文句は言えぬのだからな」

「おや、では主さまは翳たちから無理やり御子を奪ってきたのですね」

「まあ、そうなる。だがそもそも私の領内だ。第一の権限は私にある」

「そうでしょうとも」

 大仰に女は相槌した。「ですが、()伊那(いな)さまにはよろしいので」

「構わん、放っておけ。奴も気にせんだろうし、そもそも来ない方が悪い」

「では主さまのお心のままに」

 彰楽子は身じろいだ。もうひどく疲れていたので、頭上で交される会話が少女には煩わしくて仕方がなかった。黙って、と彰楽子は掠れた声で懇願する。一度覚醒してしまうと、せっかく遠くに追いやれていた痛みまでぶり返す。

なのに男はうれしそうに彰楽子の顔を覗き込んできた。

「おお、起きたか。ちょうどよかった。いま風呂の用意をしてやるからな」

 彰楽子はむずがって男の胸板に顔を埋めた。「嫌、ねむたいの」

「おやまあ、甘えてらっしゃる。なんと愛らしい」

 女はくすぐったげに笑い、男は苦笑した。

「あとからまた寝かせてやる。きちんと、布団でな。だからいまは言った通りにしろ。(そわ)()が面倒を見てくれる」

「はいな、薬湯をご用意いたしておりますよ。すぐに痛みもなくなりましょう」

 彰楽子は岨野と呼ばれた女性を見た。ふくよかな女だ。にっこりと笑いかけられると目が糸みたいに細まる。美人とは言えないが、愛嬌のある女だった。

手を広げられ、彰楽子はその腕に預けられた。男はかなりの巨漢だったが、岨野もなかなか立派な体格をしている。岨野は彰楽子を危なげなく抱きかかえた。やわらかい乳房にちょうど頬があたり、その心地よさに思わずうっとりする。岨野の体臭かおしろいの香りか、ずいぶんと甘い匂いがした。

「まあまあ、雛のようでいらっしゃる」

 指先で頬をつつかれ、彰楽子ははっとする。「じ、自分で、歩けます。ごめんなさい」

「いいえ、よろしいのですよ。足もお怪我しておいででしょう。ご不便でしょうが、岨野がお連れいたしますゆえ」「濡れちゃう」「構いませぬ」

 岨野は軽く彰楽子の心配を吹き飛ばし、そのまま女たちを引き連れ浴室へと連れていく。岨野を筆頭に、そこでの彼女たちの振る舞いはまるで容赦がなかった。

まず彼女たちは浴室につくと、彰楽子が何かを言うひまも与えず数人がかりで濡れた衣服を剥ぎ取り素っ裸にして、浴槽につけ込んだ。湯は乳白色に濁っており、とろとろとした抵抗があった。何か混ぜているのだろう、ただの湯ではない匂いがする。ただその湯を落ちついて楽しむ余裕は、彰楽子には与えられなかった。

浴室には彰楽子以外にも衣服を着たままの女たちが、お世話をするという名目で入ってきていた。結構だという遠慮、彰楽子としては拒絶の色合いのほうが強かったが、はまったく無意味だった。湯のお陰で裸をはっきりと見られる心配はなかったものの、素手で全身を洗い清められるのに耐えるには、結構な精神力が必要とされた。ただでさえ限界まで削られているところを僅かな睡眠でようやく少し回復したのに、あっという間にまたがりがりと削られていっている現実に、彰楽子は眩暈がしそうだった。いや、現に、している。

湯の温度はぬるま湯よりすこし高いくらいで、普段ならば長風呂に最適だったろうが、体力も精神力も限界値だった彰楽子にとってのぼせるには充分だ。しかし真っ赤な顔でもう出たい、と訴えた彰楽子の希望は容易には叶えられなかった。

