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校内マラソン大会で腹痛に襲われる彼女

作者: あゆてる

 あなたの彼女が危機にさらされます。

あなたならどうしますか?優しく助けてあげる?見ないふりをする?それとも、いじめる?

 季節は秋だが、冬のように寒い今日。いつもは誰もいない平日の午前中の公園に大きな人混みができている。今日はとある私立高校の校内マラソン大会がこの公園で開催されるのである。

 今はまだ集合時間までしばらく時間があるが、運動部の生徒や教員を中心に続々と生徒が公園にやってくる。友達と話をしている生徒、アップをしている生徒、各々好きなように時間を使っている。

 一部の生徒は大会開始に備えてスタート地点の反対側に位置しているトイレで心を落ち着けている生徒もいる。この学校の生徒会に所属し、成績優秀、スポーツ万能な中野なかの 美津濃みずのもその生徒の一人だった。

 だが美津濃の場合はトイレに来た理由が違う。彼女はかれこれトイレの個室の中にこもり10分以上たっている。

(うぅぅ……。お腹痛いよぉ~。)

 美津濃は腹痛に襲われていたのだ。朝早くから生徒会のためマラソン大会の準備に駆り出されていたのだ。今日はこの季節にはまれにみる寒さで、制服の下にあまりこきこんでこなかったのだ。

(こんなことならカーディガンとか着こんでくればよかったよ。便座も冷たいし。)

 いつも美津濃たちの通っている高校のあったかい便座ではない。それが彼女をさらに追い詰める。

 だが美津濃がいくらトイレでいきんでもコロコロとした便しか出てきてくれないのだ。この腹痛は何か悪いものを食べたとかそういうたぐいのものではないのだからそれもそのはずだ。

(まぁ、きっとそのうち治るよね。走って体温めればいいか。)

 そうして美津濃はトイレをあとにした。


※ ※ ※


 私はトイレをあとにしてスタート地点に戻った。朝の朝礼までまだ少し時間がある。ふと見ると私の彼氏が今公園に着いたみたいだ。

(あ、やっときた~。私は朝早くから準備してったってのに~、まったく~。)

「おはよう。今日さむいね~。」

 私が話しかける。彼も応えてくれる。今日も元気そうで何よりだ。

 それから私たちは朝礼が始まるまでしばらくゆっくりしていた。不思議なことに彼と話していると自然と腹痛も気にならなくなってきた。

 これなら大丈夫そうかも。彼と他愛のない話をしているとあっという間に朝礼の時間が近づいてきた。

「そろそろ制服からきがえないとね。」

 この学校ではマラソン大会当日でも登下校の際は制服を着用しなければならない。着替えないとといっても制服の下に着てきているのでその場で制服を脱ぐだけだ。

「じゃあ、そろそろ並ばないと。またあとでね。」

 クラスの違う彼に別れを告げ自分のクラスの列に並ぶ。


 朝礼が始まった。はじめに点呼をとり、あとは先生の諸注意などがある。

―――グルルル~―――

(あれ?また少しお腹の調子が……。)

 私は朝礼中にまた腹痛に襲われた。今度はさっきと違って、便意も一緒だ。この寒さの中で朝食べたご飯と牛乳が降りてきたのかもしれない。今思えば今日は体力を使うと思っていつもより朝ご飯を多く摂ったのが間違いだったのかもしれない。


