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第46章

     ~蜘蛛のランペルシュツキィンと少女ウルスラ~



 ――昔むかし、あるところに両親のいない、とても貧しい女の子がいました。


 女の子の名前はウルスラと言い、その意味は「だれでもない」という意味でした。女の子は自分を育ててくれた森の中で、いつも「だれでもないごっこ」をしていました。ウルスラは「だれでもない」ので、なんにでもなることが出来たのです。


 たとえば、一本の樹木になることも出来れば、湖の白鳥になることも、流れる川の光の反射にも、魚にも鳥にも野うさぎにもシカにも――その他、なんにでもなることが出来ました。ウルスラはそれだけで幸せでした。何故なら、だれでもないがゆえにだれにでもなれるというのは、とても素晴らしいことだったからです。


 ウルスラは自分を育んでくれた森から出ようとはしませんでしたし、いつでも森の精の助けがありましたので、食べることにも住むところにも困りませんでした。ただ、彼女はずっと生まれたままの姿でしたので、「何かを着る」ということを一切知らぬ、裸のままでいました。


 森の世界しか知らないウルスラは、そこから出さえしなければ、おそらく森の女王として、毎日夜明けとともに太陽の冠を戴き、陽暮れとなり、夜になればその冠には月と星がまばゆく輝く――そんな日々だけを送っていたに違いありません。


 ところがある時、彼女が七歳になるかならないかの頃です。ウルスラは湖のほとりで自分と同じくらいの年格好の子供の姿を見ました。そして、この時生まれて初めて彼女は知ったのです。それは難しい言葉でいうと<葛藤>ということでした。そばまでいって意思の疎通をはかりたくてもそう出来ない……また、自分が何故あの子供たちの間に入っていって騒いだり出来ないかがわからず、結局その場から逃げだすことしか出来ませんでした。


 森の自分のおうちで、ウルスラはしくしく泣きました。それでいて、毎日必ず湖のそばまで出かけずにはいられませんでした。そして、ただふたりの子供がきゃっきゃっ遊んでいる姿を木陰や藪に隠れて眺めていました。そしてウルスラはこの時、ある大切なことに気づいたのです。その子供たちはひとりが男の子、もうひとりが女の子でしたが、自分と何かが違うことがわかりました。そうなのです!彼らは<服>を着ているけれど、自分はなんにも着ていない――ウルスラはそのことを「恥かしい」と感じましたが、何故そんなふうに感じるのかまではわかりませんでした。


 ただ、そのことに気づいた日も悲しくて、ただしくしく泣きました。すると、天井から一匹の蜘蛛が下りてきて、彼女にこう話しかけたのです。「わしがお姫さまのために、素晴らしい衣服を仕立ててあげよう。待っておいで」……次の日、ウルスラが起きてみると、寝床の横には真っ白なワンピースと緑のエプロン、それに一揃いの下着が置いてありました。蜘蛛が約束を果たしてくれていたのです。


「ありがとう!これでわたし、あの子たちに会いにゆけるわ」


 ウルスラは蜘蛛たちに感謝の言葉を述べ、喜び勇んで湖へと歩いてゆきました。その日、いつもやって来るふたりの子供たちはなかなか来ませんでしたが、湖のそばに見たことのない女の子がいるとわかると、その兄妹は自分たちのほうからウルスラのほうへ近づいてきてくれたのです。


 三人の子供たちは瞬く間に仲良くなり、しまいには自分たちは生き別れになった兄弟姉妹なんだ――という話までするようになり、ウルスラは森から出てゆきました。そうなのです。彼女はこの兄妹の両親に気に入られ、引き取られていったのでした。


 やがて、ウルスラは年ごろの娘となり、色々なことが変わってゆきました。無邪気だった兄と姉は世の中の荒波に揉まれるうち、優しさや親切な心を失い、すっかり末の妹につらくあたるようになり……ウルスラは毎日、朝から晩までくたくたになるまで綿花畑で働き、他にも洗濯仕事やちょっとした繕い仕事を町の人からもらってきては、両親が死んですっかり貧乏になった家計を助けていました。


