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顎の左

作者: kakakakaa
掲載日:2026/04/04

 顎の左に針金のような髭が一本。鬱陶しいがどうも最近爪を切ったばかりで摘めず、抜けないでいた。ピンセットなどは持っていない。私はそれすら買う余裕がないほどに貧乏なのだ。飲む水がないことに気づき、夜中コンビニに行くが1リットルの水が90円かかることを気にしてお菓子だけ買って家に戻り、翌日に100円のガロンボトルを買おうとするほどに貧乏なのだ。


 ここ数ヶ月、人とまともな会話をしていない。最近口角を上げたのは太宰治の川端康成へを読んだ時だと思う。必死に御涙頂戴を狙い、読者を味方につけ川端康成に攻撃する姿はまさに滑稽であった。そんなことより、水がないのだ。注文しなければならない。20Lの水を2つ注文した。200円であった。いやに破格なので100円を配達費としてチップを混ぜる。


 届くなりロビーへ降りる。が、待っていたのは配達をしている男の子の服装は5年間洗濯もせず、着続けたような服装である。15歳にも満たないその子が自動車を運転できるはずもなく、貨物自転車というのだろうか、自転車の横に子供が二人寝れそうなほどの荷台が連結しており、それを漕ぐだけで競輪のためのトレーニングにもなりそうなその乗り物に40Lの水を積んで配達をしているのだ。英語で会話を試みるが帰ってくるのはこの地域特有の言葉である。仕方ないので近くの人に通訳してもらい、支払いはもう済んでいること、チップとして100円多く支払っているのであなたにそれを受け取って欲しいことを伝えた。するとその子は笑顔でありがとうと私の手の甲に下げた額を擦る。私はその行為に微塵も抵抗せず、軽く頭を下げた。エレベーターに運ぼうとするが少年が間髪入れず手伝おうとする。私はありがとうと言い拒まない。二つガロンボトルを平行に置き、冷房の効いたエレベーターにて思う、髭が抜けぬと。


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