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第七話 幸せの国に来る

皆さま元気に過ごしているでしょうか。私は来週土曜授業があって月曜が休みじゃないことに絶望を感じている所です。

今回、本格的な出番はまだまだ先の子が結構登場します。そこ注意です。

一週間で投稿できたよ…!やったね((((((

他の冒険者達は、中庭に入ろうと必死だった。

入れない。入れない。だって、中庭に全体的に結界が張ってある。


「ロールはん。あんさんの個人情報は全部政府が握っている。それを手に入れるだなんて、うちには簡単なんやで?」

「黙れ!黙れっ!」

「ま、セノカはんとセンコはんは貰っていくで。国潰しを殺すためにな」


バリンッ!という音がする。結界が破れた音。これで少しの人数だが、怪我人が出た。

中庭に大勢の冒険者が入る。エニの姿に驚く者ばかり。気にせずにロールへと向かう者もいる。

エニは厨房に続く扉に入り、立ち竦む瀬乃華と銭子に威勢を放ちながら話しかけた。


「依頼。永遠の幸せの国『ブリチェスター』へ行ってもらうで。そこに国潰しで有名な、リナリオ・マーガレットが来るとの情報や。そいつを殺してもらうで!報酬は、かなり出させてもらう。そやな、金貨十五枚でどうや」


鉱物がぶつかる音がする革製の袋をバックから取り出し、エニから見て右にあった机に落とす。

瀬乃華は恐怖を抑えながら言い返した。


「殺すって、私たちがそんなことするとでも思ってんですか!」


エニの威勢が増す。誰だって、何も言われなくても察することはできる。逆らうことはできない。


「うちとが嫌ならそれでもええで二人だけで行っときい。馬車は手配してやるて」

「……わかりました。行きます。ただし、二人だけで」


銭子が返事をした。

返事を聞いたエニは、わざと遠回りして、表口の方に向かった。金貨が入った袋は置いたまま。

瀬乃華とは逆に弱気な銭子が返事をした。瀬乃華は信じられなかった。まさか、睨み、見上げながら依頼を請けるなんて言うなんて。誰にも、親友である瀬乃華にも思ってもみなかっただろう。


「センコはんは度胸があるなぁ。今すぐに手配たる」


それだけ言って出て行ってしまう。またバリンッ!という音がした。痛いという声が多数聞こえる。


「銭子ちゃん!どうして!?」

「……なんでだろうね。わかんないんだよ、どうして請けるって言ったか」


二人の瞳には涙。恐怖と、後悔と、怒り。その三つが合わさって複雑な気持ちになり悲しい気持ちになった。少数だが、戻ってきた冒険者達はそんな二人を見て見下している者もいれば驚いている者もいる。

一人の冒険者が戻ってきた途端に、声を上げた。


「ふむ、最近の者共は悲しげにしている新米にも声を掛けれぬか!」


顔を上げる気力すら無い。でも、声からして男性だ。その男性は二人に近寄り、手を差し伸べ声をかける。


貴女(きじょ)達。何があったかは知らぬが、我に出来ることなら慰めよう」


瀬乃華は涙を拭かずに、顔を上げた。当然男性の姿はぼんやりとしか見えない。


「ありがとうございます」


弱々しく答える。


「一つ質問したいんですが、ブリチェスターとはどんな国なんですか?」


一番疑問に思ったことだ。エニに国に行けと行ってもどんな国とまでは知らないから、せめて知っておきたいと思った。


「ふむ。永遠の幸せの国ブリチェスターか。あそこは近くに大きな湖があることから、一度水害が起きると、それは酷いと言われている。もう一つ、人々は花の名を人名にしている。それくらいか」


もう一度お礼を言うと、瀬乃華は銭子の手を引っ張って外に出た。銭子は慌てて荷物を入れてあるバックに手を伸ばし、持った。慌てて声をかけてくれた男性は金貨が入った袋を銭子の手に乗せる。


エニが丁度店に向かっていた所だった。


「お。そこにある馬車がそうやで。それじゃぁな」


エニは二人の横を足早に歩き通って行く。完全に見えなくなるまで見続けるのが面倒だった瀬乃華は馬車の方を向く、そしてそれにつられて銭子も馬車の方を向く。

運転手の男性はクスクスと笑っている。

きっと思い出し笑いでもしているのだと銭子は予想し、ふふ、と笑った。自分も思い出し笑いをしたから。そして瀬乃華は、前に崖下にある村に送ってくれた運転手と同じ人物だと気がついた。