 そしてウルスラが(こんな毎日が続くだけなら、もう死んでしまいたい)と思い、(あのまま森にいさえすれば今も幸せなままでおられたろうに……)と、やるせない気持ちで泣き暮らしていた時のことです。近くの森に住むという毒竜を退治しに、立派な騎士さまがやって来たのでした。


 美しく光り輝く鎧に、白金の剣、素晴らしい馬具によって飾られた白馬に若い騎士は跨っていました。もっとも、毒竜を森で実際に見た者は誰もなかったのですが、そこにあるやしろにはいつしか毎年、生贄の羊が捧げられることになっていたのです。それは町の安寧と繁栄のため、豊作の祈願と感謝のため、年にそのような儀式が二度ほど、夏至と冬至の頃に行われていました。


 町の人々はこの血気盛んな騎士のことを丁寧にもてなして歓迎しました。(毒竜などいないし、そのようなことで我々は困ってなどいない)というよりも、実際に森へ行ってそのことをこの騎士自身の目で確かめて見たほうがいいと、そう思っていたからです。


 ところが、この若い騎士はその後、森から戻って来ませんでした。(おかしいな)と思い、町の若者が見にいってみると、そこには何故か石造りの塔が出来ていて、騎士が牢獄の中から「助けてくれ~!」と叫んでいました。町の若い男はびっくり仰天して、逃げ帰ってきました。何故なら石造りの城の中には、確かに緑の竜がいて、天空に向かい炎を吐いていたからなのです。


 町の人々がどうしたものかと思い悩んでいると、また別の騎士がやって来て、「毒竜を退治しに来た」と言いました。人々はほっとしました。この男は最初にやって来た騎士よりも年嵩であり、鎧や剣や盾なども使い込まれているだけでなく、性格的にも落ち着いていて、しっかりしてそうに見えたからです。


 町の人々は「この人ならば、きっとあの毒竜めを倒してくれるに違いない」と思い、安心しました。ところが、この騎士もやはり三日しても森から帰って来ませんでした。そこで町の腕に覚えのある者が森まで様子を見にいってみると、彼もまた城の牢獄にて「助けてくれ~!!」と叫んでいたのでした。


 この時、町の腕に覚えのある者がこのふたりの騎士をどうにか助けようとしましたが、毒竜に勘づかれてしまい、結局のところこの者もまた牢獄に囚われの身となってしまったのです。


 町の人々が「困った、困った」と思い悩み続けていると、またひとりの騎士がやって来ました。同じように「毒竜を退治しに来た」と言います。町の人たちは言いました。「あの竜はどうにも手に負えない。あんたもきっと牢獄に囚われるか殺されるかのどちらかだろうから、無理しないほうがいい」と。けれど、この騎士は愚弄されたと感じたらしく、「いいや、自分こそが毒竜を倒すんだ」と言って聞きませんでした……こうして、彼もまたやはり毒竜の城で牢獄の住人になってしまったのです。


 その後も騎士たちは次々やって来て、口々に「悪徳の冠を頭に戴く毒竜を退治しにきた」と言っては、町の人がどんなに止めても、「そんなことをすれば騎士の名折れ」だといったように口にしては、森へ出かけていき、やはり帰らぬ人となるのでした。


 そして、そんなことがその後も二十数回ばかりも繰り返された頃のこと……ある騎士がまたこの町を通りかかりました。町の人々はもうすっかり慣れっこになっていましたから、「ああ、あんたもどうせ毒竜を倒しにやって来たんだろう。それで、オレたちが止めてもやっぱり森へ出かけていって牢獄に囚われることになるんだ。そうに決まってる」と、最初からみなまで話してしまうくらいでした。


