プロローグ
新連載だよ!
ちょっとした都会、羽音町にある観光地の森の入り口には二人の少女。
一人は整った黒の長髪でパッチリとした黄色のカラコンをした瞳。白が主で黒が所々に目立つロングスカートのワンピースの服と踵部分と脇の部分に穴が空いているブーツをしているというコスプレをしている。一番の特徴が赤枠眼鏡の伊達眼鏡の少女。
世界的大ヒットしている、小学六年生の時見事にコンテスト優勝し小説家デビューし、まだまだ取材が絶えない現代忍者の後継、くノ一の現在中学一年生の桜井瀬乃華。
もう一人は同じく黒の長髪で黒の瞳。コスプレ用の巫女服。一番の特徴がおしゃれの薄茶色のカチューシャをした少女。
家宮神社の本当の巫女であり日本で人気の少女向けの漫画雑誌のコンテストに優勝し漫画家になった現在中学一年生の瀬乃華の親友、家宮仙子。
その森の入り口には、何かの裂け目があった。瀬乃華の推測では転移するためのだろう。
普通なら無視するところだが、瀬乃華はいまあることに困っていた。
ネタがない。
実は瀬乃華。ネタがないことに困っており歩いているところこの裂け目を発見。
入ろうと決心し、親友の銭子も一緒に行こうとした。
仙子を誘った理由としてはとりあえず一人は不安だから、だそうだ。銭子本人は学校で見せる漫画のネタに困っていたので一緒に行ってもいいと(瀬乃華が押し切って)不安ながらもOKした。
あともう一つ言ってしまえば、二人は幼稚園からの幼馴染、なので瀬乃華はもう一人行こと誘ってOKしてくれる人が仙子しかいないのだ。
そして、この裂け目に入ろうとした理由はもう一つある。この流れは、異世界行っちゃうんじゃね?という発想だ。今のライトノベルはほとんど異世界ものが流行している。なので実際行って体感しようと思った。
異世界ということで、持ち物は万全だ。
瀬乃華は大量の本を詰めたアタッシュケース、忍者セット。仙子は自身のお祓い某とキャンプセット、瀬乃華と自分の着替え。
「ねえ、なんでコスプレなの?しかも自分の小説の」
実は瀬乃華が着てきたコスプレは、瀬乃華が書いた小説のうちの一つのキャラクター。
あまりにもの人気に、コスプレ服を発売し始めたもの。
その時の瀬乃華は小学六年生で本当にびっくりした。
着てみたところ、「動きやすいし、ハロウィンにもぴったり!」と言い、さらにそのキャラの小説の作者というツケでもらえた。
「まさしく一石四鳥!趣味の小説書いて、コスプレもらって、さらに動きやすい!そして、これを着ていればただのコスプレイヤーかと思われて私だとバレたりしない!」
「言い過ぎじゃない?それに…」
仙子は周りを見渡す。
周りはコスプレをして街中出歩きさらに眼鏡をしている瀬乃華にチラッと視線を送る人が多い。いや、銭子の巫女服に目を向ける人もいるのだが。
そして珍しいと思い写真を撮る人までいる。コスプレイヤーにはちゃんと許可を取って写真を撮らなければいけないということを知らない人が。
瀬乃華はあっと思いすぐさま仙子の手を掴んで引っ張り裂け目に入っていった。
「のこのこ入ってったね」
ポニーテールの少女が呟いた。
二人のことを観察して、思ったことを。
「……きっと悲惨な目にあうんだよね……うん」
たくさんの宝石を身にまとった少女が自信なさげに言う。
「そろそろ戻らんと大騒ぎになるぞ」
二人のことなどどうでもいいと言わんばかりに浴衣を着た少女が言った。
「ああ、うん」
一番体格の小さい幼女が浴衣を着た少女に対して言う。
この四人が、森の中の物陰からこっそりとその二人の様子を伺っていた。
自然四姉妹。後に、瀬乃華と仙子の運命を大きく変えることになる四人の姉妹だ。
……溶け込むように、森の奥へと足を踏み入れていった。