「温まったのでしたら、すこうし湯をぬるくいたしますゆえ、しばらく」

あともう少し、と肩まで湯につけられ、やさしく全身を撫でられる。気を使ってくれているのか、そうやって触れられていても一切傷に響かない。身体を洗われているときもそうだった。むしろ痛みが引いていくような気がするから不思議だ。彼女たちは皆明らかに彰楽子よりも大きな身体つきをしていたが、手つきはとても繊細だった。

だんだんと女たちの手も気にならなくなってきて、彰楽子はほうと肩の力を抜いた。

「ほうら、お顔の擦り傷がすっかりと消えましたよ」

「可愛らしいかんばせに万一痕が残ったりすれば、大変じゃ」

「浅い傷でしたら、浸かられているうちに治りましょう。打撲や骨折もございましょうが、それも毎日湯に入られれば、五日の内にもとのお身体に回復いたしますよ」

 こくん、と頷きつつ、落ちつくと身体が休息を求めて睡眠へと移行しそうになってしまう。言われていることの半分以上は、右から左へと抜け落ちた。

「あれ、御子はやはりおねむのようじゃ」

 湯に顔をつけたりしないよう、ゆったりとした仕草で顎を引き上げられる。覚醒を促すように、頬にかるく合図される。

「もうしばし、我慢くださいませ。残りの怪我の手当てもいたしませんと」

 浴室から連れ出された彰楽子は、やわらかな布で身体を拭かれ、薄手の単衣と羽織を着せられる。そのまま別室に通され、残った怪我の手当てをされた。右足は折れていた。腫れは明日には引くらしい。右手は手首の筋を痛めていて、小指が折れてしまっている。肩と背中はひどい打撲。熱を抑えるために湿布を貼られ、折れたところには添え木を当てられた。これらは治るのに数日かかるということだった。

 自身にこれ以上負担をかけないために、彰楽子は絶対におかしい幾つものことを考える前になかったことにした。目をつぶった。

骨折が数日で治るはずがない。ついた擦り傷が、湯につかっただけで消えるなど。けれど彰楽子はこれ以上、混乱したくはなかった。いろいろな感覚がすっかり麻痺しきっていることに、彰楽子は自覚がなかった。

 手当てが完了し、彰楽子が礼を言うと、岨野はにこにことしながらまた彰楽子を抱き上げた。

「されば主さまの元に案内いたしましょう。お食事をして、お薬も飲んでいただかなければ。今夜はずっと熱が出たままでしょう」

「熱、……あったんですか」

「ええ、ご自分のことなので、お気づきにならなかったのですね。傷のせいもあるでしょうけれども、かなり熱っていらっしゃいますよ」

 彰楽子は額に手をやったが、自分ではやはり分かりかねる。

 緩慢に首を傾げる彰楽子を岨野はゆっくりと揺する。

「大丈夫ですよ。きちんとこちらの食べ物をお食べいただければすぐに慣れましょう。翳どもの穢れも、主さまの傍に一晩いらっしゃれば、すっかり落ち着きます。色々なことが重なって、すこうし身体が驚いておられるのです」

 そうだろうな、と、それは彰楽子も何となく察しがついていた。

 だがいまはそんなことは考えたくはない。余計な情報は与えないでほしい、と彰楽子は思った。

 それを識ってしまえば、最後だ。

 そしてただ茫漠とした予感だけで、何かに阻まれたかのようにその先へと進まない思考に感謝した。

「さあさ、着きましたよ」

 この建物にはほとんどドアというものがなかった。壁と壁、柱と柱がさらさらとした布で何十にも覆われ、室内を覗けないようになっている。

 彰楽子が連れてこられたのもそうやって入口が閉じられた(へや)だった。岨野は布越しに声をかける。

「主さま、御子をお連れいたしました」

「……おう、入れ」

 鷹揚に返ってきた答えは、彰楽子の知った声だった。低い韻律、底辺に傲慢なまでの己への自信で満ちている。それは他者に対する威圧に溢れていて、自分を助けた男がこの場の主人なのだと、かすかな畏れとともに疑いようもなく彰楽子に理解させた。

