~第5章~
~第5章~
あぁ、寒い。
季節は冬。
あのあとからレオは帰ってこない。
多分、今頃沙耶さんと会ってるんだろう。
行かないでって言えばよかった。って、今になって何度も思うようになって。
でも、全部私が“正しい”と思って言ったことだから。
後悔はしてない。
嘘。本当はめちゃくちゃ後悔してる。
でも、私がもしもあの時、行かないでって言ってたとしても、後悔するだろう。
だから、正しいと思う方を選んだ。
私は間違えてなんか無い。そう言い聞かせている。
「まお―!真央の彼氏また休みじゃんっ!何かあったのかな―?」
千紗は何も知らない。
「わかんないっ。でもいつか来るよ!」
「そだね―。そいえば、魁真央に話しかけなくなったよね。」
「き‥気のせいだよ。」
「そっかあ。」
あの日から魁とは目も合わせられなくて、気まずい雰囲気になってしまう。
今日でレオが学校に来ていないのが、4ヶ月になる。
あれから連絡もとれてなくて。
沙耶さんとよりが戻ったんだと思う。
もうすぐクリスマスの季節で、みんなは予定があるみたい。
私はレオと過ごすと思ってた。クリスマスまでには来るかもしれない、って思ってた。
ううん、今でも思ってる。
迎えに来るって信じてる。
普通は4ヶ月も経ったら自然消滅なんだろうけど、レオが戻ってくるって信じたいから。
「てか、真央はクリスマスどうするの?」
「特に予定はないかなー。」
「じゃあさ!うちきなよ!聞きたい事いっぱいあるしー!」
千紗はニヤニヤしながら言った。
「了解っ!」
家に帰ると、メールが届いていた。
開くと、レオからだった。
“真央、ごめん。
クリスマスには戻る。
もしクリスマスまでにいけなかったら、クリスマスの日、学校の屋上で待ってる。”
胸が苦しかった。
“レオ”
の文字をみるだけで、こんなに愛おしい。
クリスマスには戻るって事は、クリスマス一緒に過ごせるって事だよねっ?
嬉しい‥。大好き。レオ大好きだよ!
私の思い、届いているかな?
でも、どうしてすぐに戻れないんだろう。
なにか理由があるのかな‥?
そのあとすぐに千紗にメールをうった。
クリスマス一緒にいれなくてごめん。と。
それから数日が経ったけど、帰ってくるどころか、連絡も来ない。
でも、クリスマスまでには‥
クリスマスが明日に迫った時、千紗と一緒に、クリスマスに着ていく服を選んでいた。
「ねぇ真央!これ可愛くない!?」
「それは派手すぎでしょっ!」
あーだこーだ言ってやっと決まったのは、ピンク色のワンピースに、黒のニーハイ、上着には少し短めのを選んだ。
レオ気に入ってくれるかな?
クリスマス当日。
レオに、メールをうった。
屋上で待ってるね。と。
でも、
返信がこなくて、三時間待っても、レオは来なかった。
明るかった空が、どんどん暗くなっていく。
寒くて寒くて、薄着で来なきゃよかった。と反省した。
‥‥‥‥‥ん?
‥雪?
雪がふってきた。雪が私の肩につもる。
寒い‥
凍え死んでしまいそう。
おやま座りで座って、寒さをやわらげる。
レオ‥早く‥来て‥。
どんどん積もっていく雪。
私のからだは、ひざまで雪にうもっている。
座っていられなくなって、そのまま倒れた。
足の感覚が無くなっていく。
朦朧とした頭の中で思う。
“レオは私を裏切った‥?”