「あ、あの時の運転手じゃないですか!」

「え?あれ?」


銭子はポカンという顔をしている。


「覚えててくれよかった、マジで尊敬する」

「いえいえ」


運転手の男性はボサボサの黒髪に鎖のネックレス、紺に白で模様があるワイシャツにGパンという服装の少年だった。こうも現代のような服装をしている人が多いことに銭子は考えた。


「僕は八雲景樹(やくもかげき)。種族は人間、職業は剣士、今は暇だからここでバイトしてるんだよ。とりあえず乗れ乗れ」


手で合図をされてまで誘ってきたので乗ることにした。


「あ、私は__」

「桜井瀬乃華だろ?そっちは家宮銭子。少し、有名になってるぞ?」


言葉を止められて名前まで当てられたことに驚きを隠せない二人。でも景樹は振り向かずに馬車を発車させる。


「私たちどれ程有名なのですかね」


瀬乃華は苦笑いをする。そして自然に体育座りをした。


「噂は東洋の一部にまで来てる。とか言って、西洋の全体は流石にないけどな。横長の長方形みたいな感じに広がっている」

「あ、あのぅ……」


景樹がうんうんと頷くと、銭子が急に、不安という表情をしながら口を開いた。


「あの、なんでそんなに、初対面の私たちに軽いんですか?」


二人には後ろ姿しか見えない景樹は今どんな表情をしているのかわからなかった。そこで黙ってしまったが、銭子にはそれがどうしてかが異様に気になった。そして、景樹のゆっくりと息を吸う音が聞こえる。


「飛ばすぞ」


そう景樹が言った瞬間、一気に吹き抜けになっている所から風が入ってきた。二人は驚いて反射的に目を瞑った。

銭子は必死に目を開こうとした。そしてうっすら目を開いて外を見る。

驚く程のスピード。「飛ばすぞ」という言葉は馬を早く走らせるだけだと普通は思う。でも、それは馬でさえ走れない程のスピードだった。

それが少しの間、確認できても満足感はないがこれ以上は限界と思い目を閉じた。


☆★☆★☆★


数十分だった。

そう感じるだけかもしれないが、数十分も強風に耐え続けて、急に強風は治った。


二人が目を開けると、遠くから見ても賑やかな国が見えた。大きな城が奥に構えており、家々は色取り取り。全体的に少し高い柵が覆われている、城とは別々になっていて城の方が比べるまでもなく柵が高い。

ぱっと見で完全にわかる街の入り口の石造りの門と、城と街の間にも石造りの門があった。野原の道になっていない場所には様々な花が咲いている、向こう側にある道もそうなっている。

そしてその街の、今走っている道から見て右側にこの街と城よりもはるかに大きな湖が見える。


「あそこがブリチェスターだ」

「景樹さん、さっきのスピードは……!」


銭子が怒ったように言う。


「東洋能力だ」


キッパリと、当たり前のことを言うかのごとく言う。


「はぁ、東洋能力、ですか」


銭子が反応することは無く、瀬乃華が反応した。

それから会話が続くことはなく、着くまでずっと馬の鳴き声と車輪が転がる音だけが続いた。


段々近くにつれて遠くから見ていた時には想像がつかなかったが、家々の一軒一軒が大きかった。当然、城もかなり大きく湖も予想以上に大きい、現代で言うところの金持ちの屋敷というところだ。そして湖はかなり深いと考えれる。そこまで近くなくても底の暗さがわかる程だった。


☆★☆★☆★


店の中は、さっき二人に声をかけた男性に対しての反応がすごかった。

容姿は、見るからにして東洋の者がこんな場所に来ることがすごいことだから。

男性は中庭に行き、ロールが他の者達に心配されているところを立ちながら見ている。一人の少女がその男性に話しかけた。


「おやぁ!こんなところでお会いできるとは光栄です!神族の長様!今回はどうして異世界においでになったのですか?」

「東洋の姫君か。何、あの二人の物語を見に来た」


そう言って二人で立ちながらロール達を見ていた。

段々と言い合いの声が大きくなっていき、戦闘になった。数分だけの時間でロールが圧勝した。


「さすがは元×××××」

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