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思いよ届け!と異国の空に乞う

作者: 相川イナホ

だけど、僕の手にはおえなくて。

理不尽に手を握りしめる青年。


思いがけない介入で、事件は動いた。

だけど、「この国の闇は思ったより深いね。もっと調べなくっちゃ」


パイはどうやって切り分けたら一番おいしいかな?

もう赦さん。

我慢も限界だ。

こうなったらやってやる!


因果応報と人は言う。

だけどさ、そういう人達にこそ一言言いたい。


おめーは生まれてから一度も間違えた事はないのかと!

生きている間に誰も傷つけた事がないっていうのかと!


たかだか生まれて16年の、一人の女の子が嫉妬のあまりしでかした事を

すべてその子一人のせいだと!許さないと糾弾するのならば!


その子を非難するすべてのおまえらに問いたい!

お前は生まれて一度も間違えた事はなかったのかと!

二度言ったぞ。

大事な事なので二度言った!。


胸に手をあててよーーーく自分に聞いてみろってんだ!


先に不貞を働いたのはおめーらだろ!原因つくったのはお前らじゃん!





…って言えたら、さぞ痛快なんだけどなぁ。


僕は、今、ぎりぎりと歯を食いしばってこの場にいる。



僕はいわゆる後発の魔力覚醒者として、この学園に留学してきた。


もうね、転校初日からびっくりしたんだけど、学園の中は酷い有様だったよ。


一人の娘を囲んで、学園の高位貴族子息達がきゃっきゃうふふしている異常事態。


しかも彼らが学園の生徒側の代表といえる生徒会のメンバーだというのだから二重にびっくり。


さらに彼らは皆婚約者持ちだと聞いて顎がはずれるかと思ったね。


で、すったもんだあったあげく、今日のこの事態。


まさかの卒業記念パーティからの婚約破棄、さらに断罪と言う名のつるしあげ!


ひどくない?先に浮気したの彼らの側じゃない?そりゃ裏切られた方も怒ると思わない?



今、断罪されて騎士団長の息子とかいうガタイのいい奴に腕を捻りあげられて床に這わされている侯爵令嬢ばかりが悪いわけじゃないじゃん?

 言うならやられてやり返したんだから公平におあいこじゃない?


 なんで彼女ばっかり悪者にされてるの?

 彼女、留学生である僕の面倒をよく見てくれてたよ。

 いい人だよ。ちょっとキツい言動をしがちだったけど。

 それもこれも責任感からからの事。

 そもそも、留学生の面倒見るのは本来は彼ら生徒会のメンバーの仕事なはずなんだけどね!


 なんでこの国の馬鹿王子は、自分の婚約者をこんな目に合わせておいて、くされビッチ庇ってんの?


 そのビッチ、僕にもコナかけてきてたんだよ?

 それも僕の仕えるあの人目当てで!


 僕、踏み台扱いされて辛かったよ?傷ついちゃったよ?

 ひそかに泪で枕濡らしたよ。3秒くらいだけどね!

 うわー、このビッチ僕に気があるんだぁってちょっと思っちゃった自分を殴ったからだからだけどね!


 でもそのせいで思い出したからいいんだけどね。


 あ、こんな話って、どっかで…って。


 そうそう、前世読み漁ったネット小説にこういうのあったなって。


 まぁその話は、ここでは置いておくけど。

 

 で、悔しさついでに思ったんだ。あのビッチ、あの人目当てだなって。絶対思い通りにさせるもんかって。


 多分、留学生の僕の攻略を進めると、あの人のルートが開くんだよ。


 僕だってやられてばっかは悔しいからね。邪魔してやったさ!


 まず、僕がこの学園に留学した事で、僕を冷やかしに身分を隠して学園に遊学に来ようとしていたあの人を止めた。全力で止めた。


 僕、グッジョブ。


 だから今、いい気になって侯爵令嬢を詰っている馬鹿王子側の中にあの人はいない。

 人を踏み台にしていい思いなんてさせてやるもんか!って意地でがんばったもんね。


 でも今日の断罪劇は止められなかった。


 僕、一生懸命がんばったけど無理だった。


 僕の身分からいって、このふざけた見世物を何とかするには力が足りなさ過ぎた。

 

 畜生。


 僕に力があれば!!


