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第十話 英雄の凱旋

「さて、装備もある程度はそろったかな」


バルクの鍛冶屋で手に入れたチェーンメイルに、ポーションやショートソードを収納する。


ハウンテッド・ウルフの件以来、前にも増して装備の確認には時間をかけているのだ。


次は武器も出来れば新しく調達したいところなんだけどお金もないのでしばらくは我慢だな。


ちなみに武器にも様々な魔術効果を付与することができる。鉄製の剣に魔術紋様を組み込んだり、属性効果を持つ魔物素材を武器に適用することでも可能だ。


最も加工にもお金はかかるし、強い魔物も俺にはまだ荷が重すぎる。せめて使い魔がいれば‥なんて嫌でも思ってしまう。


とりあえず、おじさんの家に戻るとしますか。そろそろポルポルも恋しくなってきたしな。


露店街を歩いていると、ちょうどポルポルの実を売っている出店があった。そろそろストック尽きそうだし調達しておくか。


店員に話しかける。


「お兄さんいらっしゃい!お好みの味はあるかい?」


「出来れば酸味が少ないやつで!」


「はいよ、あとこっちのお菓子はおまけだよ。まいどあり」


おまけにお菓子もサービスしてくれる。甘いお菓子とポルポルの組み合わせはまさに悪魔的所業と言っても過言ではない。でも太りすぎには注意だな。


買い物も終わり帰ろうとした所、大通り側が騒がしいことに気付いた。

周りから大きな歓声が沸いている。


「王国騎士団万歳!」


「王国騎士団が続く限りこの国も安泰だな!」


店員もその様子を微笑ましく見ている。


「おっ、この騒ぎは王国騎士様たちのお帰りだな」  


「王国騎士が来ているんですか?」


「お兄さん知らないのかい。ギルドで対処不能な強力な魔物が出た場合は特別にセブンラウンズの中から王国騎士が任命されるんだ。そして遠征討伐に向かうんだよ。それでこのレイヴンにも凱旋で来ているのさ」


色々と知らないことがあるもんだ。話を聞くと現状、王国騎士団はデルタ王国に7団あるらしい。そしてその総称を<セブンラウンズ>と呼んでいる。


敵との相性や危険度を鑑みて、セブンラウンズから適任の団が配置される。

第一師団が王国最強と言われており、数字が小さいほど強いと考えていい。


そして7団の師団長全員がS5ランク以上というんだから驚きを隠せない。

まさに一騎当千のエリート集団ってわけだ。


「今来ているのは第六師団だな。頭はユージーン=ブライトン師団長、使い魔はバーゲストと言われている」



ーーーーーーバーゲスト。



地獄から生まれ落ちたと伝わる黒き猟犬の使い魔である。その姿を見たが最後、その黒く燃える牙を前に逃れた敵はいないらしい。


らしい、とここで言ったのは、使い魔に関する目撃情報が少ないためである。

サモナーは基本魔術で対処可能な場合には使い魔をあえて利用することは少ない。

使い魔を利用した魔術は強力な反面、マナ消費・体への負担が大きいからだ。


店員が話を続ける。


「王国騎士団が民衆の支えになっているのは間違いないな。ただ‥あまり大きな声では言えないが黒い噂もあるらしい」


「どんな噂ですか?」


「人の噂だからあまり当てにはならんがな‥。セブンラウンズ内での権力争いで、人がいつの間にか失踪したりしてるんだと」


「それってつまりそういうことですか‥」


「まあそういうことだろうな」


あまり深く関わるとろくな目に合わなそうだ。君子危うくに近寄らずだ。

まあ俺の場合、いつの間にか巻き込まれてるんだけど。俺はnullだし巻き込まれる要素がないよな、よし!


「あとは王国騎士団とは別の話だが、最近魔物が突如湧いたように出るって噂だぜ。どっちにしろあまり景気のいい話じゃねえな。格好を見るとお兄さんも冒険者だろ?気をつけな」


おっと、これはものすごい心当たりがあるぞ?

早速俺は厄介ごとに巻き込まれたのか?

フラグの回収早すぎない?


「へぇ〜それはまた厄介な‥、忠告感謝します」


自分の運の無さをもはや恨むしかない。せめて得意な魔術構築を極めて身を守れるぐらいには強くなるか‥。


こうして新たに決意を固めて一人帰路に着くのであった。

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