黒髪の君2
「ぼっ僕はただ龍神族の金色の髪っていうのが知りたかっただけ!!
今のページはたまたま見ちゃっただけなんだから…そんな目で見なくてもいいじゃんか…」
悲しげに目を伏せるクリスを見てレイは子犬を撫でるようにその髪を撫でていた
「わっ悪かったな…たかが髪のことがそこまで知りたいとは思わなかったんだ
金色の髪のことなら教えてやってもいいからこのような本は二度と読むな!!」
何故だか最近クリスが悲しそうな顔をすると胸が締め付けられるように痛くなるし微笑むと自分もとても穏やかになる
「あの…ライのことは教えて貰えないの?」
怖ず怖ずと此方をみるクリス
「とうの昔に亡くなったのは事実だ
アイツは悪魔族に目を付けられ乗っ取られ今も成仏出来ずあの通りだ…だから俺がこの手で葬ってやりたいんだ」
レイの言葉にクリスの頭からは完璧に髪の話なんて飛んでいる
何だか訊いてはいけなかったことを喋らせてしまった気がしてクリスは再び俯いた
「今語らずともいずれ知るはめになったことなのだから
そのような顔をするな…俺様まで不快になりいい迷惑だ…お前は大人しく魔法についての書物でも読んでいればいいんだ!!」
それだけいうとレイはまた離れて行ってしまったのでクリスも静かに目的の本を探した
此処には魔法関連の本なんてそれこそ膨大な数あるのでかなり骨の折れる作業だったがやっと手応えのありそうな書物をみつけて手にとった
[黒魔術禄]
埃っぽいその本は御丁寧に上級魔法使いにしか読めないよう魔法でロックまでかけてあるが勿論クリスにはこんな鍵ワンタッチである
「しかも魔法文字か…」
暗号化された文字に四苦八苦しながら一通り読むのに閉館ギリギリまでかかってしまったが収穫はバッチリだ