 悔しいよ。


 誰か、とめろよ!あの馬鹿は自分の国の将来は王様だよ?


 いいのかよ? あんなんで!


 身を挺して窘めるのが臣下の勤めだろ?


 僕はあの人が馬鹿をやらかしたら絶対止めるよ?


 だって僕はあの人の忠実な臣下だからね!!


 


 




 「エカテリーナ!これをもってお前をこの国より追放する!身ひとつで出ていけ!死罪を言い渡されないだけありがたいと…」


 「…追放にですって?それに死罪ってなにそれ?」


 たからかに侯爵令嬢の処遇を言い渡す王子に向かって食い気味に、詰られていたはずのその当人がが答えた。


 「まったく馬鹿力め」


 そして抑え込んでいたはずの騎士団長の息子の何がしを軽々と振りほどいて立ち上がった。


 振りほどかれた方の何がしかは尻もちをついて、茫然とすっくと立ち上がった侯爵令嬢を見上げた。


 しかし良く見れば、それは侯爵令嬢とよく似た別人。


 まさかの展開にその場にいるものはお互いに顔を見合わせるだけ。


 「あれ誰?」「うそ違う!」


 馬鹿王子一同ばかりでなく、パーティ参加者の生徒は皆口々に戸惑いを口にするばかり。


 


 その時、ひな壇にある貴賓席から立ち上がってこちらに歩いてくるものが居た。

 

 「たしかにこの耳が聞き届けた。エカテリーナ侯爵令嬢はペリトッド国第二王子との婚約を解消、その身は国外へ処せられると。」


 貴賓席から姿を現したのは、友好国から招かれていた大国、サファイヤ国の重鎮、ホウム教育大臣。


 「ならば、もらってもよかろうな」


 好々爺然とした白い髭の間から黒い笑みが一瞬こぼれる。



 「エカテリーナ侯爵令嬢はかねてからわが国に客分としてご滞在なされているが、たった今を持って正式に我が国の王族の婚約者の身分になることに相成った。」


 ホウム教育大臣は、懐より書面を取り出すと振り返って、後方の人物にサインを求めた。

 魔導ペンを用意してあるあたり計画性を感じる。


 後方の人物は左右につけた侍従にその書面を受け取らせると、紙を広げさせて文面を読み、ゆっくりいかにもいやいやという風にサインを書き加えた。



 「やってくれたな。わが息子よ。とんでもない事だ。とてつもなくとんでもない」



 「父上!」


 

 「だまれ!この粗忽者が!」


 父王の叱責を受けて、ペリトッドの第二王子…ルシードが鼻白む。



 「あれほど、王族たるもの言動には責任が伴う、注意せよと…」


 頭を抱える王にホウム教育大臣は気の毒そうな表情を浮かべたが サインをされた書面を受け取るといそいそとしっかり鍵のかかる入れ物に入れ懐にしまいこんだ。


 「そうですよ。だからあれほど、私には身の憶えのないことですと申し上げてきたのに聞く耳をもたれないから」


 騎士団長の息子を振りほどいて、やれやれとばかりに身繕いをしている令嬢が怒った口調でつぶやいた。


 「お前は…だれだ」


 たった今までエカテリーナ侯爵令嬢だと思って詰っていたその令嬢に王子は尋ねた。


 「わたくしの名はエガーテリヤですわ。交換留学で滞在しております。まったくひどい扱いをされましたわ。慰謝料を請求いたしますことよ?あーあ、こんなひどい辱めをうけてわたくし、恥ずかしくて生きていけないわ」


 どこが?と思うような棒読み口調だが、静かに怒りをたたえた声音にまだ尻もちをついたままの騎士団長の息子の顔がさっと青くなる。


 そこへ追い打ちのようにホウム教育大臣が髭をなでつつ爆弾発言を投げつけた。


 「さしでましく申し上げるが、エカテリーナ侯爵令嬢はすでに半年も前よりわが国にご滞在なされており、親善の大役を全うされておる。したがって先程殿下が指摘なされていたそこな娘に嫌がらせをしていたという証言は偽りじゃな」


