ミズカが解体できる肉食少女だった
ミズカに、手取り足取り教わりながら、火熊の解体を始めてみた。
ミズカは、久しぶりに肉が食べれるのが嬉しいのか、嬉々として解体を指示してくれる。
若干怖いが、解体しながらミズカが村の人に教えてもらったことを自慢気に教えてくれた。
「火熊はね、新鮮な内なら、肝が食べれて、とても美味しいんだよ!」
食べ方までワイルドなこの幼女はもはや鬼気迫る表情と化していて怖い......単に自分が食べたくてしょうがないのかも知れないが、ちょっと引いた。
「まさかミズカが解体の仕方を知ってるなんて思っても無かったよ、ありがとうミズカ」
頭を撫でてやると、目を細めて気持ちよさそうにしていた、犬みたいでとても愛らしい。
「あとね、あとね。あおい兄、ミズカね、火の魔法も使えるよ!」
そう言って軽く何か呟くと手の平の上に炎が出現した。
「おお! 本当にミズカは凄いな、焚き火にしてお肉焼こうか。」
後で魔法教えてくれないかな......
「うん、いいよ!」
なんて勘のいい娘なんだ。
そうこう言って薪を集めて火をつけ熊肉を焼きながら食べると、お腹が膨れたので非常食として、干し肉を作ることにした。
特別能力『科学者』で楽に出来た干し肉をミズカが興奮した表情で聞いてくる。
「あおい兄それどうやったの!」
興味深々で聞いてきたので、能力でやった事と、能力について詳しく言うと、感心した様に何度も頷きながら聞いていた。
数日経ち、痩せ細っていたミズカは、出会った当時よりはふっくらして、しばらく保留になっていた、本来の目的である街に行くことを言うと
「ミズカも街にずっと行ってみたかったんだ!」
「お、そうなのか......それじゃあ明日にで出発するか」
ミズカはすぐに荷造りを始めた。
「街に行こう、街に行こう♪」
謎の鼻歌混じりで準備していて、本当に楽しそうにしていた。
荷造りも終わりそろそろミズカに出ることを伝えなければ。
「ミズカ、そろそろ行くよ!」
声をかけたが、返事が返ってこない。
不審に思っても見に行くと、二人組の盗賊らしき男に、口を押さえられている。
「お前は誰だ? まあいい、身ぐるみ全部置いていきな、そうしたら命だけは助けてやる。」
「そうだ相棒、こいつ黒髪に黒い瞳珍しいでっせ、売り飛ばしたら高く売れるんじゃないすか?」
いきなり現れ、ミズカを誘拐して売り飛ばすなんて宣言しやがる。
温厚な俺でも流石に青筋立つどころか、もう止まれなかった。
「ミズカを放せ! 放さないってんならこちらにも考えがあるぜ」
「ん?なんだおめえこいつの親か? いや兄弟か?」
「俺は........血は繋がってはいないが数日間一緒に過ごした。それなりに情が湧いてんだ!」
「おいおい、俺に喧嘩売ろうてんのか? 命だけは助けてやろうと思ったが、考え直してやろう、お前を殺してこの娘を売り飛ばしてやる」
その時、俺の中何かが切れた。
後は早かった、能力『科学者』で二人組を解析し、強さを確認したが、雑魚だ。
創造で剣を作り出し、纏めて撫でるように切りつけた。
二人組の胴を剣で撫でると血飛沫が舞いそのまま為す統べなく血に沈んだ。
ある程度手加減していたので、一応は人の形を保っているのだが、ミズカは立ち竦み、怯えていた。
そんなミズカを、抱き締めて少しずつ緊張をほぐしていった。
盗賊は、目ぼしい能力は所持しておらず、調べるだけ損した。
奴らを焼却しほどなくして街に向けて出発したが一晩二人の気持ちは、沈んでいた。
翌日、二人は街に着いた、街の門の前は長い列ができている。
最後尾にいる冒険者らしき人物に、この列について聞いて見ると、この街の入街審査だという。
最後に「最近は物騒だからね」と呟いていた。
そんなこんなで、とうとう俺たちの番がきた。
審査をするのは完全武装した門番さんだ。
「変わった格好しているが、この街に何しにきたんだ?」
ゴツい見た目の割に、親しく話しかけてきた。
「えーと......行商かな、火熊の毛皮と干し肉を売りにきた、あと格好については、気にしないでいただきたい所存です。」
「ふむ......よし、良いだろう通れ。」
あっさり入街許可出た、異世界ものではひと悶着ありそうなのにな......などと考えながらミズカと初めての異世界の街を楽しみながら、火熊の干し肉を片手に半ば見せるように買い取ってくれる人を探索していると、
「おい、兄ちゃん良いもの持ってんな。それ、うちの店で売らねえか?」
商人のおっさんが、声掛けてくれた。
「ありがとうございます! どこに売ろうか考えていた所なんですよ、火熊の革と、干し肉30切ればかり買い取って欲しいんだが、いくらくらい、なんですかですか?」
「むっ! 火熊の革だと! しかも上品質じゃねえか......火熊の干し肉なんざなかなか手に入らないんだぜ......兄ちゃんすげぇな」
「買い取るとすると、全部で最低でも金貨10枚と銀貨2枚ってとこか」
「聞きたいことあるんだがすこしいいですか?」
「なんだ?」
「自分、流れ者なんで、この国の金貨の価値とか、わからないから教えてくれない?」
「おう、それくらいなら構わないぜ」
快く、教えてくれた。
商人曰く、この世界では金貨一枚=10万円ぐらい 銀貨一枚=1000円という価値らしい
火熊の能力は火炎耐性と能力身体強化です
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