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幽玄神話世界  作者: 元橋
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5話

 武は一人データベース室のPCで迷宮検索を掛けていた。

「う~ん、どれが良いかなぁ~」

 今日、探索する迷宮をどれにするかで悩んでいた。

「お待たせ、武。何か見つかった?」

 武の顔の直ぐ隣に咲夜の顔が現れた。そして甘い花の様な香りと背中に当たる柔らかい感触のセット。

「うお!近い、咲夜近いってば」

「あら、距離が近いのは武はイヤ?」

 少し拗ねた様な感じで問い掛けてきて、更に近付いてきた。すると更に背中の感触も強くなってくる。

「え、いや。いやいや違う嫌って意味じゃ無くて、ちょっと近過ぎるかなぁ~なんて・・・」

 武はドギマギしながら咲夜に答えた。

「そう・・・」

 咲夜は呟くとスッと武から離れた。

「この位の距離なら?」

「お、おう。全然問題無い大丈夫だ」

 武は顔を赤くしながらそう答えた。

「そう、なら良いわ」

 咲夜はそう言った。

「それで?迷宮は決まったの?」

「迷宮?おぉ!迷宮な迷宮」

 アタフタしながら武は迷宮について説明した。

「と、取り敢えず中野にある8級迷宮に行こうと考えてる」

「私は構わないわよ」

「なら決まりだな。依頼を受けるわ」

 そうして武は依頼を受けると咲夜と共にデータベース室を出て行った。後にはチッやクソッ、リア充が、死ね等々の言葉が溢れていた。


 中央・総武緩行線に乗り二人は中野駅へと移動した。そして駅へと降り立つと420号線を下って行き中野五差路から脇道へと進んで行った。

「この辺りのはずなんだけど」

 アプリを見ながら武は周囲を探っている。

「あら、武これじゃないかしら」

 咲夜が指し示した先には渦状に歪んだ空間が存在していた。

「おっそれだそれ。さっそく行こうか」

「えぇ」

 二人は渦に触れると迷宮へと移動した。

「これは普通の迷宮型だなぁ」

石積の部屋に移動した武はそう呟いた。目の前には1本の通路があるのみである。

「じゃあ進むか」

 そうして二人は通路を進んで行った。暫く進むとガシャガシャという音が聞こえてきた為、武はバスタードソードを構えながら進む。

「スケルトン2匹!」

 武はバスタードソードを肩に担ぎながら駆け出した。

「光よ光矢となりて敵を貫け」

 咲夜の唱えた攻撃魔法が武の横を通っていき1匹のスケルトンの頭を砕いた。もう1匹のスケルトンは担いだバスタードソードを振り下ろし武が粉砕した。

 更に奥からガシャガシャという音が聞こえてきた。

「まだ居るみたいだな」

 そう言い武は駆け出して行った。奥には更に4匹のスケルトンが居たが武の攻撃と咲夜の魔法で難なく倒していった。

「まっ余裕だわな」

「あまり慢心しない方が良いわよ」

 都合6匹のスケルトンを退治した武の言葉に咲夜は忠言した。

「へへ、分かったよ」

 ニカッと笑いながら武は言った。そしてそのまま通路を進んで行った。進んで行った先には扉があり武は開ける為にノブに手を掛けたがそのまま動く事無く扉に耳をピタリと押し当てた。

 暫く耳を当てたまた咲夜にコイコイと動作を送り扉を指し示した。咲夜は武と同様に扉に耳を押し当てた。中からはヴ~ヴ~ヴ~という唸り声が聞こえてきていた。

「咲夜さんや咲夜さんや、中の声をどう思われますか?」

 扉から少し離れ嫌そうな声で武は咲夜に尋ねた。

「学校で勉強した通りならゾンビよねぇ」

 咲夜も少し嫌そうな声で答えた。

「やっぱそうだよなぁゾンビだよなぁ~、・・・・・・えぇい!ままよ!!」

 そう言い武は扉を開け放つと中へと突入していった。

 中へ入ると腐乱したゾンビが10匹おり手をブラブラとさせこちらへとユックリ襲い掛かってきた。武はバスタードソードでゾンビの首を次々と刎ねていった。

「光よ光矢となりて敵を貫け」

 咲夜の魔法が首を刎ねられたゾンビの身体の中心を次々へと射貫いていった。射貫かれていったゾンビはその場に倒れ動かなくなった。武も全部の首を刎ねると首の無いゾンビを唐竹割りにしていった。

