第6章
凍えるぐらい寒い雪の中で、私はただ一人、レオを待っていた。
相変わらず連絡もこない。
足も寒くて動かない。
帰る事も出来ない。
私はどうすればいいのだろう。
雪が私を見えなくさせていく。
私‥‥死ぬんだ。
最後に‥レオに大好きって言いたかったなぁ。
最後ぐらいレオに会いたい。
私の視界が涙でぼやける。
目をつぶって、諦めた時‥!
「‥お!真央!」
‥‥‥!!
レオ‥?一番会いたかった人‥‥
レオは、私にかぶさっていた雪をはらい、思い切り抱きしめてくれた。
「ごめん。ほんとにごめん。」
レオはそれを繰り返していた。
気がつくと、病院にいた。
「気がついた?」
レオが、心配そうな顔で私を見つめていた。
私の腕には注射の針が刺さっていた。
あぁ、うち寒さで倒れたんだ。
レオが迎えにきてくれなくて‥1人でずっと‥‥
視界がくもる。
「ごめん、真央。」
「さやさんと何があったの‥?」
私が聞くと、レオは顔を歪ませながら
「さやは‥‥病気だった。」
病気‥?
「えっ。何の病気?」
「ガン。」
ガン‥‥‥‥?
ああ、そりゃあこれないよね。
「じゃあなんであの時‥クリスマスにはこれたの?」
レオはまた顔を歪ませてから、
「嘘だった。」
「嘘‥?」
「ああ。ガンって嘘ついて、俺を引き止めてた。」
「なんでそんな事‥‥。どうして嘘って気づいたの?」
「病院で検査を受けた結果の紙を見つけて。
日付はつい先週、結果は‥‥異常なしだった。」
そんな‥さやさんはなにが目的っ?
「そんで、さやに、嘘なら帰るっつって真央にメールしたら、さやが死ぬとかいいだして‥」
さやさんはまだレオの事が好きなんだ。
「なかなか帰れなかった。ごめん。」
レオはうちの前で、深々とお辞儀をした。
「大丈夫だよ!気にしてないし、レオ悪く無いじゃん!」
「ありがとう。真央。」
頭をあげたレオは、今までで一番キレイな笑顔を見せてくれた。
涙でにじむ私の視界を、レオが優しく拭ってくれた。
「もうぜってぇなかせねぇから!」
強く抱きしめてくれたレオは、何故だか震えているように思えた。
気のせい‥かな。