13話
半月後、武たちは7級迷宮に潜っていた。
「咲夜、今何時だ?」
丁度行き止まりになった部屋に入った時、武が咲夜に問い掛ける。
「ちょっと待って、えぇと21時過ぎね」
迷宮内では電子機器が使用出来ない為、機械式の懐中時計を持ち込んでいた。
「一度休もうか」
武はそう言いその場に腰掛けた。他の三人もそれに倣う。
暫く休んでいると武が一言。
「今日はここで休息しようと思う」
どうだろうか?と云う視線を三人に向ける。
「そうね武の意見に賛成かしら」
「うちもそれで構いまへん」
「それで宜しいかと存じます」
三名とも同意してきた。
「よし!それじゃあ薪になる物探してくるわ。それぞれ休んでいてくれ」
武はそう言い薪になる木材を探しに行った。
咲夜は水と携帯食をそれぞれ二人に手渡した。
「薫さん、今の内に補正下着を外しておいた方が良いわよ。着けっぱなしではキツいでしょ?」
「咲夜はん、すんません。そうさせてもらいます」
薫はそう言うと皮鎧を外し補正下着を緩めた。
「私も晒を緩めさせてもらいます」
朱鳥もそう言い晒を緩めた。
「ごめんなさいね。先に謝らせて貰うけど、武が凄く見てくると思うから」
少し困った感じで咲夜が謝ってきた。
「なははは」
薫は最初を思い出して半笑いだった。
「そうなのですか?まぁ見られて困るものでもありませんし」
朱鳥はそう言った。
暫くすると大量の薪を携えた武が戻って来た。
「おぉーい、大量にあったぞ」
そう言ってガラガラと薪を置いていった。そうして三人を見回すと。
「お!・・・・・・おぉ~」
薫の胸が大きく戻っている事と朱鳥の胸がボリュームアップしている事におぉと感嘆の声を上げた。
「武、武!」
咲夜が武を呼ぶ。
「お?おぉ何だ?」
「何だじゃないでしょう。そんなにジロジロ見ないの」
咲夜は呆れ声で注意した。
「お?おぉ、すまんすまん」
そう謝ると武は二人の胸から視線を逸らした。
持ってきた薪を焚べると咲夜の火魔法で明かりを灯した。
「しっかし朱鳥の言う通り炭鉱型迷宮は2日掛かりになったな。出てくる敵はホブゴブリンだけだからいいけども」
携帯食を食べながら武はそう言った。
「そうね、3層まで潜ってきたけど何処まで続くのかしら?」
咲夜は視線を朱鳥に向けながら訊ねた。
「そうですね。私の今までの経験ですと7級迷宮の炭鉱型は5層前後ですね」
「そうなると半分は潜ったちゅう事ですね。それに宝箱も二つ出たんで良い方なんですかね?」
薫がそう訊ねた。
「そうですね。炭鉱型迷宮は宝箱は比較的出易い傾向にあります」
朱鳥の答えに武はほ~んと相槌を打った。パチパチと薪の燃える音が響き渡り火の粉が舞う。
「・・・10級迷宮から始まって7級迷宮で初の野営か、何か今は良いよなぁ~」
「あら?どういう事?」
咲夜が訊ね返す。
「いやだって今は1級から10級まで迷宮の級がハッキリ別けられてる訳だろ?危険度合いがそれで判断が付くじゃないか。それを考えると昔の人たちってすげーよなぁ級も何も分からずに潜っていた訳だし」
「言われてみれば確かにそうよね。でも級が分かりだしたのもここ40年程よ?それを考えるとそれ程昔って訳でもないんじゃないかしら」
武の言葉に頷きながらも咲夜は言葉を続ける。
「40年かぁ、俺たちの親父世代だよな。確かにそう考えるとそれ程昔って訳でもなくなるのか?」
武はう~んと唸る。
「魔導監視衛星天之瓊矛が発射されてからですしね」
朱鳥が言葉を繋げる。
「あっその言葉学校の授業で出てきた」
武が反応した。
「魔導監視衛星天之瓊矛、それは宇宙から地上の歪みを検知する為に打ち上げられた衛星でその歪み度合いで迷宮の級を区分けしている。でしたっけ?」