 朝礼が終わると彼が私のところへやってきた。そのまままた他愛のない話をする。

 でもそんな私には余裕がない。今もお腹が痛くて、トイレに行きたくてたまらないから。でも彼にトイレに行きたいなんて、恥ずかしくていえないよ。

 次第に彼の言葉にも合図地を打つくらいしかできなくなってきた。そんな私の変化に優しい彼がきづいてくれた。

「え⁉えっと……実はちょっと、お腹痛くて。」

 優しい彼は心配してトイレに行ってくることを進めてくる。

「い、いや、大丈夫だから。そういうやつじゃないから。心配しないで。それに男子はもうスタートでし 

 ょ?君のスタート見届けたいし、そしたら行ってくるよ。」

 何とかごまかせたかな?ってせっかく彼が心配してくれたのに正直に言えばよかったのに、何やってるんだろう?私。

「ほら始まっちゃうよ。頑張ってね!」

 そして彼はスタートしていった。


 私は彼が見えなくなってから公演の反対側にあるトイレへと急いでいった。


※ ※ ※


 美津濃は重たい体を引きずりながらスタート地点とは反対側にあるトイレへとやってきた。

 しかし、そこには美津濃の目を疑うような光景が広がっていた。トイレ前にはほぼ全校生徒分の女子がごった返していたのだ。

 男子がスタートしてから5分。女子のスタート時間まではあと25分である。スタート前にトイレをすましておこうという風に考える女子生徒がほとんどだったのだ。

 今トイレに来ていない女子生徒は朝、美津濃と同じく朝礼が始まる前にトイレを済ませていた女子生徒や、朝からアップをして汗を流している運動部の真面目な女子生徒ぐらいだ。全校生徒の9割の女子生徒がトイレに行列を作っている。

 それもそのはずで、ここはそれほど広くない公園で、トイレはここの一か所だけ。女子トイレは個室が三つだけだ。一つの高校の女子生徒を数十分で捌けるほどの容量はない。

(う、噓ぉ~!朝来たときはこんなに並んでなかったのに。)

 美津濃はしぶしぶ最後尾に並ぶ。美津濃は男子のスタートを見守っていたせいでほかの女子に遅れをとってしまったみたいだ。美津濃の後ろには数名しか並んでいない。それもトイレに入れなかったとしても、たいして困らないような感じだ。

「一応来たけど、すごい列だね~やっぱり、行かなくてもいいか。」

 このようなことを言ってトイレを去っていく女子生徒も多い。

 美津濃より前に並んでいる女子生徒は朝一番のトイレを逃したものや、緊張で催してしまった者たちが多いようだ。

(もう!早くしてよ!こっちは緊急事態なんだってば!)

 美津濃の並んでいる場所は女子のスタート時間にぎりぎり間に合うがどうかという位置だった。


 列が進むにつれて、我慢の限界が近づいている女子生徒も増えてきた。並び始めた時は一応でもこの寒さの中、じっとしていると嫌でもトイレに行きたくなるようだ。

 中には我慢の限界になった女子生徒が男子がいないことをいいことに男子トイレの個室に入って用を足すグループもいた。美津濃も後ろの方から羨ましそうに見ていた。

―――グルグルグル~ッ―――

 美津濃を大きな便意と腹痛の波が襲う。

(あ、と……少し……。あと少しだからぁ……。)

 かれこれ20分ほど並んでいる。ついにあと一人出てきたら美津濃の番というところまで来ていた。

(やっと、やっとこの苦しみから解放されるぅ~。)

 しかし、あと一人がなかなか出てこない。今個室に参っている三人の生徒も大きな方をしているのだろか。

 ふと美津濃の頭の中にさっきまで見ていたことがよみがえる。美津濃の目の前には女子トイレがあるが、すぐ隣には青い男の人のマークが描かれている男子トイレがある。美津濃は最後尾で後ろには誰もいない。今ならこっそり男子トイレに入れるのではないか。そんな考えが美津濃の頭を支配する。

(いや、だめだ、だめだ!そんなの。)

 今すぐ男子トイレに入ればこの苦しみから真っ先に解放されるが、生徒会の一員であり、常に全校生徒の模範にならなければならないという責任感が美津濃の行動にブレーキをかける。

 それにもしも誰かに似られたら、今の彼に軽蔑されて、嫌われてしまう。そしてこれから先女の子として恥ずかしくて生きていけない。

 美津濃は必死で我慢を続けた。それにしてもトイレが開かない。

(は、早くしてよ~!)

 美津濃の前の生徒がトイレに入って数分経っただろうか。一番手前の個室から一年生であることを表す赤色のジャージを着た女子生徒が出てくる。

 美津濃もその瞬間に違和感を覚える。女子がトイレをすました後にする音がしていなかったのだ。今一年生の女子生徒が出てきた個室からはトイレを流す音がしていなかったのだ。

