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Ⅷ
「ダメよ、自分自身でイメージを保たなければ」
その声は優しく、彼女にも届いたみたいだ
僕は、
目を閉じる
目を閉じて…、明るい光を思い浮かべる
それは、あれだ
子どもの頃、叔父の車に乗っていて…
それは、海水浴に行った後!
夏で暑くて、寝苦しい中、無理矢理に目を閉じていた時に映り込む、オレンジ色の光
閉じた目蓋いっぱいに広がる明るい色
それは、多分、入眠時に見る幻覚のようなものなのだろうけれど、
うつらうつらしながらも、彼女が躊躇いがちに手を繋いでくれようとしているのが分かった
柔らかく暖かく、幸せな感覚…
『あぁ、凡人で良かった…』と思う
自分は、深淵など求めていない
『夢がくる…』そう思うと、そこに広がるのは、明らかに夢の世界