4:白い狼(+掲示板)
何故か早速1000PVを突破しました。
ブクマをしてくれている読者の皆さんもありがとうございますっ
あ、風邪ひきました(´・ω・`)
「――『ステータス』」
兎の首を狩りまくった結果、夜白のLVは4まで上がっていた。
HP・MPと五種類のステータスの下にはステータスポイントと呼ばれる、ステータスに自由に割り振りできるポイントが『6』と表示されていた。どうやら1LVにつき2ポイント貰えるようだ。
夜白は素早さが上がる『AGI』に逡巡する間もなく全振りし、ウィンドウを消した。
「……行こ」
足音を消しながら、ある程度舗装された道を進む。
薄暗い森は道が出来ていてもやはり不気味で、どこか富士の樹海の様な異様さが滲み出ている。
現実と違う点はモンスター化しているのか、あまり虫がいない点だ。一応探せば見つけられるが、それでもせいぜいミミズくらい。
しばらく進んだところで、黒い毛を纏った狼がうろうろしているのを発見した。
狼の頭上にHPバーが表示される。この狼は『ブラックウルフ』というらしい。
兎とは違って夜白に気が付いた『ブラックウルフ』は振り向いたが――夜白はいつもと同じように背後に回り、短剣を首に添えて一気に突き刺す。
同時に表示されていたHPが0になり、『ブラックウルフ』はその場に崩れ落ちた。
『レベルアップ:LVが5に上昇しました。暗殺術スキルがLV4になりました。』
「……また上がった」
ドロップアイテムは『黒狼の毛皮』だった。衣服の素材になり、売ればそれなりの値段になると説明欄に書かれている。
ステータスポイントはことごとくAGIに全て割り振りし、夜白はさらに奥へと進む。
なかなかめぼしい物もモンスターもいないので、舗装されていない森の中へと足を運ぶ事にした。
「?」
森の奥に、強敵の気配を感じた。現実ならば汗が頬を伝うような感覚。
気配の方向を目指して歩き辛い森の中を三分程散策していると、開けた空間に出た。
「――白い」
五匹の黒い狼――『ブラックウルフ』が囲む空間中央には、夜白と同じような真っ白な色をした狼が鎮座していた。
その上にはHPバーが3本浮かんでおり、ボスクラスであることが嫌という程理解できる。
『セイントウルフ LV25』
「LV25……」
この森で倒してきた『ブラックウルフ』のLVはほとんどが10前後だった。
飛びぬけたLVの高さに、夜白は目を疑う。
「大丈夫――気付かれてない」
夜白は短剣を持つ手にきゅっと力を入れる。
周囲に他のモンスターもプレイヤーも居らず、敵に気付かれていない絶好の機会だ。逃す手は無い。
「すぅ――」
夜白はぬぐえない緊張感を解そうと、静かに息を吐いた。
首を刺せてもHPを削り切れない可能性もある――そう覚悟を決め、夜白は息を殺す。
夜白は素早く『セイントウルフ』の背後へと駆け――
『セイントウルフ』が振り向いた瞬間、その首を貫いた。
「キャインッ!」
悲痛な鳴き声と共に『セイントウルフ』のHPバーが一気に2本と半分削れる。
激しく暴れる『セイントウルフ』の首に刺さった短剣を引き抜き、奥深くに再度突き刺した。
残っていたHPバーが一気に全損するのと同時に、『セイントウルフ』は血に倒れて事切れる。夜白はLVが上がらない事に疑問を抱いたが、まだ戦闘中だから上がらないのだろう、と察した。
「グルル――キャンッ!」
激情した『ブラックウルフ』が五匹一斉に飛び掛かって来たのを横に跳んで回避し、すれ違いざまに二匹の首を切断する。
一番近い位置に着地した『ブラックウルフ』の背後に回り、短剣を突き立てる。
HPバーを全損させた『ブラックウルフ』の背後――死角から飛び掛かって来た四匹目の『ブラックウルフ』を軽くいなし、夜白は右、左の順に二匹の首を貫いた。
「――ふぅ」
敵全員のHPバーが消失したのを確認し、夜白は息を吐いた。
『レベルアップ:レベルが12に上昇しました。暗殺者スキルがLV5になりました。称号【聖獣殺し】を獲得しました。』
何かおかしなものが混じっていた気もするが、気にしない。ステータスを全てAGIに割り振り、夜白はインベントリを開いた。
『セイントウルフ』のドロップアイテムは『聖なる狼の毛皮』、『聖なる狼の牙』と宝箱が一つ。
「――ん」
ごくり、と息をのむ。
宝箱を恐る恐る開けると、夜白の目の前に一枚のウィンドウが出現した。
『【ユニーク】聖狼の衣:VIT+30 AGI+60【身軽】【破壊不可】』
「……なにこれ」
どうやら全身装備のようだった。
――いや、そうではない。二回刺しただけで倒してしまったボス(らしきモンスター)からドロップした宝箱から、急にユニークなんて代物が出てきたのだ。
ゲームを初めて数時間の夜白でも、これがどれほど希少な装備なのか理解できる。装備している『普通の短剣』のSTR上昇値なんて、たった+2なのだ。
微かに震える指で『聖狼の衣』をタップすると、夜白は白い光に包まれて目が一瞬くらんだ。
『聖狼の衣』は、真っ白なワンピースだった。男性が着るとデザインが変わるのだろうか?
「――っ。よし、戻ろう」
――可愛い。
喉まで上がって来た言葉を、唾液と一緒に飲み込む。
夜白は森を駆け抜け、街へと向かっていった。
* * * * *
【NRW】雑談スレその24
784名前:名無しゲーマー
畜生レベル上がんねえ
785名前:名無しゲーマー
効率良い狩場見つかんねぇかなー
786名前:名無しゲーマー
そういえば今日ヤバいロリっ娘見つけた。
787名前:名無しゲーマー
幼女だと!?
kwskキボンヌ!
788名前:名無しゲーマー
≫787 おまわりさんこいつです
789名前:名無しゲーマー
初期装備のとにかく白いロリっ娘が『一撃で』兎狩った後、森の中入っていった。
めちゃくちゃ可愛かった。
790名前:名無しゲーマー
≫789 それ俺も見た。
入る時初期装備だった白髪ロリっ娘が白ワンピ着て森から出てきた。
白ワンピなんてどこでドロップすんだよw
……可愛かったです。
791名前:名無しゲーマー
っていうか初期装備で兎一刺しはヤバくね?
でも幼女がチートは考えられねぇしなぁ……
792名前:名無しゲーマー
それ俺も見た。なんかめっちゃ走るの速かったんだけど。
AGIどんだけ高いのあれ。
793名前:名無しゲーマー
≫790 そりゃあおまいら男だから白ワンピ落ちないだろ。
まぁ女性防具でも白ワンピなんてなかったがな。
794名前:名無しゲーマー
よし、今後そのロリっ娘見つけたら各自報告な。
795名前:名無しゲーマー
今後話題になりそうだからスレ立てとくぞ。
≫【NRW】謎の白ロリについて語るスレ