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第十四話 夢の中で決まった言葉

今回、あれです。めたいです。

どうしてかな。この先どうしようか全く考えてなかった。周りに雰囲気を合わせてたから、さっきも行く雰囲気だったから入っていった、だから、その先どうしようって考えてなかったんだよね。うーんと、えっと、えっと……。


「お困りのようだな、貴女(きじょ)」


どこかで聞いたことがある声。そこに居たのは、茶色の整った髪、目は緑と青のオッドアイ、真珠が中心にある束帯に下駄という男性だった。


「あ、その、えっと……」


なんて言えばいいかわからない。頭の中にこう言えばいいっていうのが溢れてきてこんがらがってしまう。


「名は、橸栩粳(まさとちうるち)と申する。気軽に橸と言ってくれ」

「私は家宮銭子……です。橸さん。勢いに任せて扉に入ったのはいいんですけど、どうしたらいいのかなって」

「ふむ。ではついてくるがいい」


私は、言われるがままについていく。行かずに行き詰まるよりかはいいからね。


「かなり歩く。どれ、少し話しながら歩こう」


橸さんは、いろんなことを話してくれた。自分は神界の一つの村を治める神だ、とか。鍄槞熕(りょうろうこう)という可愛い弟子がいる、だとか。三つ目に、不思議なことを話してくれた。


「銭子は、機械についてどう思う」

「とても便利なもの……ですね」

「やはりか。数年前、"ベリースマートテレホン"に搭載されたAIが神界に攻めて来た。一つでだ」


(えっと……話が見えてこないな……?)


「そのAIは人々を破滅させようとしていた。そして、神がいなくなれば人間も簡単に殺せるだろうという理由で神界に。私と戦闘になった。当然機械は敗北。そして我は名を与えた。壥閠妛(てんじゅんし)、とな。だが機械がまた暴走を起こし人々や神々が死んでしまう可能性はある。あの時だって、あの技を使っていなければ……おっと。これ以上は話してはいかんな」


あえて、私は何も言わなかった。なんだか話しちゃいけないなって。そして、入ってはいけない領域のような気さえした。


貴女(きじょ)はどうしたい。機械のように暴走を始めたあの小説家をどうしたい」


(瀬乃華ちゃんを……どうしたい、か。もちろん)


「救いたい……です。あの滅びた国で、洗脳するように聞こえた声の中、勇気をくれたのが、瀬乃華ちゃんです。借りは返さないとなって」

「確かに借りは返さねばならんな。だがな。借りを返すのは、とても難しい」


橸さんは上を向いて微笑んだ。


「我も、借りを返さねばいかん者がいる。だが、その者には借りを作られてから未だに会えてないのだよ」


その時、私の心の中にふとある人物の顔が浮かんだ。

____お姉ちゃん。

私を庇って死んじゃったお姉ちゃん。車に轢かれそうになって、私を庇って死んじゃったお姉ちゃん。買い物に行ってる途中、車に轢かれそうになって、私を庇って死んじゃったお姉ちゃん。


「そういうことだ」


私は、何も言えなかった。

やっぱり、神様ってすごいな。感心しちゃう。


「あと、我は君たちに借りができた。これはいつか返させてもらう」

「え、え?か、借りって、何ですか?」


戸惑っていると、突然眩いほどの光が見えた。そこには鏡があった。岩から生えたツタに支えられ、水を流して岩の色を少し濃くしている。それには暗闇の背景が一面花畑と雲が少々ある青空になっていて、その花畑に私と橸さんがいる。


