表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ブツブツ君

作者: このび

また女生徒たちがうわさ話をしている。

「ブツブツ君」生徒たちの間で今はやりの噂話だ。

なんでもそのブツブツ君は体中におできのようなぶつぶつができていて、

一人で何かをブツブツとつぶやいているらしい。

しまいにはそのブツブツ君が急に殴ってきて、ぶたれたところからブツブツが増え始め

最終的には死んでしまうらしい。

いかにも小学生が考えそうな幼稚な都市伝説だった。

放課後、生徒たちが皆帰宅したのを確認し、家へ帰る。

辺りは薄暗くて肌寒い。

急に背後から誰かがぶつかってきた。振り向いても誰もいない。隠れるような場所もなければ

近くに曲がり角もない。ただの直線の道、私にぶつかってきたのであればきっと誰かがいるはずなのに

周りには人の気配がまったくしない。

少し不気味に思ったが私は特に気にしてはいなかった。

家へ着き、家族と温かい食事を摂る。風呂に入っている最中、さっき誰かとぶつかった背中に痒みを覚えた。

妻に見てもらうとなにかできものができているらしい。かゆくて仕方がない。

翌朝、食卓にはごはんとみそ汁が並んでいた。水曜の朝はパンが良いとあれほどいっているのに……

おまけに牛乳を切らしているし今日は最悪な一日になりそうだ。

家をでて少しすると雨が降ってきた。傘を持ってきていてよかった。

しかし、前を歩いている人が信じられないくらい遅いスピードであるいている。少し隅によってほしいものだ。

様々なことをぼやいていたら私はそれらを声に出していたことに気が付いた。

独り言なんて私も年を取ったな。それすらも声に出していた。

教室へ入ると生徒たちが心配そうな目で私を見ている。

それもそうだ、顔中、いや体中ブツブツだらけの私を見れば誰だって不信感を覚える。

私は人間をやめブツブツ君になったのだ。さあ、エサは目の前に沢山いる。どれにしようかな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ぶつぶつくんになったという自覚はあるんですね。本能的に分かるのかな?それとも化け物になったと気づく瞬間があったのか、どちらにせよ、ブツブツくんになったから人を襲うという思考になってしまうの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