第1話
俺の名前はジン。
黒髪黒目しか特徴がないただの冒険者だった。
『だった』というのもついさっき無茶をして死んでしまった。
つまり今の状況はというと……
ここはどこだろう。
ジンはそう思いながら辺りを確認していく。
「こんにちは、ジンさん」
と少女のような可愛らしい声が聞こえてきた。
ジンが振り返るとそこには10歳くらいの女の子が立っていた。
「君はだれ?」
「私はあなたの世界でいう神様に近い存在ですかね」
「神様だって?」
ジンは俄かには信じ難いことをいうその女の子をみて考えを改める。
確かにこの不思議な空間に加えて底の見えない強さの女の子がいるんだ、あながち神様ってのも嘘じゃないかもしれないな。
「信じてくれてよかったです」
と少女はあどけない笑顔で笑う。
「心も読めるの!?」
とジンは感心する。
しかし笑顔が可愛いなぁ、なんか庇護欲を掻き立てられる気がするしなぁ、いやむしろ頭撫でていいかなぁ、いややっぱり抱きしめよう。そうしよう。
「あのぉ…ジンさん心の声が危ない方向にいってませんか」
と少女は顔どころか耳まで真っ赤にして聞いてくる。
「あっ、ごめんごめんで神様が何の用だっけ」
とジンは半ば話を逸らしながら聞く。
少女はその意図に気付き、『仕方ないなぁ』と言った後に真剣な顔になる。
「ここにお呼びしたのはあなたの処置についてです。もうご存知の通りあなたは死にました、しかし生前のあなたの善行を考慮してあなたの願いを叶えた上で転生させることにしました。」
「それは太っ腹だなぁ、そんな大したことした記憶がないんだけどね」
と苦笑いしながら答える。
「記憶がないのは仕方ありません。なにせ最大の善行はあなたが文字通り命をかけて倒したドラゴン討伐によるものです」
「あぁ、あいつかぁ。でも結果勝てなければ意味がないんだよなぁ」
と自嘲気味に呟く。
「と言うわけでどんな願いをしますか?」
と少女は上目遣いで聞いてくる。
うーんとジンは考える。
「どんな願いでもいいんだよね?」
「はい、私に叶えられる範囲であれば不老不死から魔力無限までどんなものでも叶えますよ」
と少女は笑顔で答える。
ジンは珍しく本気で考える、そして一つの悪戯を思いつく。
「