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告白  作者: 車男2
4/4

ランチ

 昼休みになると、ざわついた廊下を通って、ヒショウが教室まできてくれた。もともとはクラスに話す人は多かったのだか、ヒショウと付き合い始めた今日は、まだ誰とも話していない。上履きを履いてないのも、ますます私を寂しい気持ちにさせた。午前中の授業は移動教室はなく、ずっと教室で過ごした。授業中は靴下だけの足下が気になって仕方がない。授業になかなか集中できなかった。机は最新式のもので、足を置く棒がない。なので、いすの下で組むか、伸ばしておくか、足を落ち着けられなかった。休み時間になるたび、靴下の裏の汚れが気になって、見ない方がいいのに見てしまう。あまり歩いていないのに、真っ白だった靴下は昼前には真っ黒な足の形が浮かび上がっていた。今まで見たこともないほどに汚れていた。どうしてヒショウが、私にこんなことをさせるのか、わからなかった。

「やあ、元気だった?」

「うん・・・」

「元気じゃあなさそうだな・・・。まあ、仕方ないか。気晴らしに、屋上で一緒にごはん食べようか!学校の中じゃあ人目が気になるだろ」

屋上で、一緒に、と聞いて、途端に胸が弾む。

「いいですね、屋上!じゃあ食べましょう。ヒショウは、お弁当は・・・?」

「購買で買ってきた。早く行こう」

「うん!」

私の学校は屋上が解放されていて、いつでも入れる。屋上への階段は校舎の端にある。私の教室も校舎の端にあるが、まったく反対側。廊下を端から端まで移動する。そして、階段を屋上まであがる。ここはあまり掃除していないみたいで、汚れているのがはっきりわかる。屋上はコンクリートむき出し。靴下ごしに、コンクリートのざらざらが伝わってきた。初めての感触だった。風が強く、あまり人はいなかった。適当なベンチに並んで腰かける。ヒショウは上履きを履き、私は靴下・・・。

「どうだった?靴下は?」

「え?あ、ちょっと恥ずかしいかな・・・」

ほおが赤らむ。

「今朝よりだいぶ汚れちゃったね。見ててうれしいよ」

うれしい・・・?

「はあ。あ、あの・・・」

「ん?」

「いえ、なんでもないです」

聞けない。返事がなんか恐い。その後は明るい話をして、昼休みは終わった。これからは、いつもここで食べようということになった。また、靴下で教室に戻る。次に会うのは放課後だ。

 教室につくと、急に尿意を催し始めた。水を飲み過ぎたのかな?私の学校のトイレは、はっきり言って汚い。古いというのもあるが、とにかく臭いのだ。また、トイレ専用のスリッパはなく、みんな上履きのままで入る。そう考えると、トイレに入った上履きで校舎を歩いているのだから、校舎の床も、トイレと同じように汚いということに・・・。いや、そんなこと考えてはいけない。ヒショウと付き合っていけなくなってしまう。

ヒショウと付き合い始めて、まだ初日だけど、なんか他の女子とは話しづらくなった。上履きを貸してくれそうな人は、教室に残っていなかった。それに、こんなに汚れた靴下で人の上履きを借りるのは申し訳なかった。我慢しようかと、思った。


つづく

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