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15話「行き先」


「先輩、今日はどこに行くんですか?」

 朝食を食べ終えた後、食器をかちゃかちゃとリズミカルな音を立てて洗っている彼女から訊かれて困ってしまう。

「どこ行きたい?」

「いえ、矢田先輩こそ何処行きたいんですか」

「う~ん……」

 そんなこと言われてもなあ。

「どこも混んでるよなぁ。クリスマスだし」

「う~~~ん」


「あの世でも逝きますか?」


「……はい?」


 返す言葉に詰まった。


「……ぷっ……はは。冗談ですよ!」

「あぁ……」

 なんだ、本気にしてしまったよ。

 しかしなかなか行き先が決まらない。もうそろそろ11時だというのに。

「あ、山!」

 ふと思いついたように単語を発する。

「山? マウンテン?」

「オゥ! イェス!」

 七里も調子に乗ってくる。

「オゥ! ハイキング?」

「イェス! イェス!」


「――とまぁ、どの山に行くんだい?」

「オゥ!」

「もういいっつの!」

「イェス!」

「…………」

「……ごめんなさい」

「よし」


「私、参高峠に行きたいです」

「峠? うん……」

 参高峠……どこかで聞いたことあるような気がする。

「そこから夕日を眺めたいんですよ。ほら、あそこ綺麗なんです山に沈んで辺り一帯がみんな赤くなるんですよ。それがロマンチックでいつか矢田先輩と一緒に行けたらなぁ……なんて」

「わかった、じゃあそこに行こう」

「ありがとうございます!」

 彼女はガッツポーズをして飛び跳ねてた。しかし何か心の中で引っかかる。だけど嬉しそうにしている彼女を見ているともう後戻りできるわけがなく、準備を始めることにした。




 間に合うか、まなつかよ。


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