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24話「改竄」

 会社はずっと休んでいた。社長も事情を理解して一ヶ月ほど休暇をくれた。

 夜の街をよく歩くようになった。あの僕と彼女の最期のクリスマスの余韻をいつまでも感じていたかったからなのかもしれない。


「くそっ」


 適当に蹴った缶が誰かに当たる。顔を上げると暗闇でも顔を赤くしているのがわかるほど怒った表情のチンピラがいた。あぁ、また面倒なことに。

「よぅよぅにーちゃん。いーぃ度胸してんじゃん?」

「はっ、度胸? そんなんねえよ。お前なんてどうせ社会のクズだろ? こんなとこにいねぇでさっさと死ね」

 虚勢を張る。

「ぁん? 誰がクズだごらぁ?!」

 胸ぐらを捕まれ、息が漏れる。

「死ねよ! 死ね! お前なんか生きてる価値ねえよ! なんでお前なんかが生きてんだよ! こんなところでのうのうと努力もせず、自分勝手に自由に、欲望のままに、何してんだよ! お前みたいに必要とされていないやつなんかよりもずっと必要な人間がこの世にはいる。だけどよ、死んじまうんだよ! お前なんかよりも先にな! はっ! ざまぁみろ! なにが努力は必ずためになるだ!? あん? お前みたいなお子ちゃまにはわかんねえかもしんねえけどよ! みんな一生懸命に生きてんだよ!!」

「……言いたいことはそれだけか? にいちゃん」

「あぁ、つまり、死ねってことだ」

 場所がいつの間にか路地裏になっている。そして周りに怪しい男たちが僕を囲んでいる。

「死ね」

 さっと相手の足を踏みつけ、手がゆるんだ隙に手近な奴を殴り、持っていた金属バットを奪う。そして持ち主の頭を割った。

「ぎゃぁあああああああああ!」

 頭の中が、真っ赤になった。

 後は、覚えていない。



 なにも。



 気づいたらマンションの自室に居た。

 覚えているのは七里とデートしたことだった。

 次の日、会社に行くと職場の同僚、部長、社長、みんな驚いた顔をしていた。

「おはようございます」

「お、おはよう……」

「あれ? 今日は七里さん、遅いんですね」

「……っ」

 空気が張りつめた。同じ部屋にいる何人かが視線を通じて会話をする。

「あ、あぁ。昨日から休みなんだ」

「あ、そうなんですか。寒いですもんね、最近」

「そ、そうだな」


――そう、僕は記憶を書き換えた。

  七里のいた世界に。




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