「着いた。ここが目的地。我はもう戻る。いつか、神の気まぐれがまた逢わせてくれることとなるだろう」


橸さんは、どこかに行ってしまった。

神の気まぐれが?ご縁があったらとかならわかる。だけど、神の気まぐれがなんて聞いたことがない。

まぁ、いいか。私は鏡に写る景色を眺めていた。そして、とあることに気がついた。


☆★☆★☆★


自分の隣にラピスラズリがある。それも、宙に浮いている。それを、覗き込んだ。いつもの私が写っている。それを、数秒じっと見ていた。すると、違和感を覚える。

自分の髪が青くなっている。急いで鏡で確認した。自分の目で確認した。やっぱり青だ。

手を鏡に当てる。どうして青になってしまったかわからない。でも、なんだかこの姿がしっくりする。


「あなたの物語を廃棄しまった。取り戻すには、また作り直すしかない」


どこからか聞こえた声。あたりの暗闇の中に誰もいない。鏡を見たら、私の後ろにいた。光に包まれた私そっくりの人物。


「だから、もう棄てないで。あなたの物語。現人神なんだから、みんなにお金をあげるの。そうしたら信仰が集まる。大丈夫、大丈夫。あと二つだから。あと二つであなたは現人神に戻れるから」


よくわからない。でも信じてみることにした。でもよくわからない。


「さぁ、青に戻った。早く白に行ってあげて。あなたも救われたように、彼女も絶対に救える。白と青は大昔から分かり合える存在だから」


最後の言葉は、とても不思議だった。


「ネタバレは、最後にね」


光に包まれた私は消える。私は鏡を見るのをやめた。鏡の向こう側を目指す。そこに、何か気配があったから。


☆★☆★☆★


「なぁ。本当にこれでよかったのか?」


地下書斎の中である本を探している少女の横に、その使いである彼女は話しかける。


「うん。それに、都合が悪くなったら書き直せばいいだけだし」

「それもそうだが……」


使いである彼女は一冊の本を手に取った。


「なぜ彼女を復活させた?彼女はこの物語で消滅させたはずだ」


その言葉を聞いた少女は禍々しい気配を出しながら彼女の頭めがけて後ろ蹴りを放つ。しかし、彼女はナイフを咄嗟に取り出し、刃を足に向ける。ギリギリ刺さらない所で少女も足を止めて下ろす。


「知らない。勝手に現れた。多分、また書き換えられたんだよ。あのうざったい脳筋ちゃんに。いや、でも今回はりょーちゃんかな?」


少女はうーんと言いながら悩み始める。


「ところで、さっきから何を探しているんだ?」

「イアイメちゃんとアルちゃんの設定(プロフィール)。もうすぐの最終章で出るんだし二人も出そうかなって」

「放置してたからさっさと設定書いて使おうということか」


彼女はさっき手に取った本をしまって、可愛らしい表紙のノートを手に取る。


「これだ」

「おー!ありがとう!」


満面の笑みを浮かべた少女は、机にノートを置き、開いて、ページを探す。「ここだ!」と声を出すと、早速書き始める。でも二、三回途中で絵を描くのでかかる時間は長い。その時彼女は椅子に座り本を読みながら待っている。

しばらく待つと、時計が三回鳴り響き、鳴り止むと書斎の外から声が聞こえる。


「おーい。おやつの時間だ。今日はチョコケーキとシュークリームだ」


青年の声だった。その声を聞いた少女はノートを閉じると扉を開き、外にいる青年を置いてけぼりにして階段を上がっていった。彼女は呆れた様子で書斎の電気を消して書斎から出てくる。


「お疲れ。それで、チョコケーキとシュークリームと、何だ?」

「ココアかっこクリーム乗せかっこ閉じる」

「お前その言い方どこで知った」

「神話生物組が言ってたんだよ」


並んで階段を上がっていく。もう少女の姿は見えない。理由は二人ともわかっている、少女は食いしん坊な性格だからだ。


「どうしてあいつの大好物選んだ」

「俺も食べたかったから」


イラっときたのか、彼女はナイフを振るう。それを回避するかのように青年は幼い女の子に化ける。そのせいで彼女は階段から滑って書斎の扉に頭をぶつける。


「いきなり何するんですか!」


幼い女の子に化けた青年は彼女にそう言った。彼女もすぐに立ち上がって再び階段を上っていく。

誤字脱字等ありましたらコメください。

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