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Ⅸ
明晰夢という物があるらしいが、ザックリ言うと、夢だと分かってて観ている夢?
でも、それは現実に似通っていながら違うと分かる?らしい
嫌、すごく強い自我があって、これは違うと判断できるから?
…でも、これは違うだろう?
今、自分が見ている夢は…、何だこれ?
身体は人間の上に、顔だけペラペラした漫画の顔がついている
「えっ、何これ?」
声に出るよ…そりゃ、声に出るさ
「へ?」
という声、彼女が驚いたような顔をして、笑い出す
…同じ夢を見ているのだろうか?
あれ?彼女だけは、人の顔だ…こ、これは、ラッキー!
何処かの繁華街の人混みの中
しかも、その人混みの顔だけペラペラした漫画の顔の集団
でも、彼女と自分だけは、人の顔があり、それを互いに認識できる
夢であっても、あぁ、ありがたい…
その時、彼女が辺りを見回して
「あれ…」
と、指差す
「うん…?」
指差す先にあったのは
『鬼』
と、紙に書いた顔をした奴だった
あからさま過ぎて、恐怖が
苛立ちから、怒りに変わっていくのを覚える