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神との闘い・②

リィエンはバグナウで手ごたえを感じても、その得物はいつの間にか腐食して崩れ去っていた。

そして、今洛神を斬りつけた玄森にも、たしかな手ごたえはあった。

一撃は確かに洛神に入っている。


だが、先刻のリィエンの腐食の理由が、紺野の言霊によって種明かしされた。

器になっている一馬の身体は、今や洛神の『実体』として完全に馴染み、同化して顕現している。

そのためもはや一般的な生物の肉体ではなく、洛神の特性である超高密度の『腐食』や『瘴気』を完全にその肉体に馴染ませその特性でもって肉体の瞬時の修復・威力の霧散を行っているようだ。


故に斬った、肉体を貫通する攻撃は直撃した瞬間に修復されてしまい、意味がないようだ。

紺野の言霊は通常通り効くのか、『ratel』によって修復速度が低下しやっとそれが目視できる状態になったのだ。


「斬撃も弾も意味なさそうだな…紺野、離れてろ」

「了解。連撃できるように言霊をかけるよ。<preste>!」

紺野はバックステップで飛びのく際に、横切った玄森に言霊をかけた。

その言葉は一瞬で小声だったものの、しっかりと彼の耳に入る。


「弾も斬撃もだめなら…これはどうだ?」

玄森は紺野よりも手前に一旦下がると、両腕と背骨をロケット発射孔のように変え、合わせて八門作り出す。

言霊により著しい速度上昇を付与されているため、普段は形成に五秒ほどはかかる大きな形質変化なのだが刹那の間に形成されている。

そしてその発射孔から、間髪入れずに無数の小さな鋭い刃がついた手りゅう弾のような爆弾を一気に連射し洛神の手や胴体、脚に叩き込んだ。


手りゅう弾は一つ一つは小さく、ピンポン玉より少々大きいくらいの直径だが洛神の身体に当たった瞬間それは爆発して更に表面に付いている刃が肉体を細切れにし、また爆発と同時にマグマのような中核が肉体に付着し残りの肉体をジワジワ蝕むという悪魔のような仕組みだ。

それが連射で無数に、肉体のあらゆる部分に無作為に着弾している。


凄まじい爆炎とマグマに包まれ、神の身体は全身が完全に飲み込まれている。

身体を完全に消し去れば、抹消も狙えるのではないだろうか?


事実、言霊で胴動体視力も大幅に強化された玄森は、着弾した際に洛神の肉体がはじけ飛び、ジワジワとマグマに侵食されていく光景を確認している。


【…del (凄まじい) woer(殺意だ)…】

爆風が捌け、その場にはマグマの残骸が残る。

神はそのマグマの後ろに、静かに立っていた。







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