告白
私は今、高校2年生のチサト。高校に入って2年が経ったが、私に好きな人ができた。1年上の3年生の先輩。サッカー部のエース的存在の男の子だ。スタイルが良く、顔もかっこよく、運動能力は抜群である。おまけに、優しいと評判だ。同学年からの人気はあまりないが、1,2年生からの人気は絶大だという。名前は青空飛翔。かっこいい。そんな彼だったが、なぜか、告白した女子は必ずと言っていいほど、ごく短期間で別れてしまうという。女子の方から断ってしまうそうだ。断った女子は、その理由を話したがらないが、なんでだろう・・・。
私はそんなに内気な方ではない。結構話す人も多いし、授業でも積極的に発言する。男友達も多い。中学生のころに一度告白し、しばらく付き合ったこともある。今はタイミングを見計らっているうころだ。
たいてい、告白するには彼に手紙を渡さなくてはならない。それはもう準備できている。あとはこれを、彼の靴箱に入れるだけ。
靴箱に手紙を入れた次の日、私は指定した場所に、指定した時間より10分早くいった。彼は5分後に来た。
「えと・・・。なんですか?」
「あの、・・・私、2年の高橋チサトといいます」
「うん。」
「あの、青空先輩のこと、いつも見てますー」
自分の想いを伝えると、彼の返事が。
「うん。いいよ」
「そうですか・・・、え?え?」
思わぬ答えに、私は慌ててしまう。
「でもね、僕と付き合うんだったら、やってほしいことがあるんだ」
「はい!なんですか?」
先輩の言うことなら、それに、付き合えるのなら、なんでも、やりたい。
「きみ、いま上履き履いてるよね?それ、やめてほしいの」
「は・・・、はい?」
なんだか、私の予期せぬことばかりが起きて、頭が混乱してくる。上履き・・・?
「どうかな?」
重ねて尋ねる先輩。
「えと、その、ちょ、ちょっと待ってもらえますか?」
頭がオーバーヒート寸前だった私は、そこでストップをかけることしかできなかった。けれど先輩は何でもない風に、
「じゃあ、返事は3日後に。早くしないと、誰かほかの人にやってもらうことになるかもね・・・」
「わかりました・・・」
なんだろう・・・。なんで先輩が・・・?そんな趣味があったのか・・・。でも、上履きを履くのをやめるって、どういうこと?
家に帰っても、考え続けた。上履きを履くのを止めろって、校内を靴下で歩けっていうこと?まさか、土足しろってことじゃあないよね・・・。
じゃあやっぱり、靴下で・・・。なんで?靴下が汚れるのがいいの?私の中では、校内を靴下で歩くのはちょっと嫌。一人だけ裸足なんて・・・。でも、やってみたい気もしないでもない。でも、でも、どうしよう・・・。
次の日もそのまた次の日も、彼に返事はできなかった。学校での授業も身に入らない。先生たちに心配されてしまうほどであった。ずっと迷っていた。しかし、決めた。あの青空先輩と付き合うチャンスだ。きっとみんな、校内を靴下で歩くなんてできないから別れちゃったんだ。私なら、できる。あした、きっと彼に返事をしよう。はい、わかりました。お願いします!って・・・。
つづく