 けれども、この騎士はこう言いました。「毒竜がでる森があるのですか?それは大変難儀なことでしょう。私がひとつその竜を倒して差し上げましょう」――町の人々はこれに似た言葉を騎士の口から聞き飽きていましたので、彼の言うことをあまりまともに取り合いませんでした。最初の頃こそ騎士さまに対して最上級のもてなしをして迎えましたが、今ではもうそんなこともしません。それどころか、騎士の姿を見て「法螺吹き騎士さまのお通りだぞう!」などと言ってからかう始末です。子供たちですらが「この嘘つき!」と叫んで、騎士に石を投げて逃げるという有様でした。


 ウルスラはこの時、この凛々しい騎士の姿を見かけ、気の毒に感じました。けれども、特に何も言いませんでした。ウルスラは今では結婚した兄夫婦の小間使いとしてこき使われる身でしたし、何より、恥かしくてこの若く逞しい若者に声をかける勇気もなかったのです。


 これまでもウルスラは、騎士さまたちの無事を心密かに祈ってきました。けれども、今回は今までの時とは何かが違うようでした。町でちょっと通りすがっただけのこの騎士のことが頭から離れなかったのです。そしてこの夜、ウルスラは夢を見ました。星母神さまが毒竜を退治する方法を教えてくださったのです。「ウルスラよ、あの毒竜はおまえなのだ。森に帰りたいと願うおまえの心が、本当はないものをあるように見せかけているのだよ。それゆえ、あの毒竜は他の誰にも倒せはしない。おまえ自身が出かけていってどうにかするしかないのだ」……目を覚ましてウルスラは仰天しました。寝床の横には剣と一揃いの鎧冑、それに竜の火を防ぐための大盾、他に鍵束がひとつ置いてあったからです。


 ウルスラは兄夫婦には事情を何も説明せず、朝早く起きると、体に鎧を着込み、腰には剣をさし、大盾を背中に背負って出かけてゆきました。すると、森へ向かう道の途中できのう会った騎士と出会いました。騎士は「エドワール」と自分の名を名乗りましたが、ウルスラは「わたしは誰でもないものだ」と名乗りました。ウルスラは女と気づかれぬよう冑の面頬を下ろしていましたから、そのせいもあったのでしょう。エドワールはウルスラを女だとはわからなかったようでしたし、謙遜の気持ちから自分の名を名乗らなかったのだろうと思ったようです。


 こうしてウルスラは、かつて自分を養い育ててくれた森へ辿り着きました。見ると、森はなんとも鬱蒼として不気味でしたし、陽のほうはとっくの昔に昇っているのに、周囲は不気味な霧に包まれて暗く、なんとも陰鬱な様子をしていたものでした。先へ進んでゆくと湖が見えてきましたが、湖のほうもまるで、毒でも流しこまれたかのようにドロリと濁って見え、なんとも薄気味悪い場所に変わり果てていました。


(一体いつからこんなふうになってしまったのだろう……わたしの覚えているあの森は、何もかもが宝石のエメラルドのように光り輝いて見えたものだったのに……)


「なあ、君。ここで出会ったのも何かの縁だ。ここはふたりで助けあおうじゃないか」と、ウルスラを男の立派な騎士と信じ込んでいるエドワールは言いました。「僕が毒竜の奴めを引きつけておくから、その隙に君は牢獄に囚われているという騎士たちを救いだしてほしい……そういうことでどうだろうか?」


「いや、駄目だ」と、ウルスラは冑の奥からくぐもった声で言いました。「あの毒竜は、私とある深い因縁があるのだ。私のこの剣でなければ決して倒せはしない。ゆえに、私が竜のことを引きつけておくから、あなたが牢獄に囚われている騎士たちを救いだしてほしい」