 岨野が布を上げるのと、房の奥で男が立ち上がるのとは同時だった。

「待ちわびた」

 男は近づいてきたが、彰楽子は彼の姿を顔を背けて見なかった。この男は、彰楽子にとっての非現実そのものだった。明らかな身の安全が確約されているいま、男に抱いていた安心は恐怖へとすげ変わっている。

岨野は彰楽子を男へと渡す。それに彰楽子は逆らわなかったが、ただ戸惑いを心臓に溜めていた。

「よしよし、綺麗になったな」

 満足そうな音を伴って、太い咽喉が震えるのを彰楽子は見ていた。

「いま、食事とお薬をお持ちします」

「……いりません」

 彰楽子は首を横に振った。「もう眠たいの」

「食うまでは寝かせん」

 彰楽子の弱い主張を、思った通りの傲然さで男は斬り捨てた。「持って来い」「御意に」

 男は岨野が頭を下げたのを見ると、彰楽子を連れて房の奥へと入った。……暗い。出入り口に近いところはまだ廊下の明かりが届いていたが、こちらは目を細めてようやくもののかたちが判断できる。けれど男はそうではないのだろうな、と彰楽子はよどみない足取りで進む男に、彼の持つ赤酸漿の輝きを思い出していた。

「寝るなよ」

 そんな命令とともに彰楽子は柔らかな敷物の上に下ろされていた。さらりとした滑らかな手触りは、無知な彰楽子にも上質だろうと感じさせた。

ベッドだろうか。いますぐ倒れ込みたい衝動に駆られたが、実行に移す前に男によって背後から抱きかかえられてしまう。

 ちいさな彰楽子の身体は、大きな男の体躯にすっぽりと覆われてしまった。

「寝るな、と言った」

 どうやらお見通しだったらしい。彰楽子はぽそりと呟いた。「横になりたかっただけだもの」「どうだか」

 そこへ岨野が姿を現した。

「主さま、膳はどちらに」

「こちらに貰おう」

 男は岨野から膳を受け取り、それを不安定な敷布の上に乗せている。

「それでは主さま、御子よ。岨野は失礼を」「おう」

「御子よ、どうぞしっかりお食べくださいませね」

 一礼して去った岨野の発する衣ずれが耳を澄ませても聞こえなくなり、彰楽子は途端にいたたまれなくなった。

 男が引き寄せた膳が敷布を滑る音が聞こえ、彰楽子は言う。「お腹がすいてないの」

「強情な子どもめ」

 男は薄く嗤った。「そこまで我を張るとは、何か含むものでもあるのか?」

「……ないわ」

 自分でも、どうしてそこまで頑なになるのか分からない。でも自分の足元がどうしようもなく不安定で、それなのに彰楽子の手を引こうとする男に傾いても平気なのか。

「……熱があるのよ。何もわからないの。何も考えられない。今日はもう眠りたい」

「だったらなおさら食っておけ。そうすれば、目が覚めたときには回復しているだろう」「嫌」

 逃れようとしても、体格差がものを言う。

「お前、水も飲んでいないだろう? ほら、口を開けろ」

 くちびるに果汁滴る果物を押しつけられる。控えめなこの香りは白桃だ。知れずに咽喉が鳴る。

 そうだ、咽喉が渇いていたのだとはっきりと自覚する。

「ひと口でも食えば、薬を飲んで、すぐに寝られる。眠たいのだろう? 無理やりこじ開けられるのが好みではないなら、大人しく従え」

 添えられた指で軽く頬をへこませられ、彰楽子は男が冗談のような口調ながら、本気なのだと察した。

 乱暴は、されたくない。おずおずと開かれた彰楽子の口に桃が押し込まれる。

途端いっぱいに広がった桃の甘さに、ため息が漏れた。溢れる果汁に、生まれ変わったような心地になる。舌で潰すだけで崩れる果肉は、滑らかに咽喉を落ちていく。

 なぜいままで意固地に口を噤んでいたのだろう?

