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Ⅳ
夕焼けの赤い景色は、今までにも経験したことがあるのに
湿度を含んだ大気が重く絡みついて、息が詰まりそうになる
何かが違う
だいたい、いつの間に時間が過ぎた?
そして、あの遊園地がなぜ、朽ち果てているのだろう?
「何か、変…」
彼女が呟く
「怖い…」
『怖い…』という言葉が感染する
『怖い…』
怖いんだ
自分の怖さを実感すると、逃げ出したくなる
でも、
不意に、彼女の可愛い笑顔を思い出す
手を繋いで、この場所に来てくれたことを思い出す
幸せな梅雨の晴れ間…
その頑張ろうという気持ちを嘲笑うかのように
リピートされる放送が聞こえる
『…か…くれお…にのやってくる…時刻に…な、りまし…た
…よ、いこのみんな…は、…、…にか…くれましょ…う…」
逃げなければ
そう思いながら、力が抜けていく
赤い景色だけを残して、意識はなくなった