 エドワールは少し不満そうな顔をしましたが、ウルスラが持つ、竜の刻印された剣を見、何かを納得したようでした。おそらく本当にそうなのだろうと直感したのです。


「わかった。だが、今日は明日の戦いに備えて、そろそろ眠ろう。疲れて腹が減っていては戦う前に負けてしまうだろうからな」


 ふたりは火を熾して軽く食事すると、交替で眠ることにしました。先にエドワールが休んでウルスラが火の番をし、次にウルスラが休むことになったわけですが……彼女が冑を被ったまま眠ってしまうのを見て、エドワールは驚きました。そして、どうやら彼が深い眠りに入ったらしいと見て取った時――エドワールは彼の顔が見たいというよりも、呼吸が息苦しそうに聞こえ、体の姿勢もまったく変えないのを見て、ウルスラの冑をそっと外すことにしたのです。


 こうして、エドワールは彼女の冑を外した時、相手が亜麻色の髪の美しい乙女であるのを見て仰天しました。そして、(これはいけない……!!)と思ったのです。いかなる事情があるにせよ、女性を戦わせるわけにはいきません。騎士らしくそう考えたエドワールは、ウルスラの竜の刻印のある剣を手に取ると、同じく金の竜の刻印のある大盾を手にし、代わりに自分のそれを置いて、毒竜と戦うため、ひとりそっと出かけてゆくことにしました。


 翌朝、ウルスラが目を覚ましてみると、火は消えていましたし、騎士エドワールの姿もありませんでした。実はウルスラは悪夢にうなされて目を覚ましていたのです。夢の中では例の毒竜が暴れまわっており、エドワールを口から吐いた毒霧で苦しめていました。そして彼もまたその毒によって気を失い、結局のところ牢獄に囚われの身となってしまったのです……。


(どうしよう。あの竜を倒すには、エドワールの持っていった剣と大盾がどうしても必要なのに……)


 けれどもウルスラは、(まったくあのボンクラ騎士も余計なことをしてくれたものだわ)とはまるで思いませんでした。むしろ、エドワールの優しい気持ちが嬉しく、彼が残していった剣と盾を手に持つと、森の中を毒竜のいる城を探しまわりました。


 やがて、太陽が中天に昇る頃、ウルスラは石造りの城が聳え建っているのを遠くに見ました。城は周囲を深い堀に囲まれていましたが、橋が下りていましたので、なんということもなく中へ入ることが出来ました。城門のほうも開いており、竜どころか、どこかから矢一本降って来もしなければ、槍が天井から落ちてくることもなく、足許で罠の落とし穴がぱっくり口を開くということさえなかったのです。


 城の中庭では花がその美しさを競うように咲き乱れ、ウルスラはしばし自分がこの城へやって来た目的を忘れそうになりました。ところが馨しい花の香りをかぐうち、どこかから人の叫び声が聞こえてきたのです。「そこに誰かいるのか!?誰かいるのなら、我々をここから助けてくれ~!!」……それは、今までここの城へ囚われになった騎士たちの声でした。


 ウルスラは城の牢屋のほうへ向かうと、鍵束の中の合う鍵を見つけては騎士たちをひとり、またひとりと解放してゆきました。こうして、三十四人もの騎士をウルスラは助けたのですが、最後のひとり――エドワールだけがどうしても見つかりません。


 他の、彼女についてきた騎士のひとりに聞いてみますと、「彼なら死んだよ」と、目を伏せて、気の毒そうに言いました。「牢屋の窓からずっと彼の戦いぶりを見ていたけど、最後は竜に踏み潰されてしまったんだ」


「ええっ!?」


 ウルスラは驚きました。自分が昨夜見た夢のとおりに違いないとばかり信じ込んでいたからです。さらには彼女が驚いたことには、三十四人の騎士たち全員が、エドワールが死んでのち、亜麻色の髪の女騎士が現れて毒竜を退治してくれた――ということで、彼ら全員の意見が一致していたからなのです。