疑問がひとつ、桃と一緒にかたちを失う。

「……おいしい」

 素直についで出たひと言に、男は噴き出した。

「まだあるぞ。いるか?」

「……いる」

 ばつが悪くなりながらも首肯すれば、男は彰楽子が怪我をしているせいか次々と果物を手ずから食べさせてくれた。白桃、枇杷、梨、蜜柑、林檎に野葡萄。

男は器用なもので、無理に果物を押しこんだりはしないし、指を長く咥内に留めて彰楽子を噎せさせるような真似も、指を咬みやしないかと危惧させるような真似もしなかった。あくまで男は食事の補助をしていたので、彰楽子が自分で口を開き、舌を使うに任せていたのだ。

ほとんど視界の利かない暗闇で羞恥の線引きがゆるくなり、果実を掬うという名目があるとはいえ彼の指を舐める仕草がどれだけ視覚的に男を楽しませたのか、彰楽子は感じ取ることができなかった。

「これが最後だな」

 与えられた桃を彰楽子は飲み込み、果汁に濡れていた男の指先を吸う。舌は指の付け根まで辿った。「こら、」

 擽ったかったのか、男は軽く彰楽子の鼻を摘んだ。

「指は食いものではない」

 彰楽子ははっとして、顔を赤らめた。

「汁が」

 いじましく彰楽子は言いわけする。

「そうか。気に入ったようだな。……甘いものが好きか」

 意地を張っていた手前居た堪れなかったが、彰楽子は正直に頷いた。

「すきよ」「苦いものは?」

「……きらい」「ふむ、」

 思案するそぶりで相槌し、男は彰楽子に再度口を開けるよう促した。

「もうお腹いっぱい」

「いいから」

「もう終わりなんでしょう」

 そう言いながら彰楽子は男の言に従った。入れられたのは果物ではない。丸く、何か小さなもの。舌で確かめると、苦味が味蕾を刺激する。思わずきつく眉を寄せた彰楽子の顎を、男は反らした。

「丸薬だ。そのまま飲み込め」「ん、ぅ」

 そしてそのまま男は自然な動作で彰楽子に顔を寄せた。触れあったくちびる、やんわりと開かされた歯列から滑りこんでくる自分とは確実に違う体温、唾液の味。彰楽子は目を見張る。

薬を長い舌で咽喉奥まで押し込まれ、擦れあう舌の感触に歯列が浮く。

「……ッふぁ、――――ん、く」

開かされた咽喉を落ちる異物の感触に、彰楽子は涙目になった。男を押しのけたかったけれど、彼は彰楽子を横抱きにしていて、上手くいかない。そのうち体勢が変わり、彰楽子はベッドにあおむけにさせられた。その上に、覆い被さってくる男の巨躯。

「――――っは」

上顎を擽られ、逃げる舌を追って執拗に絡められるとすぐさま息が上がって、腰が甘だるくくだける。

潤んだ瞳で見上げた男の深緋は、瞬きひとつせずに彰楽子を観察していた。見られている、そう気づくと躯の奥から熱が上がった。

男の仕草は決して乱暴ではなかったが、自分のなかの何かを確実に暴かれようとしている予感に、まだおさない少女のこころは混乱せずにはおれなかった。

薬の苦味が消え、咥内に残るのがすっかり男の味になっても口づけは執拗に続いた。舌を吸われ、引き出されやわく食まれる。ぞくぞくと舌が、背筋が痺れて彰楽子はぎうと爪先を丸めた。

