第4章
~第4章~
あの事があったあと、私はすぐに家に帰った。
あの時どうしてレオを責めたんだろう。
どうしてちゃんと“ありがとう”の一言が言えなかったのだろう。
後悔はいっぱいあって。
考えると、きりがないくらいに。
次の日。
私はレオに会いたくないから‥
合わす顔がないから、早めに家を出た。
勿論隣にはレオはいなくて。
1人の登校は、寂しくて、長かった。
私の中でレオは、いつの間にか大きな存在になった。
早めに学校についたから、ほぼ生徒はいなかった。
1人で何やってるんだろ。私。
机の上にバックを置いて寝ようとした時、
「真央、今日は早いね。」
振り返るとそこには‥
魁がいた。
「ちょっといろいろあって。てゆうか、魁いつもこんな早く来てんの?」
「まあね‥‥つか何があったの?」
私は、悩みを他の人に話してもいいのだろうか。
ましてや彼氏に対しての悩みを、他の男子に打ち明けていいのだろうか。
「ううん。何でもないよ。」
私は平気なフリをして、笑顔を向けた。
そのとき‥
私は抱きしめられた。
「どうしてアイツの元カノとのキス写真とか見せたのに、一途なんだよ‥。」
えっ。あの写真は‥魁の仕業だったんだ。
「なんでそんな事するの!?」
魁は私を抱きしめる力を強めた。
私は必死に爪をたてて抵抗するのに、魁の力は私の力の何十倍も強くて。
「真央が好きだからだよ‥」
魁の精一杯な言葉で、凄く気持ちが伝わった。この気持ちは‥私がレオの事を好きな気持ちと似ていた。
バンッ!!
「何やってんだよ」
レオがドアを思いっきり開けて、魁を、凄い形相で睨んでいた。
「レオ‥いつからっ‥」
レオは息切れしながら、
「お前、真央の事ストーカーしてんだろ。」
そう言ってレオは、ポケットから緑色のケータイを取り出した。
魁は目を見開いて驚いている。
「おまえっ!な‥なんで俺のケータイっ‥」
レオはそんな事は聞かずに、ケータイをいじっている。そして‥
「真央、これ見てみろ。」
そう言われて見せられたケータイには、
私とレオの写真、
私がご飯を食べている写真、
私が下校している途中の写真などが盗撮されていた。
「魁‥。そんな‥」
「真央違う!これはっ」
「まだばっくれるつもりか?いさぎよく認めろっつ―の。」
「‥‥許せねえんだよ。レオ、お前が。」
「あ?」
魁は、今にも壊れそうなくらい、震えた声で言う。
「俺のがっ‥俺のが真央の事思ってて!‥なのに‥いきなり転入してきて、幼なじみだとかほざきやがって‥
だから、俺はお前の事を調べた。そしたら予想以上にいろいろ情報が出てきて。
そしたらレオの元カノにあえて、いろいろ聞く代わりにレオの居場所教えろっつーから教えてやった。
」
ああ、だから元カノが学校に来てたんだ。
「レオ、いろいろやらかしたらしいじゃん。」
「真央の前で言うな。」
「レイプに薬にオヤジ狩りに殴り魔。まじ笑える。」
レオが‥?そんな‥
「魁‥てめえ!」
レオが魁の胸ぐらにつかみかかった。
「そんなお前が許せなかったんだよ!
なんでそんな事してる奴が、真央と付き合えんだよ。いみわかんねえ!」
ガッ‥‥
レオは魁を殴った。
魁は頬をおさえて倒れ込んだ。
「レオ、ちゃんと話してよ‥」
私の声は、震えていた。
「なんで‥大事な所は言ってくれないの?」
魁は逃げるように帰って行った。
「真央、ごめん。嫌われるかもって思うと‥言えなくて。」
「じゃあちゃんと話してよ。大好きだから。大丈夫だからっ。」
辛いのはレオなのに、私の頬には涙がつたってて。
「俺は、沙耶と付き合う前から、あれてたから、薬とかして、心を満たしてた。でも逆に心が空っぽになってって。
そんな時、沙耶が声をかけてきた。沙耶は俺の家に何回も泊まるようになった時、俺は真央に恋をした。だから、もう泊まりにくるなって言ったらさ、アイツ泣きながら“付き合ってくれなきゃ大事な人殺すからね!”とか言いやがって。だから仕方なく付き合った。
んで、心を決めたとき、付き合いをやめる為に、好きな奴が出来た。っていったらさ、別れたらその子の事殺すとか言われたから‥
俺は、沙耶の前から消えた。
引越もして、一切連絡が取れない様にした。そしたらこないだ来やがって‥。」
レオは笑ってた。半面‥
疲れてた。
「レオ、今更だけど、助けてくれてありがとう。
ずっと言えなくて後悔してた。
元カノとの別れ方は悪かったけど、レオは悪くないよ。
いつまでも後悔してたらきりないっていうのがわかった。
だから‥だから、はなしてきなよ。
レオの満足な答えなら、私は何も言わない。だから、はなしてきなよ。」
私はレオを一歩前に押した。
「わかった。満足な答え出してくる。」
レオは走っていった。
レオが前の彼女に未練があるのは、前から気づいてた。
それでも、好きだから。
レオの幸せを考えた。私は恋をして、大人になったかな。