「おらっ!こいつで最後!」

 残り1匹になったゾンビを唐竹割りにして戦闘は終了した。

「うっへ~臭っせ~汚ったね~」

 武は部屋に充満する腐臭に辟易した。

「扉もある事だし早く次の場所へ移動しましょう」

 咲夜の提案にすぐさま乗り武たちは部屋から直ぐに出て行った。

 暫く二人は迷宮探索を続けたが、通路でスケルトンと遭遇するか部屋でゾンビ又はスケルトンに遭遇するかで問題も無く探索を進めていった。

「また扉か・・・」

 武は今まで通りに扉のノブを回し開けた。その瞬間カチッと音がすると何かが武目掛けて襲ってきた。

「うおっ!」

 武は咄嗟に小手を眼前にもってきた。そうするとカツンという音と共に1本の矢が転がった。

「大丈夫!?」

 咲夜の心配した声に武は振り向き

「おぉ、咄嗟に上げた小手に当たって無事だったわ」

「そう、良かったわ」

「しかしトラップかぁ~全く頭に無かったわ」

 冷や汗を掻いた武はそうぼやいた。

「えぇそうね。これからはトラップの事も考えながら慎重に進まないといけないわね」

「あぁそうだな」

 二人は歩を進めるが今までより慎重に歩き扉を開ける時などが屈んで開けたり壁に背を預けけて開けたりと慎重を機にした。

 その甲斐もあり2度程トラップ矢があったが怪我等の問題は無く攻略を進めていった。

 暫く敵を倒しながら進むと目の前には両開きの扉が現れた。

「どうやらここが最後っぽいな」

 武は両開きの扉に手を当て開いた。中には手に剣・槍・斧・弓を構えた12匹のスケルトンが居た。

「ソルジャータイプ!咲夜、弓矢に気を付けろよ!!」

 そう言い武は敵に突っ込んで行った。

「光よ光矢となりて敵を貫け」

 咲夜の魔法が1匹の槍を持つスケルトンの頭を砕いた。その隙に武は剣を持つスケルトンと対峙しバスタードソードで敵の剣を弾くとそのまま頭を砕いた。その時、斧を持つスケルトンが武に斧を振り下ろしてきた。それを武は肩当で受け振り下ろしていたバスタードソードを切り上げスケルトンの頭を砕いた。

「光よ光矢となりて敵を貫け」

 咲夜の魔法が剣を持つスケルトンの頭を砕いた。武は弓を持つスケルトンが咲夜の方に向き矢を放つ準備をしているのを確認すると攻撃されるのも構わずに弓を持つスケルトンへと突進していった。バスタードソードを片手に構え今正に矢を放とうとしているスケルトンの頭を砕き、左手でショートソードを抜くとその隣のスケルトンの頭を砕いた。

「痛っ!」

 武は背後から斧と槍の攻撃を受けるがそれに構わず残り1匹の弓を持つスケルトンの頭をバスタードソードで砕いた。そしてすぐさま後ろに振り向きバスタードソードとショートソードの二刀を構えた。

「光よ光矢となりて敵を貫け」

 咲夜は武に攻撃をした斧を持つスケルトンの頭を魔法で砕いた。武は突き刺しにきた槍をショートソードで弾くとバスタードソードでスケルトンの頭を砕いた。残り3匹となったスケルトンは難なく二人は退治した。

