目覚め2
何だかレイが自分にワザと嫌われようとあんな風に意地悪をしているような気がしてきてクリスは胸が痛くなっていたのだが
それ以上に悲しみに満ちた彼の瞳から涙が流れているのを目の当たりにしてクリスはどうしたらいいのか分からなかった
「クリスが俺のことを嫌いだったとしても俺は本当はお前に傍に居て欲しい…ただお前には俺の為にこれ以上傷を増やして欲しくないんだ…分からぬか?」
深紅の瞳からシトシトと流れて落ちる雫にクリスはドキリとした
「ねぇレイ…僕だってレイがこれ以上傷ついたら嫌だよ?
僕は本当に君が好きなんだからね///
だからよくわからないけど僕を突き放す為にワザと意地悪したりしないで最後まで同行させてよ?
僕そう簡単に傷つけられる程柔じゃないよ?」
クリスが微笑むとレイは今度は前からしっかりとクリスを抱き締めた
「試すような事を言って悪かったなクリス…俺もお前のことが好きだ///」
クリスは何か今信じられない言葉を聴いた気がして目を見開いて見上げると真っ赤な顔のレイが視界いっぱいに入ってくる
「僕夢みてるのかなぁ…」
呟いた矢先に唇を塞がれた凄く短いキスだったけど確かにレイの感触が伝わってくる
「夢になどするな…俺が天界族の姫君かも知れないお前に正直な気持ちを云うのにどれだけ勇気を出したと思っている?
地を司る龍神族と天を司る天界族との恋愛は昔から最もタブーとされているのだぞ…」
天界族の姫君という言葉にクリスはビクッと肩を震わせた
「レイ…知ってたの?」
「いや…確信は無かった…だがそんなこと関係無いと思える程に俺はお前に惚れているらしいのだが…迷惑か?」
レイの深紅の瞳は心なしかまだ潤いを保っている
「嬉しい…僕もレイとなら禁忌を犯すのも怖くないみたいだ」
2人は再び唇を重ねる今度はとろけるような濃厚なキスだった
こんな時間が永く続いたら良いのに…クリスはレイの腕の中でまどろみながらただ目の前のレイだけを見ていた