薫がそう答えた。
「そうそうその監視衛星で北は樺太島から南は沖縄諸島を網羅してるって話だよな」
武は学生の頃の知識を頭の中から掘り出し答えた。
「そうね約40年前に第一号機が発射され5年前に第三号機が発射され精度は格段に上がったって言われてるわね」
咲夜がそう答える。
魔導、それは魔導学と云われ古くからある学問ではあるが急速に発展してきたのは電子機器が発達してきたここ80年程である。魔法と科学を一緒にした学問であり用途は多種多様である。世界一安全な発電所と言われる魔導発電所等の大型施設等があり、魔導学と切っても切れないのが。
「魔導といえば賢者の石だよなぁ~」
武が嬉しそうに呟いた。
賢者の石。中世ヨーロッパの錬金術師たちが卑金属を金に変えるや人間を不老不死の永遠の生命を与えるエリクサーだとの説が有ったが、実際は莫大なエネルギーを内包した赤い石であり、魔導学と賢者の石は切り離せないものである。
「あら、武は賢者の石に興味があるの?」
「ばっ、おめぇ~そりゃそうだろう。探検者たるもの一度は賢者の石にお目に掛かりたいものだろうが。何てったってグラム300万だぞ?300万!夢があるよなぁ」
武は興奮してそう捲し立てた。
「確かに300万は魅力的どすなぁ」
薫も武に賛同する。
賢者の石は魔導学には必須な物質にも関わらず、その量が非常に少なく高値で取引される傾向にある。
「朱鳥は賢者の石に出会った事はあるのか?」
「いえ武殿、私は一度も賢者の石を拝見した事は御座いません」
武の問い掛けに朱鳥はそう答えた。
「そっかぁ朱鳥でも無いのかぁ」
その後は朱鳥がどんな迷宮に潜ったのかやら、どんな敵に遭遇したのか等の雑談へと入っていった。
「それじゃそろそろ寝るとするか。万が一に備えて寝ずの番をする。まず最初は俺が寝ずの番をするから、交代の時は起こすな」
暫くし武は篝火に薪を焚べていきパチパチと薪が燃える音、他の三人は静かな寝息を立てていた。武は眠いのを我慢していたかというと。
(やっぱおっぱいが一番大きいのは薫だよなぁ~すげぇBigだぜ。咲夜と朱鳥は同じ位?いや咲夜の方が少し大きめかな?)
女性三人が寝ている事をいい事に胸をガン見し一人ニヤニヤとして眠気とは無関係だった。
(薫のおっぱいに顔を埋めたら凄い事になるだろうなぁ~)
武は一人寝ずの番を楽しんでいた。
数時間後、パチリと朱鳥が目を開け起き上がり武に近付いてきた。
「武殿、寝ずの番交代いたします」
小声でそう言ってきた。
「いや、朝まで大丈夫だぞ?」
武も小声で反論する。
「寝れる時に寝るのも探検者としての仕事の一つで御座います。何卒お眠り下さいませ」
そう朱鳥に言われ武は頷いて寝る事にした。
数時間後、武は話し声で目を覚ました。
「ふわぁ~、おはよう」
「おはよう武」
「おはようございます武はん」
「おはようございます武殿」
三人の挨拶が返ってくる。
「それよりも武、自分一人で寝ずの番するつもりだったの?」
咲夜が問い詰めてきた。
「うん?そうだけど朱鳥が寝た方が良い言うから寝たけどな」
武は当然の様に答えた。
「起こしてくれてもよかったのに」
咲夜はそう言ってきた。
「いえ、武殿たちは今回が迷宮内で寝泊まりするのは初めての事、私は慣れた事ですが最初から無理をする必要は御座いません。徐々に慣らしてゆけばよいのです」
朱鳥がそう答えた。
「て、事だ」
武はそう言い固まった身体をほぐしていった。
「じゃあ行くか?」
携帯食を食べ終え武はそう言った。
「武、少し部屋から出ていって」
咲夜が武のそう言った。