 一年生の子が気まずそうに美津濃に話してくる。

「あ、えっと、なんかトイレ壊れちゃったみたいで……。」

「え?どういうこと?」

 美津濃は驚きを隠せない。

「なんかわからないんですけど。流れなくって。」

「え?」

 なんでもいいからとにかく早くお腹の中にたまったものを出したい美津濃は個室の中に入ろうとする。

「あ!あの!すみません!待ってください!」

 美津濃が個室の前に立ちふさがる一年生を無視して個室の中をのぞくと個室の中はひどい有様になっていた。

「見ないで……ください……!」

 この一年生も今日の寒さにやられてしまったのだろう個室の中には便器をはみ出て下痢便が散乱している。沢山の生徒が使った後でほとんど残ってないトイレットペーパーで頑張って粘着性の強い下痢便を拭き取ろうとした跡がある。便器の中も幼い少女の中から出てきた大量の水下痢でいっぱいになっている。

「うぅぅ……だから見ないでっていたのに~……。」

 一年生の女の子はその場で泣き出してしまった。よく見るとその子のシューズや足にも下痢便が飛び散っている。

 美津濃も少々の汚れならそのまま排便してしまおうと思っていたが、さすがにこの便器に追い打ちをかけることはできなかった。もう美津濃にはこの子の相手をしている余裕はないがそれでも平然を装い、優しくしてしまうのが美津濃だ。

「大丈夫だから。ここは私が片付けとくからあなたは集合場所に戻って。」

「ぐすん、そんな、悪いですから。いいんです。」

「いいの、どうせ私まだトイレにいなきゃいけないから。早くお友達のところに行ってきなよ。高校生活 

 初めてのマラソン大会がこんな悲しい思い出で終わっちゃったら嫌でしょ?」

「うぅ……ずみません……。」

 一年生の女の子はとぼとぼと歩いて行った。

 もちろん美津濃は個室の掃除をしてあげられるほど余裕がない。ただ必死で個室が開くのを待っている。

 ようやく個室が開き、クラスメイトの子が出てくる。

「あ、中野さん。ごめんね遅くなって。私もお腹痛くって。」

「いいのいいの。私まだ余裕あるから~。」

 美津濃は笑顔でそう答えながら、急いで個室にカギをかける。どう見ても余裕があるようには見えない。

 このトイレはちゃんと使えるようだ。

 美津濃は急いでジャージ、ブルマ、パンツを一気に膝まで下げると同時に和式の便器にしゃがみこんだ。

―――ブジュジュジュジュッ―――ブビッブブブジュビビッ―――

 美津濃の肛門からものすごい破裂音がする。隣の個室に一人入っているがそんなの気にしてはいられない。

(痛い!お腹痛いよぉ!)

―――ブブビビジュル―――バババボブッ―――

 美津濃がお腹に力を入れるたびに大量の下痢便が肛門から出てくる。

(寒い。お腹痛い。おしりもいだいぃぃ……!だれか…助けてぇぇ……。)

 美津濃が左手に着けている腕時計を見るとあと3分で女子のスタート時間がになることを告げていた。

(もう、いか……ないと。)

 美津濃はまだ満足に排泄できていない。

(少し出せたし、きっと大丈夫なはず。)

 美津濃は下痢便で汚れたおしりを入念に拭き取り、トイレをあとにした。


※ ※ ※


 私はトイレに後ろ髪をひかれながらもスタート地点に来た。すでに私以外の女子は半そでにブルマの姿になっており、スタートラインに並んでがやがや話している。

「中野!どこ行ってたんだ!もう始まるぞ。早く並べ!」

「すみません。」

 おそらく私が最後だったのだろう。先生にせかされる。

(さっきの先輩……。私のせいで遅れちゃったんだ。ごめんなさい。)

 何か一年生の列から視線を感じるような気がする。

 あと1分でスタートだ。さっきのトイレですべては出し切れなかったけど、少しでも下痢を出すことができて少し楽になった気がする。これなら何とか走れそうかも。

「美津濃!どこ行ってたの?生徒会の準備?大変だね~。」

「まあ、そんなとこかな。ごめんね。心配させて。」

 ようやくスタート地点に来た私に友達が話しかけてくる。

(心配してくれるんだったら、私のお腹をどうにかしてよ。)

