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神との闘い・③

斬撃も弾丸も無効なら、爆破と継続ダメージを与えて再生をさせない選択肢を玄森は選んだ。

紺野の言霊で確実に着弾し、身を裂き木っ端微塵にし、念入りに焼かれていることも目視できていた。

だが、神は無傷だった。


【…hr】


洛神は首を一度こきッと曲げて、呆れ顔で玄森と紺野を眺めていた。

あくまでも平静、ノーダメージという状態を見せつける。

だが超威力が全くの無駄という訳ではないようで、身体の中で燻ってほぼ無尽蔵に燻っている瘴気の量が大幅に削られているのを玄森はその目に作り出した<スコープ>で、紺野はその超能力で把握したようだ。

今の洛神のエネルギー源、存在を形作っているのはその瘴気と腐食。

それでも、まだまだ常人からしてみれば絶望的な質量が残っている、絶対に押し切れない物量ではなくなっている。


「…紺野、俺の言いてえことは分かるよな?」

「勿論」


【…sel(少々甘く) lata…(見ていた様だ)


洛神は再び瘴気でできた長槍を創り出し、左脚でトントンと地面を叩いた。


(…こっからが本番か)


目の前から、洛神は消えた。

「っとお!やっぱ速いな、お前」

背の発射口をしまう動作をしていれば、やられていただろう。

いきなり目の前に現れた…目で捉えた神の攻撃に咄嗟にブレードと盾が一体化したものを両手に作り出し、なんとか防ごうとする。


「…あ?マジかよ…」

「漆!」

洛神は先ほどの攻撃への対処で、さらに瘴気を長槍に付与していた。

玄森は完全に槍を受け止めていたのだが、そこからさらに長槍に力を流し、『ratel』による僅かな時間差に補正をかけることで玄森の得物を防がれた刹那を『超えて』破壊し、認識させることなく身を削いだのだ。


ブレードシールドが砕かれたごくごく僅かな不自然に勘付き、本能的に身を捩らせていた玄森だったが、それでも横腹がかなり抉られ、同時に背の発射口も形成維持ができなくなり砂のように塵となって崩壊していく。


「…なーんて。神でも頭に血が上るんだな」


【!?!?】

玄森は不敵に、僅かに口角を上げた。


そして、今度は神が何が起きたか理解できない一瞬が生まれた。


長槍に何か礫のような見えない何かが当たったようだが、その礫が洛神のその得物をパァン…と消し去ったのだ。


その一瞬に戸惑っている間に、なにやら強力な念力のようなもので身体を強く突き飛ばされ、強制的に玄森の間合いから反対側に叩き出された。






「サオリさん、セット」

≪…うん!≫


洛神は今ここでようやく玄森の意図を知った。

最初に洛神がこの場で恐怖を感じた人物。それを殺そうとしていたのを、彼らは足止めしたのだ。


洛神が突き飛ばされると同時に地面に倒れかける玄森が位置をずらしたことでようやくその意図は見えた。


変わらず強烈な異質を纏った男と、先ほど死にかけていた想い人によく似た女。

その二人が、玄森からやや離れた場所で、洛神に狙いを定めていた。



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