「何でだ?」
「女性には準備があるのよ」
咲夜はジト目で武に言った。
「あ、はい。分かりました」
武はそそくさと部屋から出て行った。
「いいわよって言うまで入ってきたら駄目だからね」
咲夜の声が聞こえてきた。
「さ、今の内にしちゃいましょう」
咲夜はそう言い薫は補正下着を朱鳥は晒を巻き直した。
「いいわよ武」
暫く待っていると咲夜の声が聞こえてきた。部屋に入るなり武は薫と朱鳥の胸を見て。
「なるほどねぇ~」
と一言呟いた。
「こほんっ」
咲夜から咳払いが聞こえ武は目線を逸らした。
「じゃあ迷宮探索といきますか」
武の号令の下、四人は迷宮を進んで行った。
道を歩いているとホブゴブリン3匹と遭遇する。武と朱鳥は駆け出しホブゴブリンに接近する。武は剣を1合打ち合わせ相手の体を崩すとそのまま袈裟懸けに切り殺した。殺したホブゴブリンを蹴り2匹目のホブゴブリンに当てる。そのまま剣を突き入れ2匹のホブゴブリンを纏めて貫き殺した。朱鳥は3匹目のホブゴブリン顔面向けて突きを放つ、そしてそのまま顔を両手で掴むと首目掛けて蹴りを放ち首の骨を折る。最後は武が止めを刺し戦闘は終了した。
「よし戦闘終了っと」
剣を鞘に納めながら武は言った。
「しかし昨日も思ったが戦闘回数が多いな」
3匹前後のホブゴブリンとの戦闘が主なため危険度合いは低いが回数自体は今までの迷宮より多くなっていた。
「そうですなぁ、うちと咲夜さんは殆ど参加してませんが回数は多いですね」
薫も武の意見に賛同した。
「そうですね、炭鉱型迷宮は戦闘回数は多くなる傾向にあります」
朱鳥がそう答えた。
武たちは迷宮を進み続け4層へと到達していた。出てくる敵は相変わらずホブゴブリンで武と朱鳥の二人で十分対処出来る相手だった。
「おっ宝箱発見」
部屋に入った時、宝箱が置かれていた。薫は慎重に宝箱に近付き罠の有無をチェックしていく。そして罠が無い事を三人に伝える。
「さてさて何が入ってるかなぁ~?」
武が宝箱の蓋を開けると中から赤い宝石の付いた指輪が出てきた。
「あれ?これって火球の指輪じゃね?20発程度火球が放てるっていうやつ」
武はそう言い皆に指輪を見せた。
「使う人いる?」
武の問い掛けに三人は揃って首を振る。
「じゃあ売りに出すか」
そう言い武は指輪を咲夜に渡した。渡された指輪を咲夜は鞄に納める。
そうして武たちは4層を探索していく。脇道が多く時間も掛かるが全ての部屋をチェックしていく。宝箱があるかどうかより敵を見逃して後ろからの奇襲に備えての事である。
「おっ下へ通じる道だな」
暫く進むと5層へ通じる道が見えてきた。四人はその道を進み5層へと侵入した。
出てくる敵は相も変わらずホブゴブリンで危険な戦闘は一度も無かった。
「朱鳥の話ならこの層で終わってもいいはずだよな」
「そうね、そろそろ終わりでもいいはずよね」
咲夜が武にそう答えた。
そして幾度かの戦闘を繰り返し進んで行く武たちは大きな空間に出てきた。
そこには鎧を着込んで剣を構えた10匹の。
「ゴブリンソルジャーです気を付けてください」
朱鳥がそう伝えてくる。
武と朱鳥はゴブリンソルジャーに駆け出していき。
「火よ火球となりて敵を燃やし尽くせ」
1匹のゴブリンソルジャーが火達磨になりグギャと声を上げながらのた打ち回る。
薫も唯一あいている顔目掛けて弓矢を射ていく。
朱鳥は剣を振り被ってきたゴブリンソルジャーを手甲でいなしそのまま背負い投げをし頭を踏みつぶした。武は剣を1合剣を合わせ2合目で相手の体を崩すと顔目掛け剣を突き入れた。
「火よ火球となりて敵を燃やし尽くせ」