 「で、でも!私は命まで狙われたのですっ!ひどい!わたしが何をしたの?」


 他国の大臣、自国の王族が居る中で許可を得ず、王子の庇っている娘が、いかにもか弱げに震えながら言い募る。

 

 「何って…人の婚約者にちょっかい出したじゃねーか。婚約破棄までさせておいて、みんなともだち?ふっざけんじゃねーよ」

 

 僕の独り言が思ったより響いてしまったようだ。


 でも、それに同意するような声が人垣から次々と漏れて、僕の声はすぐにかき消されてしまった。


 「うわぁぁぁ!」「ふぅっくっ、ひっく」


 あちこちからご令嬢の思わず漏れてしまったと思われる泣き声があがり、それぞれの御友人の慰めるような声があがる。


 「エカテリーナではないのならば、お前たちのうちの誰かがやったのだな!!」


 会場全体が、今の王子の一言でしーんとなった。

 もちろん悪い方の意味で。


 「ひどい」

 「今度は誰に冤罪を…」

 「信じられない。こんなに傷ついているのに追い打ち?」


 「…やめなさい」


 王が頭痛を耐えるような仕草で王子を止めた。


「お前は…臣民の信頼をめちゃくちゃにする気か?」


 「…聞くに堪えませぬな。友好国とはいえ、他国の人間の私共にお聞かせしたくないような内容でしょうから、これで失礼いたします」


 ホウム教育大臣は、礼をするとさっさとその場より退出していった。 

 心なしか足取りが軽々として見える。

 

 


 「あのぅ。我が国からも一言申し上げてから失礼いたします」


 そこへ別の友好国であるラピスラズリの国の使者がおずおずと口を挟んできた。


 「交換留学生であるエガーテリヤ様はわが国の辺境伯のご令嬢であらせられますゆえ、今回の被害に対してしかるべく抗議を申し上げます。まことに遺憾でありますが、我が国との共同開発していたプロジェクトは凍結、もしくは半永久的に凍結という事に…」


 「発言をおゆるしください。わたくし、ここで、はっきりと身の潔白を証明してから国元へ帰りたく存じますわ」


 ラピスラズリ国の使者とそのお付に促され、退出しかけていたエガーテリヤが意をけっしたように顔をあげて言った。


 「これは、実験中に偶然にうつってしまったものですわ。本来はパーティの余興として上映するつもりだったのですけれど」



 エガーテリヤが合図するとぱっと照明が暗くなり、パーティ会場にするすると白い幕がおりてきた。

 そしてそこに映像がうつしだされる。


 「わたくし、生徒会が機能していないと聞いて、協力できる事ができないかと、卒業パーティの実行委員を訪ねましたの。そこで学園生活の様子を、わたくしの研究である魔導映像音声記録スフィアにおさめるつもりでした。でも、あとで鑑賞してみて驚いたのですが…」


