第四話 契約の儀式
「わああ!!可愛い!これが私の使い魔ね」
「まじかよ、俺の使い魔ライオネルじゃん!すげえ!」
「僕の使い魔…モールか……ってめっちゃ弱そうぉぉぉ!!!」
村の子供たち皆思い思いの感想を述べていた。ある者は歓喜、その一方で、予想外の使い魔に落胆する者もいた。
儀式では村長が子供たちと使い魔を契約させる仲介人となっている。村長が子供たちの頭の上に手を当て、召喚の詠唱を唱えることで、縁のある使い魔と契約させることができる。
先ほどの三人組のボス、ジャックが契約の儀式に臨もうとしている。
ここで使い魔が現れないとか起これば面白いんだけど、さてどうなるか。
「いよいよだな。幸先のいいスタートは僕に任せとけ二人とも、いい流れを作ってあげるよ!」
ジャックがエドウィンとロイスに向かって、余裕の表情で手を振る。相当な自信があるらしいけど、ここで天罰でも下ってくれないものか。
ジャックに対して村長が召喚詠唱を始める。
「~この者に力を与えよ。サモン!」
詠唱が終わった瞬間、青白い光とともにジャックの隣に使い魔が降臨する。
巨大な身体に鋭い眼光、その腕は凶悪なほど太く、眼前に立ちふさがるすべては破壊され塵芥と帰す……
「おおお!これは…破壊の大猩々であるか!」
村長も非常に驚いた様子でその使い魔の名前を呼ぶ。周りの人たちも結構な騒ぎになっている。
くそ、憎たらしいが運はいいようだ。バーサークゴリラとはこれまたジャックにお似合いの使い魔が現れたな。
「これが俺の使い魔か!黄金の獅子ではないけど許すっ!僕の将来は約束されたようなものだな」
エドウィンとロイスもさすがジャックといわんばかりに、自慢げな表情をしていた。
その後ジャックに続いてエドウィンはフォックス系、ロイスはバット(コウモリ)系の使い魔を召喚していた。
エドウィンに関してはまさに文字通り虎の威を借る狐だな。
「あの嫌な感じ三人組がいいスタート切ったわね。私も負けてられない!」
リズも絶対に負けられないという強い意気込みで儀式に臨む。そして眩い閃光とともに使い魔が降臨する。
目を奪われるほどの白い身体、底知れない力強さを感じさせつつも優雅な四肢、なにより纏うオーラが他の使い魔とは桁違いだった。
破壊の大猩々でも騒ぎになっていたが、さらに全身に纏うオーラがすごいリズの使い魔に村長も周りも騒然となっていた。
「これはワシも初めてじゃ…絶対守護の白虎であるかああああああああああああああ!」
村長が驚きのあまり口を塞ぐのを忘れているようだ。俺も冷静に実況をしている場合ではないんだが(笑)。それにしてもやはりリズは自分とは違う星のもとに生まれたようだ。基本魔術の素養からして何かが違うとは思っていたけど、まさかこれほどとは…。
「これって白虎!?信じられない。あれ?なんかよくわからないけど涙が出てきた」
おそらく、ちゃんと使い魔が応じてくれたこと、何よりリズのこれまでの努力が実を結んだことに安堵しているのだろう。
「すごいよリズ!これでサモナー隊も夢じゃないね。まだまだ特訓の日々が続きそうだね!」
「ありがとうレイ。でもレイがいろいろ魔術のコツとかを優しく教えてくれたおかげだよ。これからもよろしくね!」
俺は満面の笑みで親指を立ててグーサインを送った。これからいろんな強力な召喚魔術をみんなで切磋琢磨できると考えると、ワクワクが止まらない。
「これで俺たちは最強サモナー隊の一員みたいなもんだね!」
「レイ、それはちょっと気が早すぎ(笑)まだその後に選抜試験があるんだからね」
「おっ、そうだったね」
リズと冗談を言い合う。
よし、次は俺の番だな。早く俺もリズの隣に立てるようにしないと。そんな焦りと未来への希望が入り混じった心境の中、村長の前へと歩み覚悟を決めて儀式に臨む。
前世では自分の意志で動くこともできず、そしてただ利用され裏切られるだけの人生だった。この世界では、自分がやりたいことを大切に。何より自分を心から信頼してくれている人達のために。
そのための一歩として使い魔よ、俺にこたえてくれ…
村長が召喚詠唱を行う。
「~この者に力を与えよ。サモン!」
召喚陣が浮かび上がり俺の頭上で輝きだす。
そして俺のもとに使い魔が降臨―――――
―――――することはなかった。
村長が驚きのあまり間抜けな声を出す。
「えっ?」
「えって、えっ?」
俺も間抜けな声に間抜けな声で返答してしまった。
どれほどの時間だっただろうか。辺りは別の意味で騒然となり俺はこの瞬間の記憶が全くない。
こうして俺は使い魔がいない、落ちこぼれになってしまったのである。
引き続きよろしくお願いします!