 三十四人の騎士たちは、衰弱してはいましたが、それでも助けだされ、自由になれた喜びゆえに元気で、口々に自分の国と所属している騎士団の名前を言い、馬に乗り去ってゆきました。「もし我が国を通りかかることがあったら、是非寄ってくれ。命を助けてくれたお礼を必ずしよう」と、彼らはまったく同じことを口々に言い残していったものです。


 彼らのうち、最後のひとりが立ち去ってしまうと、ウルスラは再び広い城の中をさまよい、エドワールの姿を探し続けました。もしあの騎士たちの言うとおりだとしても、それならば彼の遺体がどこかにあるはずだと思いました。(そうだとしたら、エドワールこそが竜を退治し、囚われの騎士たちを救った真の英雄ということになる……)ウルスラはそう思い、悲しみの涙が込み上げて来ました。夢の中で星母神さまが「あの竜はおまえなのだ」と言っていたことから、もしや自分が彼を殺したのではないだろうかと疑いはじめると、胸が締めつけられるように苦しくて堪りませんでした。


 ウルスラが城中を探してもエドワールの姿を見つけられず、悲しみの涙に暮れていると――天井から大きな蜘蛛が下りてきました。ウルスラは「きゃっ!!」と叫びました。森を離れて十年以上もの時が経ち、今では彼女にとって蜘蛛というのは、家に出没した場合箒で掃いてどこかへ追いだすという、ただそれだけの存在に成り果てていましたから。


「悲しいよ、ウルスラ。おまえはわしたちのことも、今ではすっかり忘れてしまったのだね……」


 金や銀の糸を吐き出す蜘蛛は、ウルスラの心にそう語りかけました。すると、彼女はすっかり思いだしていたのです。自分はここの森で育った、「誰でもない」者であるということを……いつしか心が荒み、意地悪になっていったあの兄と姉と実の兄妹と思い込んでいたけれど、本当はそうでないこと、他でもないこの蜘蛛が自分に着るものを編んで作ってくれたことを……。


「わたし、本当はずっとここへ帰ってきたかったのよ。でも、帰り方がわからなかったの」


「森のほうでもずっとおまえのことを呼んでいたのだよ、ウルスラ。でももう何も心配しなくていい。エドワールならば生きている。我々はずっと、おまえがひとりぽっちにならなくてもいいよう、素晴らしい騎士たちがこの森へやって来るよう仕向けていたのだ。騎士というのは不思議な生き物だねえ。竜がいると聞くと、自分が倒して名を挙げようと、そのことしか考えられなくなってしまうんだね。でもみんな、おまえには相応しくなかったから、竜の毒霧にやられて気を失い、牢屋に囚われることになってしまった。だが、あの若者は違う。あの若い騎士ならば、ウルスラ、おまえのことを生涯に渡って守り、おまえのことを必ず幸せにしてくれよう」


 ウルスラは蜘蛛の案内で、城の秘密の部屋へ案内してもらいました。すると、その豪奢を極めた寝室のベッドでは、大怪我をしたエドワールが横たわっていたのでした。ウルスラは彼の看病を熱心に行いましたので、エドワールは優しい彼女にすっかり恋をするようになり、体を起き上がらせることが出来るようになると、ウルスラに結婚の申し込みをしました。


 こうして、ウルスラとエドワールはその石造りの城に住み続けるようになり、ふたりの結婚式へは、近隣の町や村からたくさんの人々が押しかけてやって来たのみならず、命を助けられた騎士たちも国々から集まってきて、素晴らしい贈り物をしてくれたのでした。


 ウルスラはもともとは「何者でもない」者だったのですが、元はキャメロット王国の騎士だったエドワールと結ばれたことで貴族となり、やがて彼らの国はメレアガンスと呼ばれるようになりました。メレアガンスとは、今では忘れられた古代語で<紗のような蜘蛛の糸>という意味であり、星母神が再びウルスラの夢に現れて、そのように国を名づけるよう仰せられると、まるでずっと昔からそう呼ばれていたように、あっという間にメレアガンス国の名はその地方一帯に広まっていったということです……。




 >>続く。






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