異世界は思ったよりつらい
洞窟の最深部で夜を明かした。
早速解析した能力を整理しようと物思いに耽る。
傍から見れば日本だと声をかけられそうな状態だ。
まず、蜘蛛だが、能力『神経毒』と毒耐性を持っていた。
「お、毒耐性か食中毒とかの心配がなくなるかな?」などと考えていたら体が動き安くなった気がするな......
『科学者』でとりあえずLvだけ見てみると、"Lv25"になっている......
「げっ! もうそんなに上がったのか、て言うかLv1の時点で強すぎなかったか?」
などと独り言を呟いていて、ふと思った、そういえばこの世界にはどんな街があるんだろう......
この世界の情報収集がてら行ってみるか、なんて呑気なことを思いながら、この森を抜けることにした。
スキルの所有者である俺ですらチートだと思う『自動製図』を駆使し、森を抜けようにも森が広大過ぎることが、能力を使用することにより気付いてしまった......
歩き始めて2日目 今さらだが、大事なことを思い出した。
「俺まだこの世界来て何も食べてないわ......」
突然思い出したかの如く激しい空腹感に襲われた。
一旦森を抜けるのを中断し、食料を探す事に意識を向ける。
「さて、いくつか果物を見つけたがどうすっかな?、いくら俺に毒耐性があると言ったって、変なものは食べたくないしな.........」
結局20分も考え込んでしまったが、スキルに『鑑定解析』を思い出した
「なんで忘れてたんだ、なんだったんだこの無駄な20分 はぁ......」
早速全ての果物を鑑定解析を行った。
なんと一番美味しそうな果物が、鑑定解析で猛毒がで食べれなかったが、後は全て問題ないなく、甘くて美味しい果物だった
しばらく果物を食べていると、
「ガサガサ、ガサッ.........」
甘い匂いに釣られて来たのか、ゆうに3、4mはある熊がこちらを見下ろしていた。
冷静に熊の能力を鑑定解析した結果『火熊』と言うらしい。
流石に本気で殴ると爆散しそうなので、殴るわけにはいかず、牽制程度の勢いで数発腹に打つ。
「がすっ!がすっ!」
鈍い音が響き、火熊は血を吐きながらばたりと倒れ苦戦する事なく火熊を倒せた。
(しかし、熊は手に入ったが俺は熊なんて解体できんぞ......)
なんて考えていたら、茂みがガサゴソと揺れたので先程のことを思い返し、警戒していると
茂みからは、痩せ衰えた黒髪の小さな女の子が出てきた。
歩き疲れて緊張の糸が緩んだのか、こちらの姿を見ると崩れ落ちる様に倒れた。
慌てて駆け寄ると気絶しただけで、命に別状は無いようだった。
「良かった......息はあるようだし、水とか飲ませたら、いいのかな」
独りで呟きつつ、近くで湧いていた水を汲んで飲ませてあげた。
勘違いしてもらっては困るから言っておくが俺は断じてロリコンでは無い
そうしてしばらく介抱してやると、目を覚ました。
「ここは?」
「見たらわかると思うけど森の中だよ 俺の名前は......」
(やっべぇ、この世界でどんな名前を名乗るか聞いて無かった......)
考え込んでいると「えーっとね! わたしのなまえはね、ミズカだよ」
可愛く自己紹介くれた。
一瞬可愛いと頬が緩んでしまったが、何度も言うように俺は、ロリコンではない。
「そうか、ミズカちゃんって言うんだね、お父さんとお母さんは?」
思い出したように涙目になり泣き出してしまった。
「慌てずゆっくりで良いから何があったか教えてくれるかな?」
「うん、えっとね、夜に突然村にこわい人が来て、お父さんとお母さんが、ミズカだけでも逃げなさいって言って、わたしを逃がしたの、ここまでずっと走ってきたから、ここが、どこだかわからなかったの」
「とりあえず......さ、ミズカさえ良ければ、俺と落ち着くまで一緒に暮らさない?」
「いいの?」
ぱぁっと明るくなり保護欲を掻き立てられるような可愛い笑顔だった。
「うん、もちろんこれからよろしくね」
「えーと、お兄ちゃんのことなんて呼んだらいい?」
やはり聞いて来たので、暫く考えて
「あおいでいいよ」
「じゃあ、あおい兄って呼ぶね」
微笑みながら呼んでくれた。
「ところでさぁそこの火熊どうしたの?」
ミズカのことが一杯で火熊のことを、すっかり忘れていた。
「俺、解体とかやり方わからんし どうしようもないや」
「わたしが教えてあげるよ 村でやり方教えて貰ってたから」
得意気に言っていたので
「じゃあお願いしようかな」
その一言で一緒に解体することになった
誤字脱字がありましたらコメントでお知らせ下さい