咲夜の魔法により2匹目のゴブリンソルジャーの火達磨が出来上がる。
薫は4射目で1匹のゴブリンソルジャーを射殺した。
朱鳥はその間に2匹のゴブリンソルジャーを小手返しで転ばすと顔を踏みつぶしていく。武も更に1匹のゴブリンソルジャーの首を貫くと更に駆け出し剣を振り被ってきたゴブリンソルジャーの内に入り剣をやり過ごし体当たりの要領で相手を転ばし顔面目掛けて剣を突き立てる。
「火よ火球となりて敵を燃やし尽くせ」
咲夜の3度目の魔法が3匹目の火達磨を作り上げた。
そして武が火達磨になった3匹のゴブリンソルジャーを殺して戦闘は終了となった。
「ふぅ、数は多かったが何とかなったな、咲夜の魔法で大助かりだったわ」
「ふふ、そう言って貰えると嬉しいわね」
咲夜は嬉しそうに言った。
ゴブリンソルジャーたちを倒すと迷宮核と共に宝箱が現れる。薫は直ぐに宝箱に近付き罠の有無を確認する。すると罠が有る事が分かり解除を始めていき暫くして。
「もう大丈夫です」
薫がそう言ってきた。武は宝箱に近付き蓋を開けると中には古い書物が入っていた。
「本?」
武がそう言いながらパラパラとページを捲る。
「あっ!」
その時、朱鳥が声を上げる。
「どうした?」
「いえ、書物関係の物は開くと罠が発動するのもありますので」
そう朱鳥が忠告してくる。
「あ”っ!」
「武、学校の授業でも習ったはずよ?」
咲夜が呆れた声を出す。
「わりぃわりぃ、すっかり忘れてたわ。次からは気を付ける」
武は皆に謝り本を咲夜に手渡した。
「それと咲夜、シャワー魔法頼むわ」
「はいはい」
何時も通り咲夜のシャワー魔法で返り血を洗い流すと、迷宮核を壊して迷宮から脱出した。
現実世界へと戻ると14時を少し過ぎた時間帯だった。
「取り敢えず明日は休息な。俺は明日の内に手に入れたお宝と依頼を探してくるわ」
そう武が言い三人を見回すと三人共頷いた。
そして四人で駅へと向かいそれそれの電車に乗るとその日は解散となった。
その日の夜、武は風呂から上がるとスマホに着信のランプが灯っていた事に気が付いた。
「誰だ?」
武は確認すると電話してきていたのは咲夜だった。電話が繋がらなかったのか探検者アプリ内のチャットツールに言葉を残していた。「明日は私も付き合うから何時に組合にいくの?」というメッセージだった。武は「11時」と返答した。すると直ぐに返事がきて「分かったわ。なら11時に待ち合わせ室で合流しましょう。それじゃあお休みなさい」と返答がき、武も「お休み」とだけ返事をした。
次の日、武は待ち合わせ室で咲夜を待っていた。5分程して咲夜は待ち合わせ室にやって来た。
「ごめんなさい、待たせたかしら?」
「うんにゃ、俺も来たばっかだったから」
そう言い二人は組合3階の鑑定室へと向かった。
「鑑定をお願いします」
武はそう言い、迷宮で手に入れた本、指輪、宝石、杖の4品を机の上に置いた。
「では、鑑定いたしますので少々お待ちください」
組合員はそう言い、鑑定を始めた。暫くして。
「火球の指輪は20万、サファイアは50万、万理の杖は60万になります。本の方は内容を精査しなければなりませんので一時預からせて頂きたいのですが」
そう伝えてきた。
「3つはその金額で構いません。本は預け証明をお願いします」
預け証明とは鑑定に時間が掛かる場合に探検者と組合が交わす契約の事である。双方が品物の写真を撮り品物が間違いない事も確認する。
「分かりました契約書を作成するので少々お待ちください」
そして契約をし、残りの3つはチーム口座に入金し鑑定室を後にした。武は早速グループチャットに鑑定の結果を上げた。
「それじゃあ、昼飯にでもするか?」
