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18話「冷たい空気」
「ここ」
冷たい風が彼女の肩に掛かるくらいの髪をなびかせていた。峠の途中、カーブにさしかかるところ。ガードレールがまだ新しい。
――見覚えがある。来たことがある。それも何度も。
「あ」
ふと目をやると花束が落ちていた――否、供えられていた。
「綺麗でしょ? そろそろ夕日が見えるはずだけど――」
彼女は日が落ちようとしている、その方向を見たまま振り返らなかった。しかしその背中は物語っている。彼女の、過去を。
「行方不明と思ってたみたいだけど、それは記憶違いだよ」
彼女は諦めたかのような声でそういう。僕はその場から動けなかった。
献花、カーブ、道路、七里――
子供がひっくり返したジグソーパズルをはめていくような、僕が幼い頃落とした猫の死を受け入れたように、しっくりと、あるべきものがあるべき場所へと戻っていく。
「私、死んだの。ここで」
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