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6話 シェルター船の探索 2

明かりは点けられたシェルターフロアに入って早々、手を繋いて干乾びてる子供のミイラを発見! うわっ。


「これはモガリア朝末期のエル教系祭儀服ね。まぁ言っても80年程前だけど」


「供養は後! ジェム隊、前進だぞっ」


「おーっ」


ミイラは転がってるけど敵は無しってことで、ジェム姐さんもミコも気楽なもんだ。


先に進んでくと無重力になってる部屋に行き当たった。ミイラが結構浮いてるし···


「ドローン達は私とロニーが抱えようっ、ぬん!」


「お? 俺もかぁ」


オートだとあっちこっちしちまうらしいサポートドローンはハルバジャンさんとロニーに任せ、無重力部屋に入った。

移動はジャンパーのスラスターを使うジェム姐さん以外はスーツの背に付けたガスシューター。


「おっほーっっ」


身体が浮くだけじゃない。血流、耳と目、内臓。全部フワっフワする!


「ザリデ君、大丈夫? またすぐ重力あるエリアだから」


「あ、ああ。でも、宇宙公社とかで働くの大変そうだっ」


「そう? 宇宙はいいよ〜?」


ミコ、行ったことあんのか? 俺は取り敢えず、目の前に漂ってきたミイラを押し退け、シューターで狙ったとこに行き難いからワイヤーガンで出口近くの壁面をキャッチさせて引き寄せて移動した。


無重力エリアを抜け進むと、ミイラ以外に宗教的な装飾のある生活サポート仕様の小型オートボットがチラホラ見られるようになった。


大体機能停止をしているけど、中には、


「アゥアゥアゥ···」


「姫シャマ、姫、シャマ···」


「オハヨウゴザイ、コンニチハ、ワンバンコ···」


と要領を得ないのもいた。


ジェム姐さんが取っ捕まえて調べてみた。


「ん~~っっ。メモリー崩壊してんなぁ。船に持って帰らないとわかんないヤツだぞ。スリープしてる機体ないかぁ?」


ジェム姐さんは探したが、止まってるのは壊れてて、解析用のメモリを回収するに留まってた。


さらに進むと通路や部屋自体に装飾が見られた。


「···うん。これはモガリア朝のバド派。バド氏のグループだわ」


「どんな人達よ?」


装飾の鳥のポーズをする人? のシンボルマークをそっくり真似してみせながらミコが聞いた。身体柔らかっ。

隊列がテキトーになってきて俺も側にいたから一緒にやってみたら足つり掛けたっ。


「待ってね、照合してみる···ほら!」


高そうなスティック端末で装飾を撮って、検索させて一致したらしいブルーナさん。


「バド派は穏健派ね。論文や公的資料はあまりなかったり作為的だけど···私、学生の時と暇な時にこの辺りの新旧のニュース資料を漁ったことがある。史観の精度は検索より確かなんだからっ!」


興奮してるブルーナさん。淡々と経理と備品管理してる普段のイメージと随分違う。


「穏健派で、規模は小さいけど祭儀に関わり、資料と違って技官からの支持もあったはずっ。最後は確か、第4王女様が率いていたけど、王都陥落時に脱出してそのまま消息不明になってる」


「それで、この地割れが最後の地であったと」


ハルバジャンが言ってしまうと全員気まずくなっちまった。


古代とかじゃなくて80年くらい前ってのがなんともさ。

いや、でも! つーことは、奥の保護カプセルって···


_________



ザリデ達リュウグウクラン一行は祭殿のような最奥の部屋の前までたどり着いた門番のようなミイラ2体は互いに銃撃して自害した様子だった。


「忠義よな···」


「そうか? オイラ的には自分達に酔ってる気がして気に入らないな! 女子供も死んでたぞ?」


ハルバジャンに反論しながら、ジェムは最初のハッキングと道中のオートボットのメモリの簡易解析のデータも使い、まず室内の情報を抜きに掛かった。


「中は低温だ。結構ヤバい不活性ガス入れてる部屋。温室だったっぽい? 奥に保護カプセル。ん〜、1基は状態悪そうだぞ···」


「入口にエアカバーを当てて空気を保護しないと。低温でも気圧の保全が必要だわ」


「え? それだと中の人出せなくないッスか?」


「取り敢えず状況見ようぜぇ?」


「そだね」


一行はずブルーナ案を採用し、ジャンパーのコンテナから出したエアカバーを展開して入口を覆い、概ね内部と同じと想定される不活性ガスを入れ、気圧と気温も調整し、ロックを解除した。


「「「おおーっ」」」


中は凍り付いた美しい温室であった。


奥に祭壇のような場所があり、装飾された保護カプセルが2基あった。


近付き、すぐにジェムとブルーナが様子を見る。


「あ! ヤバいぞっ、人が来たら自動解除になってるっっ。ガスガス!!」


カプセルの起動音が鳴りだしザリデ達は慌てた。


ミコは即断して熱弾銃で入口の操作盤を精確に撃って開け、続けてエアカバーも撃ち抜いた。


通路との気圧差で一気にガスが抜けてゆき、ミコ以外のメンバーはさらに慌ててコンテナから出したシートで保護カプセルを覆おうとしたり、エア缶を出したりして右往左往し、指示の無いドローン3機は気流で外に出されそうになったりしてやはり右往左往した。


果たして、凍った植物が砕けて落ちてゆく中、2基の保護カプセルは開いた。


中にはアムリタ保護液に浸けられたの装飾的な肌着を着た少女と妙齢の女性が眠っていた。


「空気に触れたっ、すぐネクタル液入れられるっ。起きたら呼吸マスク必要だぞっ、全員消毒っ! ザリデっ、ドローン救護モードにしろっっ」


「うッスっ!」


コンテナを漁る等、また大慌てになる一同だったがブルーナだけが、目覚めようとしている少女を凝視して動かない。


「ブルーナ?」


ミコに聞かれ、ブルーナは口を開いた。


「この方、やっぱり第4王女エルマーシュ様よ」


他のメンバーは予想はしていても一瞬動きを止めてしまったが、すぐに初期救護処置に戻り、ブルーナもそれに加わった。

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