龍神の力4
レイは戸惑っていた
先程まで自分はベットの上に居た筈なのに今何故か花畑に立っているのだ
目の前には白く大きな翼を携えた美しい女性と寄り添うように黄金の翼を携えた立派な龍がいる
女性はレイに向かって優しく微笑みかける
「聡明な龍の皇子よ貴方の覚悟は伝わりました…ですが私は貴方が自ら命を絶つ行為を望みません…大切に想う方がいるなら生きて自然にその命尽きるまでその方を愛し抜いてみて下さいませんか?」
レイはフルフルと首を横に振った
「俺には愛される資格も誰かを愛する資格も微塵もありません…今まで…この世に誕生して20年皇子という立場に甘え沢山の者を力で従え友人と呼べる者も居ない…大事な片割れの魂すら救えず愚かなこと極まりないのですから」
「聡明な龍の皇子…本当に愚かな者というのは自分の愚かさに一生気付かずに悪に取り憑かれ溺れる者のこと…貴方は気がついたのだからやり直す事が出来ます…死ぬ覚悟があるなら生きなさい…貴方が生きたいと望めば龍神様は貴方にも他と変わらぬ保護を授けて下さいますよ?」
女性の眩い微笑みがこの世のものとは思えぬ程に美し過ぎてレイは目を奪われ固まってしまった
金色の龍は遮るようにレイをその翼で包み込んでいる
「悪いが彼女をそのように凝視して良いのは我だけだ…なぁレイお前は生きたいか?」
金色の大きな瞳がレイをジッと見つめている
レイはカタカタと小さく振るえながら絞りだすように呟いた
「生きたい…」
その言葉に反応するように金色の龍は人型に変化してレイを抱き締めその頭を撫でた
「よく云ったな…」
その男性の腕の中でレイはまだカタカタと振るえている
「りゅ龍神様…俺は生きても宜しいのでしょうか?」
涙を流すレイを更にギュッと抱き締めて男性は優しく微笑んだ
「生きてはいけない命等この世にあろう筈が無い…お前も愛され産まれてきたのだからこれから誰かを愛し愛されて精一杯生きろ
お前にかかった祟り魔法は我が解いておく…我もお前を愛していることを努々忘れるなよ?」
「聡明な龍の皇子…私達の大事な姫君をどうか貴方も大切にしてやって下さいね?」
金色に輝く聡明な龍神と純白の天使は仲良く寄り添ってにっこりと微笑んでいた