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第2話 フィアルゼ国の王都


 翌日の午後。

 私は側近のランドル、ラディと共にラディの洋服、靴、その他の生活に必要な物を買い揃える為、王都へと訪れていた。


「此処が王都ですか、凄い、色々なお店がありますね」

「ラディ様は王都に来るのは初めてなんですよね?」


 私の左隣を歩くランドルがイレーネを挟んだ右隣にいるラディにそう問い掛ければラディはランドルを見て頷き返す。


「はい、初めてですよ」

「そうなんですね」

「じゃあ、今日はラディの生活必需品を買い揃えながらラディが気になったお店も見て周りましょうか?」


 私の言葉にラディは弾んだ声で『いいの?』と問い掛けてくる。


「ええ、いいわよ〜!」

「ありがとう」


 幼い頃両親に捨てられた後、奴隷商人に捕まり、闇市場に連れて行かれ、奴隷売買をする店で奴隷として売られたラディ。


 長い年月、店の牢屋で過ごしたラディにとって、外の世界で見る景色は何もかも新鮮であった。


「それにしても桜が綺麗ね」


 私は両道にある満開の桜が咲いている桜の木を見上げてそう呟けば、私の左隣を歩くランドルは頷いてから口を開く。


「そうですね、ラディ様、これは桜並木と言うんですよ」

「桜並木、綺麗だな」


 満開の桜が咲き誇る桜並木を見つめているラディを横目に見ながら私は優しい声色で話し始める。


「この場所はフィアルゼ王国の春のおすすめ観光スポットとしても有名な場所なのよ」

「そうなんだ」

「ええ、だから、初春は他国からの観光客が結構訪れるのよ」


イレーネは行き交う人々の中にいるちらほらいる観光客らしき人達を見てからラディの方を見る。


「ラディ、これからは行きたい時に王都へ行けるわ。私は貴方の自由を奪うことはしないから」

「うん、ありがとう。イレーネ」


 ラディはイレーネにお礼の言葉を伝えてから、王都の景色をまた瞳に映したのであった。



 王都の店々を周り終え、ラディの生活必需品を買い揃えた私達は空が茜色に染まり始めた夕方頃、エルディア伯爵家の屋敷に帰って来た。


「ただいま、帰ったわよ」


 私が家の中へと入るなり目と鼻の先にあるリビングのドアが勢いよく開かれ、青い髪をしたランドルと同じくらいの高身長であろう男が帰ってきたばかりの私達の元へと駆け寄ってくる。


「イレーネ! 元気にしてたか〜? 俺がいない間に恋人が出来たそうだな? 何処の誰だ? お兄ちゃんにも会わせろ!」


 相変わらずであるの(クリス)シスコン振り私は少しばかり引きながらも口を開く。


「お兄様、お久しぶりですわね。恋人は私の隣にいる方よ」

「初めまして、イレーネと付き合っています。ラディと言います。よろしくお願いします」


 礼儀よく挨拶したラディのことをクリスはじーっと見つめてから、にこやかな笑みを浮かべて挨拶の言葉を述べる。


「初めまして、イレーネの兄のクリスです。こちらこそよろしく」


 クリスの礼儀正しい挨拶に私は少しばかりの嫌な予感を感じ始めていた。

 そして、私のその予感は見事に的中してしまう。


「イレーネには勿体無いくらいの美形だな。俺の恋人にしたいくらいだ! どうだ? ラディ、イレーネではなく俺と付き合わないか?」


 クリスの言葉にラディは困惑しつつも首を横に振り丁重なお断りを告げる。


「すいません、俺はイレーネと付き合っているので、お兄様とは付き合えません」

「そうか、それは残念だなぁ」

「ちょっと、お兄様、ラディは私のなの! 他の男にしてくださる?」


 ラディと私の言葉に私達の目の前にいるクリスは何故かニヤニヤし始める。


「ほう、そうなんだな。大丈夫だ、安心しろ。イレーネ、お前の彼氏を取るつもりはないからな。冗談だよ」

「それならいいのだけど」


 兄妹の再会は感動的な物にはならず、いつも通りの賑やかな会話で終わった。



 自室へと戻って来たイレーネは白いふかふかのベットに腰を下ろしてから、向かいの茶色の机と共に置かれている椅子に座るラディを見て話しかける。


「ねえ、ラディ、凄い気になってたことがあるのだけれど聞いてもいいかしら?」

「うん、いいよ、何?」

「ラディは誕生日いつなのかしら?」

「誕生日? 7月10日だよ」

「夏生まれなのね」

 

 イレーネはまだあまりラディのことを知らない。

 偽であっても恋人としてこれから知っていく必要があるだろうとイレーネは思っていた。


 ラディはイレーネの思いなど知るはずもなく優しい笑みを浮かべて問いかけてくる。


「イレーネは誕生日いつなの?」

「私は5月20日よ」

「え、もうすぐじゃん!?」

「ええ、そうね」

「じゃあ、お祝いしなきゃね!」


 イレーネは優しく笑いそう言ったラディを見て微笑み返す。


「ありがとう、ラディ」

「うん!」

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