武が咲夜に問い掛ける。
「えぇ、良いわよ」
咲夜がそう答え、二人は組合20階の食堂へと向かった。
武はアジフライ定食を頼み咲夜はペスカトーレを頼み、それぞれ席に着いた。
「武、そういえば偶には実家に戻ってるの?」
咲夜がそう訊ねてくる。
「・・・あぁ~、1回だけかな」
武はバツが悪そうにそう答えた。
「もう、もう少し実家に戻った方がいいわよ。陽市郎小父様も蓉子小母様もきっと心配してるわよ?」
武はモグモグとアジフライを口にする。
「それに雄市郎くんも紗月ちゃんも、お兄ちゃんに会いたがってるはずよ?」
咲夜の小言が続く。
「分かった。わぁ~ったから、近い内に実家に行くから」
武は根負けしそう言った。
「本当によ?」
咲夜は念を押した。
「ホントに行くから。んだよおめ~は俺のお袋かって」
最後の方は小声になりながら頷いた。
「あら何?何か言いたい事でもあるの?」
「な~~んにもございません」
武は白旗を振って負けを認めた。
「一人暮らしってやっぱり大変なの?」
咲夜が聞いてくる。
「うん?大変っつうか面倒くさいかな?全部自分でやらないといけないしな」
「食事とかは?」
「飯はカップラーメンとかコンビニ弁当、あとはチェーン店に食べに行くかな?」
「男の人の一人暮らしってやっぱりそんなものなのね」
咲夜は呆れ声を出した。
「普通そんなもんじゃねえのか?」
「薫さんも朱鳥さんもちゃんと自炊してるって言ってたわよ。してないのは武だけよ」
「うへっ」
武にとって藪蛇だった。
「う~~ん」
何やら咲夜は悩んでした。
「どうした咲夜、悩み事でも出てきたのか?」
武が咲夜に問い掛けた。
「ん?う~ん、悩み事というよりねぇ」
咲夜は曖昧に答えまだ考えていた。武はご飯を食べながら咲夜が言い出すのを待っていた。
「うん。その時になったら武にも相談するからお願いね」
「おう、何時でも相談に乗るからな」
そうして二人は昼食を終え、2階のデータベース室へと向かっていたその途中。
「おい、てめぇ大和じゃねぇか」
「あん?」
見ると身長180㎝無い位の短髪の男が立っていた。
「誰だお前」
「山下達雄だよ、忘れたとは言わせねぇぜ」
男はそう言い睨み付けてきた。
「は?覚えてねぇよてめぇなんざ」
武はそう睨み返す。
「武の知り合いじゃないの?」
咲夜が武に問い掛ける。
「あっ咲夜さん」
山下達雄はそう咲夜に声を掛けるが。
「あら、私あなたと名前で呼び合う様な仲なのかしら?」
咲夜は冷たい声でそう問い質した。
「す、すみません四ノ宮さん」
山下達雄は謝ってきた。
「大和、てめぇ何時までも調子に乗ってんじゃねーぞ」
「あん?てめぇこそ学生気分が抜けて無いみたいじゃねぇか」
二人は睨み合いを続ける。
「ちっ!覚えておけよ、あの頃の俺じゃねーからな」
山下達雄はそう捨て台詞を残しその場を去っていった。
「で、結局誰だったのよ彼」
咲夜が問い掛けてきた。
「あん?別に気にする程の奴でもねーよ」
武はプニプニと咲夜の柔らかい頬を突きながらそう答えた。
(おめぇが原因だなんて言える筈もないしなぁ~分かってんのかなこいつ)
「武、私の頬突いて楽しい?」
「楽しいぞ」
(分かってないんだろうなぁ~)
武は心の中でそうぼやいた。
「楽しいのは良いけど、時と場所は選んだ方がいいわよ?」
そう言い辺りを見渡した。
喧嘩が始まるのかと見ていた他の探検者たちがいきなりいちゃつき出した二人に。くそがっ、いちゃつくんじゃねぇよ、何考えてやがんだ等々の悪口が聞こえてきた。
「うへっ」
武は首を竦めその場を退散しデータベース室へと依頼を受けに入って行った。