 私は心の中で友達に文句を言う。

 男子の先頭集団はもうすでにゴールしている。まだ彼は帰ってきてないみたい。まあいつも通りか。私も頑張らないと。


 そして私たちはスタートした。女子は約4キロのコースで、男子の半分だ。私はさっきまでの出来事がうそのように快調に走り出せた。いつも通り前には誰もいない。

「このまま走れば大丈夫。」

 息を荒くしながらもなんとか半分の2キロ地点へ到達した。

 ココで私の体に変化が起きたのだ。

―――グルル―――

 私のお腹から不吉な音がする。一瞬戸惑うがまだ腹痛もないし、たまたまお腹が鳴っただけだと言い聞かせる。

 しかし、私のそんな甘い考えはすぐに打ち壊されていった。


 それは3キロ地点に到達したときのことだった。

 さっきまでは何とか誤魔化せていた便意と腹痛が着実に確かなものになってきている。お腹に意識が向いて走りに集中できない、どころかペースはだんだん落ちていき、ついに歩き出してしまう私。

(もう無理、トイレぇ……。)

 便意の波と相談しながら走ったリ歩いたりを繰り返していたが次第に走れなくなってきた。

 後ろから走ってきた生徒にドンドンぬかされている。

「中野さん?大丈夫?そうしたの?」

「ちょっと、体調悪くて……。でも大丈夫だから。」

 ぬかされるたびにいつも先頭を走っていた私に対して心配のまなざしが刺さってくる。

「先輩!無理しないでくださいね。」

「うん。ありがとう。」

 部活の後輩にも先を越されてしまう。私はみんなに心配させないように笑顔で答える。

 でも体は正直で私に赤信号を出している。今すぐトイレに行かないと間に合わないかもしれない。でも、何とか最後まで走り切らないと、途中リタイアなんてあり得ない。

(あとちょっとなの。あと1キロもないから。)

 だんだんと歩く時間が増えていく。今走ったら全部出てしまいそう。今までの努力が水の泡になってしまう。それだけは何としても避けないと。

―――ゴポゴポゴポ―――

 私のお腹からは不吉な音が鳴り続ける。


※ ※ ※

 男子生徒は無事に全員ゴールして、女子生徒も半分以上がゴールしている。いたっていつも通りの結果だ。

 しかし、一つだけいつも通りではないことがあった。

 それは美津濃がまだゴールしていないということだ。いつもなら女子生徒の中で一番にゴールする美津濃だが今年のマラソン大会はまだ戻ってきていない。

 女子生徒のほとんどはその理由を知っている。今ゴールしている女子生徒はみんな腹痛に苦しむ美津濃の姿を見ているからだ。

 ゴール地点では美津濃の友達、後輩、そしてもちろん彼も、心配そうに美津濃のゴールを待っている。


 美津濃がゴールに姿を現したのは女子生徒の9割以上がゴールしてからのことだった。

 美津濃はみんなに心配をかけないためにゴール地点から見えない位置から走ってゴール前へやってきた。

(このままゴールして、すぐにトイレに!みんなにばれないように笑顔で!)

 全校生徒がゴール前で応援をする。

 美津濃がゴールまであと数十メートルというところでスピードが落ちた。

―――ギュルルルルルルル……グリュッ……!―――

(ッ!嘘ッ……!)

 美津濃はその場にしゃがみこんでしまう。

 その瞬間ものすごい破裂音が会場中に響いた。

―――ブブブブブボボボボボボボボボボボボボボボ!!

           ブリュリュリュリュビヂビヂビヂビヂビヂヂヂヂヂヂ!!―――

「う、ぁぁ………あぁぁぁ……!」

(お願い!でないでよ、ぉぉ。あぁぁぁぁぁ……。)

 美津濃のお腹の中にたまったマグマのような下痢便が美津濃の肛門から解放されたのだ。

―――ボタッボタッボタボタボトトトト!! ベチャッッ!!―――

 美津濃の下痢便はすぐにパンツとブルマでは抱えきれなくなりアスファルトの上へと落下した。

 美津濃はその場でうずくまり排泄を続ける。いや、止めることができないのだ。顔を真っ赤に染め、白い息を吐きながら泣いている。

 周りの生徒はあまりの光景に唖然としている。


「あと少しだったのに我慢できなかったよ~……。

                    お願い……み、みないでぇぇ………!」


※ ※ ※


 これが私が高校生の時に体験した一番のことだなぁ。周りがみんな優しい人でほんとによかったって思います。

 そんなことを話してたらちょっとうんこ行きたくなってきちゃった。私はトイレに行ってくるのでこれで失礼します。

今月のイラストには短編小説をつけてみました!いかがでしたでしょうか?

この小説から私を知ってくださった方は是非イラストのほうもご覧ください!

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