ファミリーレストラン
「あれ?こんなところにファミレスあったっけ?」ぼくはつぶやき、首をひねった。
”ファミリーレストラン ヂョイフル”と、その店の看板には書かれていた。
「たまには、レストランで飯でも食おう」ぼくは、ふらりとその店にはいった。
適当な席についてメニューを見ていると、支配人がやってきた。
「兄ちゃん、いらっしゃい、メニューはお決まりですか?へへ」
やややせた体格にきっちりセットされた髪の支配人。態度は柔らかいが
その瞳にはなにか危ない光を感じた。なんとなく笑顔が怖いのだ。
「そ、それじゃあ、この、『素敵なステーキ』ください」
「よりによって、『素敵なステーキ』かよ…素人にはかなわねえな」
支配人は吐き捨てるようにつぶやくと、厨房に向かった。
その直後、厨房から凄まじい怒号と、何かを激しく叩く音が聞こえた。
「ちきしょおお!!このやろお!!」 ガン!! ガン!!
いったい何事か?恐る恐る厨房の中をのぞくと、支配人が力まかせに牛肉を金槌で叩いている。
見てはいけないものを見たと思い ぼくは自分の席に戻った。
5分後、支配人がステーキを運んできた。
「お待たせいたしました。『素敵なステーキ』でございます」
こ、これが『素敵なステーキ』…一見、普通のステーキだが?
「鉄板が大変お熱くなっておりますので、ご注意くださいませ。危ないからな」
「は、はあ」適当に返事をすると、支配人の目の色が変わった。
「兄ちゃん!ホントにわかってんのか?この鉄板がどれだけ危険な存在か分かってんのかよ!!」
「えっ……」
「これだから素人は…見てろ!この鉄板はこんなに危ないんだよ!」
そういうと、支配人は、自分の顔を、鉄板に押し付けた。肉の焼ける音と、匂いがした。
「ぎゃあああああ」ぼくと支配人は、ほぼ同時に叫んだ。
ぼくは恐怖に叫び、支配人は苦痛に叫んだ。
「み、見ろ、兄ちゃん、これがレアだ。目をそらさずに見ろ!へへへ、ウェルダンも見てえか?」
「やめろー!やめてくれー!!」
END
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