『○の月○の日。明日は学園祭です。準備の日なのにあいつらはまたいませーん』

『本当どうするつもりなのかしら。最上級生の役員には最後の学園祭なのに』

『まじめに!今のところはカットで!』

わずかに残って真面目に活動している生徒会の役員の女生徒のナレーションが入る。

映像は準備にいそしむ生徒達の様子をうつしていたけど、ぐるりとエガーテリヤのアップになる。

見るとほほに細い傷が入っている。

『って!どうしたの?エガーテ!その傷???』

『よくわからない因縁をつけられて知らない下級生男子に本で叩かれたの。紙で切ったみたい。』

『ひどっ』


映像はそこでとぎれ、次には学園祭当日の映像が映し出されていく。


『ねぇごみ箱いっぱいなんだけどー』

『ごめん!担当の人つかまらないんだ!今代わりの人をよぶから!』

『もうっ!衛生担当はアンバード先輩なのにっ』

『変な人が女子トイレに…』

『安全担当は、スライ先輩かぁ。はぁけっきょく名前だけ実行委員のつもりなんだ。やりますよやればいいのよね!!わたくしが!』

『つり銭切れちゃった』

『万引きよっ!!』

『馬車置き場がいっぱいで…渋滞ですっ』

『はいはいわかったわ!』

ところどころ、トラブルの様子が映し出される。

 その度に、かけだす役員たち。

『わ、あれアンバート先輩じゃ?噂の男爵令嬢とご一緒みたい』

『はい。いったん切るわ。うつっちゃいけないものうつったし』

しかし、彼女達が移動するところ移動するところ、彼女達が気が付かないところにくだんの男爵令嬢がうつっている。しかも毎回相手は違う相手。


万引きの検証をしている女子役員の背景のすみっこに抱き合う宰相息子と男爵令嬢。

馬車を誘導している役員のはるか遠くを横切る王子と腕を組む男爵令嬢。

優勝インタビューの最中に会場のすみっこで模擬戦で負傷した騎士団長息子にひざまくらする男爵令嬢。

中庭のテラスの満杯のゴミ袋を替えている役員のむこうで、ちらりとうつりこむ謎のイケメンに顎クイされて赤面している男爵令嬢。


「え、あ。こんなの写ってたんだ…」


唖然とする会場の中の人々とエガーテリヤ。


「えっと、今のも問題といえば問題ですけど…もっとわたくしがお見せしたいのが次です」


 数人の女生徒とエガーテリヤが学園のカフェテリアで撮影をしている風景がうつりだす。

 

 『チェック。チェック。本日は晴天なり、本日は…『いたぁぁ!』』

 『大丈夫かっ!ユリアンナ!』

 『きさま!ユリアンナに何を!』

 『ユリアンナちゃん!保健の先生に診てもらわなきゃ!』

 『覚えていろ!エカテリーナ!こんな事をしてただですむと思っている訳ないよな?』

 捨て台詞を土産に去っていく愉快な集団。

 あとには茫然とする女性役員たち。

 

 『…わたくし、エガーテリヤですけど』

 『…間違えてるのかしら…』

 『わたくし、何もしてません…わよね?』

 『…ええ。あのユリアンナという女生徒の方がぶつかってきて、勝手に転んでいたわ』

 『わたくし、生徒会役員ですけど、上級生の生徒会役員をひっさびさに見ましたわ。』

 『ま、いつもの事ね。来年以降に期待しましょう。私たちはまだ2年ありますし』


 それからも、撮影の最中に花壇の花が枯れかけているので役員達が水まきをした後にユリアンナがやってきていかにも自分がまきましたという風に取り巻き達に健気さをアピールしているところや(水まきの道具をかたずけて戻ってきた時には誰もいなかったので役員達は気づかなかった。)


 逆に水まきをしている時にわざとつっこんで来て、びしょ濡れになり怯えた風を装って取り巻き達に庇護されているところや(水まきをしていた当番の少女のびっくり顔が秀逸)

 

 中庭の池にくる動植物をうつすための定点スフィアに池に何かを投げこんでから泣きべそをかきながら池に入って池をさらう様子がうつっていたり意味不明の行動がいっぱいうつっていた。


 特にエガーテリヤの傍に来て転んだり突き飛ばされたふりをしたりする様子が幾度となくうつっていて

会場内は再びしーんとなった。


 『もう、いい加減うんざりなんですけど』

 『まるでエガーテのストーカーね』

 『ねぇこれ、何かのために残しておいたら?何か嫌な予感がするのよ』

 『そうよねぇ。むしろ嫌な予感しかしないわ』


そこでエガーテリヤは再び合図をおくると会場は再び明るくなり、何ともいえない空気がただよう。


 「う、うそよ!こんなのでたらめだわ!」


 「もっとえぐいのがのこっていますけど?お見せしましょうか?」


 「や、やめて!ひどい事しないで!」


 いや~酷い事してるアンタがそれ言いますか…。 


 会場の空気は一斉にそうつっこんでいた。


 「でもこれで、殿下がおっしゃっていた水かけ事件と、形見のペンダント放り投げ事件はわたくしの無実が分かっていただけていただけたと思います。それにわたくしはエガーテリヤ。殿下とユリアンナ様とは何のゆかりもない、嫌がらせなどする必要があるような関係ではないたまたま同じ時期にこの学園に在籍していたという間柄とですもの。」



