01話「序章」
最初はかなり暗いですが、読み進めていくにつれて明るくなる――はずです。
あのとき、僕は何を考えていたんだろう。
思い出すのは彼女の柔らかい唇、雪のように綺麗な手。それもだんだん現実味がなくなってきてしまった。彼女がいなくなってから僕はずっと彼女を追い続けていた。姿形ないものを――
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2011年12月24日
「寒い……ぃ」
思わず口に出してしまう。それがまた空しさを増した。一年前のこの日も寒かった。同じようなことを口にしたと思う。彼女は笑って「そうだね」とだけ言ってその華奢な身を寄せてきた。僕はそれに応えるように腕を回した。
僕は筆記用具などの事務用品を作っている会社に勤めている。入社して3年。もう会社にも慣れ、この毎朝の通勤ラッシュにも慣れた。慣れないのは彼女のいない生活だった。彼女の名前は空水七里。僕より一つ年下の後輩。僕が入社して一年後に同じ部署に入ってきた。初めて持つ後輩、僕は嬉しかった。仕事を教えるうちに仲は良くなり、一年半前ほどから付き合っていた。笑顔が可愛かった、ふとした仕草が可愛かった、声も可愛かった、何もかも、可愛かった。
だけど彼女は雪だるまが翌日水たまりに変わっているようにある日、消えた。そう、消えた。行方不明。警察に依頼した。だけど見つからなかった。そして捜査は中断された。
いつもの席に着く。この会社が作った事務用の回転する椅子だ。背もたれにもたれるとぎしりと音を立てて傾く。隣をみた。
「矢田先輩、ここの関数ってどうやるんでしたっけ?」
声が聞こえてくる。あの優しい柔らかな声だ。そう、彼女はいつも表計算ソフトの使い方で僕に訊いてきたっけ。――そう思っても空しさが余計に募るだけだった。
こんにちは、まなつかです。
今回は毎年恒例! クリスマス小説です。
去年はChristmas of the rainを発表しましたね。いまいちでしたが、今回は少し気合い入れて書いています。
そしてクリスマスには完結する予定です。
最終話は作家らしくファミレスにわざわざ行って書く予定です。作家じゃないけど。
それではまた2話で会いましょう。




