22話「葬式」
夜中の街をさまよう。
ぶらぶらぶらぶらと当てもなく歩く。若者たち――特にカップルを見てると捕まえて説教してやろうかと思った。
あのな、おまえ等。今を大切にしろ。
今だから解る、その言葉。今だから言える、その言葉。
ツリーは解体されてなくなっていた。
まぁ、当たり前だが寂しいのだ。七里との思い出が一つ、消えてしまったような気がした。
両親は共同墓地に入れてもらった。僕は世話をするつもりもないし、この先のうのうと生きているつもりもない。さっさと死んでみんなの元へ行こう。
七里の葬式には出席しようと思う。そのときに相手のご両親にすべて話して謝ろうと思う。すべては僕が悪いんだ。そうだ、僕のせいで彼女の人生を終わらせてしまった。
彼女は幸せだったのだろうか――?
母さんは幸せそうに見えなかったが実際はどうだったのか――?
そんなの解らない。本人に訊かない限り。だけどその機会さえ失ってしまった。
僕は、どうしたらいいんだろうか。
そんなことを考えているうちに七里の葬式の日が来た。
黒い服に身を包み、家を出た。
近くの葬式会場に行くとすでに多くの人が参列していた。彼女はこれだけ慕われていたんだろう。それなのに――
「矢田君」
「あ、」
七里のご両親だった。
「七里と仲良くしてくれて、ありがとうな」
「あ……」
言わなくては。今、大切な全てを。僕はうそつきでいたくない。
「さ……最期の……別れ……だ」
父親の方はとうとう堪えきれずに泣いてしまった。一人娘だ。なにもかけてあげれる言葉がない。
「しっかり……やってくれ」
「あの」
「ん……」
もう、後には戻れない。
「大切なお話があります」