 「で、でも制服は?わたしは制服を切り刻まれたわ!」


 「わたくしその時はまだ国元にいましたし、それ以降もこの国に来てからはドリアーノ伯爵家に下宿の身分ですもの、寮に忍び込んで貴女の部屋をつきとめてクローゼットの中の制服をどうこうだなんて無理ですわ。それに、その頃にはエカテリーナ侯爵令嬢は病に伏せっておいでのはずよ?殿下はお見舞いすらいかれていないみたいと聞いたわ」


 今度こそ、王子達取り巻きメンバーもあからさまにユリアンナ男爵家令嬢から距離をとった。


「それではごきげんよう。この国で出来た友情の事は決して忘れませんわ。わたくしがこの国に来る事はもうないでしょうが、わたくしの国はわたくしの友人が訪れる事を歓迎いたします」


エガーテリヤとペリドット国の使節が、ゆっくりと退場するのを、王子を含め会場の人々は茫然と見送った。

 

「でも!殺されかけたよの!本当よ!」


 もうユリアンナが何を言ってもうっそだーという空気は覆らない。

 

 「…王子よ」


 王はどっと老けたようだった。


 「これ以上恥をさらしてくれるな」


 王子とその取り巻き達はがっくりと項垂れた。


 それから卒業パーティはうやむやのままお開きになったけど、下級生のあの真面目な生徒会役員の女子達ががんばってカフェテリアでダンスパーティが開催された。

 もちろん騒ぎになった面子ぬきで。


 僕も卒業生のひとりとして参加したよ。


 やりきれなさと、それでも事態が思わない方向で収束してよかったという気持ちと半々かな。


 あんな事がなければ、最高の年度になったはずなんだ。


 第二王子と、有力貴族家の子弟達。それに外国からやってきた優秀な留学生や研究者達。

そうそうたるメンバーだったんだ。


 とても残念に思う。



 さて、僕はあんな事があったけどこの国が嫌いになれない。

 卒業の進路は地方領の役所に決まった。

 毎日が充実してるよ。


 「さすがに中央に扉は開いてくれないか」


 僕は、腕の中の鳥を大空に放つ。

 魔法で作ったその鳥は、空に飛び立つと魔素にとけて見えなくなる。


 どういう理屈かはわからないけど、僕の大事なあの人にこれで必要な情報が届くんだ。


 ちなみに卒業パーティを終えた僕にあの人から届いた知らせはこうだ。


「お前ってば最高にいい仕事したぜ!」


 サファイヤ国、次代王のアルフレッド様からの最高の賛辞は、この国ペリドット国において無実の罪で貶められて追放されてしまったであろう、優秀な人材の侯爵令嬢のスカウトに成功した事だった。

 あと、ラピスラズリ国の研究機関に通じる人物とのパイプもね。


 一生懸命がんばっても足りないところがあって、おいしい所はホウムの爺さんにもってかれちゃったけど。

 それだってアルフレッド様の手の上でのこと。


 ふふっ。もっとがんばるぞー。




それにしても、ユリアンナに刺客を差し向けたのは誰だったんだろう?


エカテリーナに毒を盛ったのは?


 ふふっ。


 この国の闇は思ったよりもっと深いね。


 もっともっと調べなくっちゃ。


 よその国には負けられないよ。


 このペリドットという名のパイを美味しくどうやって切り分けようか皆虎視眈々と狙ってるんだから。


 





 がんばって実績つけて、目指せペリドット国の中央!


 僕は敬愛するあの人を思い浮かべて誓った。

 




騎士団団長の息子は勘当され、それを某国の某令嬢が娶りましたとさ。某国の某令嬢は辺境を治める領のご令嬢で女傑。つおい。

おそらく他の面子もそれなりに優秀で血筋がいいので、腐らなければまた浮かぶ時もあるでしょう。







連休で仕事を持ち帰ってするつもりが、一作現実逃避で書き上げてしまった凹。


明日からが恐怖…。

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[一言] 騒ぎが起こる前に公爵令嬢を救い出す手腕がすごい
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