やがて気が済んだのか、くちびるがゆっくりと離れていく。

彰楽子は余韻に舌足らずになりながら、呆けた思考のままそれでも訊ねた。

「――なんで、」

「なんで?」

 くちびるを舐め唾液を嚥下しながら、対する男は平然としたものだった。

「苦いのは嫌いなのだろう?」

「……薬も呑めない、程ではないわ……」

 彰楽子には、男が詭弁を弄しているように見えた。

 ひとりで呑めなければ、男は誰にでもこんなことをするのだろうか? 出逢ったばかりの少女相手に。

 出逢ったばかり、と前置きするならばそもそもたくさんのことがおかしいのに、呆然としてしまった彰楽子が考えつけたのはその程度のことだった。

「嫌だったのか?」

「そういう、……ことではないわ」

「ではどういうことだ? 悦かったろう?」

 脳を介さなかった返答に、男は正しく質問してくる。思考を余儀なくされた彰楽子はけれどやはりほとんど思考を停止させたまま、上澄みにあった感情をそのまま呟いた。何かがおかしいということだけは、本能が訴えていたので。

 しかしそれは、老獪な男の前ではまったく無意味な抵抗に過ぎなかったが。

「……だって、わたし、あなたのこと何も知らないのよ。……名前だって」

 暗闇のなかで、密やかに男が笑った気がした。

「では知ればいい。簡単なことだ。私は夜伏(やぶせ)、皆そう呼ぶ。お前は何という?」

「……彰楽子」

 茫漠とした不安に囚われながら、なのに彰楽子は名を奏上するのを止められなかった。

()(くに)、彰楽子」

「――――彰楽子」

 妙にうれしそうに、男は、夜伏は彰楽子を呼んだ。その瞬間、彰楽子は夜伏に自身のすべてを支配されたような錯覚に陥った。戦慄とともに心臓に落ち込んだのは、底知れない安堵だった。ひどい酩酊感が脳を揺さぶる。相反する感情に、呼吸が潰れた。謡うように男は繰り返す。「彰楽子、」

「や――――ぶ、せ?」「そうだ。なんだ? 彰楽子」

「やぶせ」

「ん?」

 夜伏、とただ名を呼ばうばかりの少女に、男は楽しげにつきあった。細い頸筋を辿り、乱れた襟から潜もうとする手。口の端にくちびるを落とそうとする夜伏を、彰楽子は緩慢に押しとどめる。「いやか?」

「そういう問題じゃ、ないの」

「ではどういう問題だ?」

声をか細くさせる彰楽子に、面白がるようなそぶりで夜伏は訊ねた。

「悦かったのだろう? 先ほどよりも、もっと悦くしてやるぞ」

 乾いた手が思わせぶりに脇腹を撫でる。指先のささくれがざわざわと彰楽子が知らなかった感覚を目覚めさせようとする。

「眠たいの」

 体内に、得も知れぬ焦りが充満していた。脳裏で警鐘が鳴っている。口走った彰楽子に、ふっと目を見開いた夜伏は一瞬固まると、盛大に哄笑を弾けさせた。腹を抱える男に、彰楽子はついぽかんとする。

 やがて、眦を拭って男は笑い止んだ。呼吸を整え、身体を起こした夜伏は彰楽子を見やる。途端、男は纏っていた快活さを一掃させた。

「……ッ!」

 彰楽子は怯えて息をのむ。

夜伏は、無駄な抵抗を続ける獲物をいとおしむように、うっそりと赤酸漿(カガチ)色に輝く瞳を細めた。

「……嗚呼、まあ。――――そうは急くまいよ」

 本意の掴めない、それは不思議な声色だった。

「お前も怪我をしていることだしな」

 眠ればいい、と夜伏は促す。ゆったりと、長い指で男は彰楽子の髪をくしけずり、頬を撫でる。それは腹を撫でられたときと同じ刺激を、彰楽子にもたらした。

「これからいくらでも、時間はある。お前はもう私のサイだ」

 ……恐ろしいモノたちから、助けてもらった。そのはずだ。

 なのにこの身を浸す畏れはなんだろう、と彰楽子は思った。触れられるたび、ちりちりと肌を伝う、甘い疼きが怖い。

夜伏が、怖かった。

「――――そうだろう?」

 彰楽子はなにも言わなかった。

 逃避するように目を瞑る。決して逃げきれぬ予感に縛られながら。


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