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激戦開始

稲妻から形を戻した桜井の息は荒く吐かれていた。

銃創からは今だ出血も少ないとは言えず、満身創痍感は否めない。

それでもリィエンを認識した瞬間、全ての鬱憤を、怒りをぶつけるかのように桜井はまた身体を稲妻に変えてとびかかっていった。

が、リィエンも身体を白い稲妻に変えすぐに対応する。

「フン。一度見ているのだ。それは私には通用しない」

稲妻がぶつかり合った瞬間、計り知れない威力の衝撃波がむき出しになって大地を震わせる。

予め礎と高橋が下がっている場所には紺野がバリアを展開し、紺野は適当に衝撃波の隙間を縫って回避しているため無傷であるが、祠の扉が片方壊れ開いてしまったのを見てしまった。

(やばいな…)

衝撃波が収まるタイミングで、紺野は依代を守るために祠の前に位置取りに動くが、まだ桜井とリィエンは目まぐるしい速さでぶつかり合っている。巻き込まれれば紺野でも躱しきれない。

そして、当の祠からも強い力が洩れ始めている。

数十年前には何の波動も感じられないくらいで、とてもまともな状態ではなかった。

―――依代が、チカラを急速に取り戻しているのだろうか。

今は紺野だけが気づいているようだが、周囲のエネルギーを吸収せんとしている。


バチィン…!

「その程度だろうな、お前の肉体では」

桜井とリィエンの激突が終わった。

立っていたのはリィエンだった。

桜井は力なく地に伏せ、荒い息を吐くもその目の閃光は衰えない。

「くそっ…!お前の好きには、させ、な、い…!!」

「貴様はよくやったよ。細かなものとはいえ私の身体に無数の傷をつけたのだから」

リィエンも全くの無事とは言えない。その言葉の通り、軍服は焦げて開け、全身が血で覆われている。それでも言葉を紡ぐ余裕はあるようだ。

「まだ…!まだだ…!」

桜井は力を振り絞り、立ち上がろうとするがリィエンはやや哀しそうな表情を一瞬見せ、小鹿のように震えている桜井の腹をバグナウで殴りつけた。

手加減はしているのか、ただ気絶させるのが目的のようだ。

「そこで寝ていろ。そして私が世界を手に入れるその一歩を目に焼き付けるんだな!」

「グッ…!!」

力なく倒れこんだ桜井に、以外にもリィエンは頭を深く下げた。

「さて。まもなくだな。そこの軍人、お前は分かっているんだな?神のエネルギーが満ちているのが」

戦いが終わりかけるころ、紺野は祠の前に立つことができた。だが、開いた祠からエネルギーが強く吸い取られる感覚に襲われていた。


―――そして、彼女は着いてしまった。


<目標、視認。サオリ、そこにいる者どもを祠を傷つけず能力<業火>で殲滅せよ>

『…』

「あれは…あの時の…」

先に気づいたのはリィエンと高橋だった。

「白藤…さおり…!?」

気づいたはいいものの、空高くにいる対処する術はない。

すでにサオリはないはずの左手で人の頭ほどの大きさである超高温火球を作り上げているのだ。

<発射>

芹馬がそう言葉にすると、サオリの手からレーザービームのような火の熱線が大地に紺野たちに放たれた。




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