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◆継戦

「……………」

「クリフォード殿、大丈夫ですか」

「……もう任務放り出していいか?」

「"この任務はあなたにしか出来ない"という団長の言葉をお忘れですか?」

「忘れてはいないが、精神的に限界だ」

「耐えてください。この先は、そんなに"心にくる"相手はいませんから」

「そう願うよ」


     ***


「戦争終結は了解した。しかし"勇者"称号の返上は同意しかねる」

「どういうことでしょうか。"勇者"ウォード」

「今後こそ"勇者"という存在は必要と考えるからだ」

「復興のために象徴たる存在が必要ということか。ならば既に英雄たる"勇者"ブレイザーがいる」

「そうではない。今も戦闘は続いている。なればこそ国境近くに"勇者"が陣取り睨みをきかせる必要があるというのだ」

「今続いている戦闘は残党による散発的なもので、それについては騎士団で十分対処できる。もはや組織的な戦闘はない」

「組織的な抵抗は絶対起らないと断言できるか」

「その時は"勇者"ブレイザーがでる」

「そんな隙を見せるべきではないと申している。お前らがやるつもりならいつでも受けて立つぞという姿勢を見せることが大事なのだ」

「そんな態度では魔族側の疑心暗鬼を呼ぶだけだ」

「いいではないか。奴らの反抗心を徹底的に叩いて二度と抵抗する気など起こさないようにしつけるのだ」

「そんな態度では遠からずまた戦争になりますぞ。どちらかが滅びるまで戦争を続けるとでも言うのですか?」

「滅びるのは奴らだ。我々ではない」

 これは話し合いでは埒が明かない。強硬策に出るしかないな。

「もういい。話はここまでだ。ウォードよ、今よりお前は勇者ででもなんでもない。逆賊とみなす。生きてこの地を離れられると思うなよ。行きましょう、ルーイ殿」

 俺は席を立った。


「クリフォード殿、あれでよかったのですか」

「ああいうやつを野放しにしておいたらろくなことにならん。ここで始末する」

「しかし…」

「かまわん。あいつは言うことは一人前だがろくな功績もないろくでなしだ。アトラやリーヴィとは違う」

 カッカしながら騎士団の連中のところへ戻る。

「騎士団の諸君よ。これより砦の包囲を行う。元"勇者"ウォードは逆賊となった。奴らを一歩たりとも表に出すな!」


     ***


 砦の包囲は一ヶ月に及んだ。

 一月の籠城の後、連中は投稿してきた。補給を得られない状況ではこのあたりが限界だったのだろう。それに対し、ウォードは処刑。奴の部下は武装解除のうえで放逐した。終戦を迎えたとはいえ国内もまだ小競り合いは続いている。簡単には生き延びられまい。


「機会は与えた。これ以上の譲歩はアトラやリーヴィに合わす顔がない」

 そうそう甘い顔はできん。



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