「武!怪我は無事!?」

 咲夜は武に駆け寄り背中の確認をした。服が切り裂かれていない事を確認するとホッとした。

「大丈夫みいたいね、多分打ち身みはなるでしょうけど」

「おっそうかなら良いや」

 武は気軽にそう答えた。

 そして部屋の中には支柱に乗った水晶球と小さな箱が現れていた。その箱を見て武は。

「箱?もしかして宝箱。か?」

 疑問形で武はそう呟いた。

「まぁ多分、宝箱であっているでしょうね小さいけど」

 咲夜もそう答える。

「まぁ小さくても宝箱なら良い事だ。しっかしトラップが無いとも限らないしなぁ」

 武はそう悩んだが、良い事を思いついたとばかりに。

「トラップがちと怖いから蹴り開け!!」

 勢い良く助走をつけながら壁に向かって小箱を思い切り蹴りつけた。

 バガンッという音と共に小箱は砕け散り中から何かが転がり落ちた。武はそれを拾い上げると赤い宝石の付いた指輪だった。

「指輪か、取り敢えず鑑定に持っていくか」

 そういい仕舞い込んだ。

「そうだ、咲夜シャワー頼むわ」

「えぇ~」

「ゾンビの汚れと腐臭を落としたいんだよ」

「もう~」

 そう言いつつも咲夜は簡易シャワーの魔法を唱えた。

「あぁ~気持ち良い」

 武はそう言いながらシャワーを浴び、咲夜から手渡されたタオルで頭等を拭いていった。

「ねぇ武?」

 咲夜は少し甘い声を出し

「何だ?」

「私にも腐臭が付いていないか確認して?」

 咲夜はそう言い、んっと首元を突き出してきた。

「はぁ!?」

「早く匂いを嗅いでよ」

「えぇ~・・・」

「早く!」

「わ、分かったよ・・・」

 武は咲夜に文句を言われ、仕方がなくスンッと咲夜の首元の匂いを嗅いだ。

「そんな簡単にじゃなくて、もっとちゃんと嗅いでよ」

「わ、分かったよ~」

 武を息を吐き出すと思い切り鼻から息を吸い込んだ。そして何時もと変わらない甘い花の様な香りが鼻腔に満ちた。

「何時もと変わらない匂いだった!」

 そう言うと咲夜から直ぐに離れていった。

「そう変わらないのね、なら次は髪ね」

「か、髪ぃ~~!?」

「そう髪、早く嗅いで」

 咲夜はそう言うと後ろに振り向いた。

 武の目の前には長く艶やかな黒髪が見えた。しょうがないとばかりに武は咲夜の髪を手に取るとサラサラと流れる黒髪の匂いを思い切り鼻から吸い込んだ。

 匂いを嗅いだ武は咲夜の肌から香る甘い花の様な香りとは違った香りが鼻腔に充満した。

「どう武?変な匂いはしなかった?」

 咲夜が問い掛ける。

「変な匂いはしなかった!スゲー良い香りだった!!」

 武はそう叫んだ。

「そう、なら良かったわ」

 咲夜は振り返り嬉しそうな声音でそう言った。

「大体、咲夜は離れた位置にいたんだからそもそもがゾンビの臭いが移るなんて事あるはずがないんだよな。何で俺が確認しなくちゃならなかったんだよ、おかしくね~か?おかしいよな、絶対おかしいはずだ」

 武はブツブツと小声で文句をを垂れていた。

「あら武、何か言いたい事でもあるの?」

「え!?いや何でもないです、咲夜の香りをちゃんと確認出来て嬉しかったです」

 武は手をブンブンと振り何も問題が無い事を慌てて伝えた。

「そう・・・、武は嬉しかったんだ」

 咲夜は流し目で甘い声を出しながらそう言った。

「そ、そ、それよりさっさと水晶球ぶっ壊して出ようぜ」

「えぇそうね、早く出ましょう」

 二人は水晶球を砕くと迷宮を脱出した。迷宮から出てきた武はアプリを使い迷宮討伐の報告を送った。

「これからどうするの?」

「取り敢えず組合に戻って、拾った指輪の鑑定しようぜ」

 武がそう言い、二人は電車に乗って組合へと戻り3階にある鑑定室へと向かった。

「すみません。鑑定をお願いします」

 武は鑑定室にいる組合員にそう言い、指輪を渡した。

「ほい鑑定な。ちょっと待ってな」

 組合員はそう言い渡された指輪をマジマジと見つめた。

「こいつは火球の指輪だな。装着した者が火球を20発程度放つ事が出来る」

 説明を受けた二人は。

「咲夜要るか?」

「私は要らない、武は?」

「俺も要らない」

「なら組合買取でいいか?」

 鑑定員からそう言われ二人は、はいと返事をした。

「ま、買取金額は20万だ。それで良いならアプリを出してくれ」

 そう言われ武はアプリを見せチーム口座に振り込ませた。

 その後二人は20階のカフェに向かい、武はシロップ増々のアイスコーヒーとケーキ3つ、咲夜は紅茶を頼んで席へと着いた。

「8級迷宮になると臨時収入も出てくるわけだな」

 ケーキを頬張りながら武はそう言った。

「もう、相変わらず行儀が悪いんだから」

 咲夜はハァとため息を吐きながら上品に紅茶を口にしていた。

「まっそう言うなって。それより明日はどうする?」

「私はどちらでも構わないわよ武の好きにしていいわよ」

「なら迷宮に潜るとするか、待ち合わせは今日と同じな」

 武はそう言い休息を終えるとカフェを後にした。

 新宿駅まで二人で向かい駅の改札で。

「じゃあまた明日な」

「えぇまた明日」

 そう言って二人は別れた。

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