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芹馬の私邸

芹馬からのメッセージを受信してまもなく、入れられている牢の前に看守が現れた。

「礎ミナミ。迎えだ」

なんの抑揚もない声と、憐れみと嘲笑を含んだ歪な真顔を携えて看守は乱暴にロックの解除された格子を横に開けた。

「早く出ろ。貴様の態度は気に食わなかったんだ。…ざまあみろだ、ハッハッハッ!」

看守は任務で礎がここから出されるのを知らないようだ。

牢から出されるということは、まず生きてこの場に戻れない。案内される場所は処刑場だ。

罪状に応じて処刑方法は変わる。罪が重ければ苦痛の度合いが高いものになり、例えばその罪が国家を揺るがすレベルの罪ならば焼死という手段が取られる。

礎自身も、処刑場が勤務場所になっていた時期もあった。

日々何かしらの執行は行われていたが、特に何も感じることはなかった。

命乞いをする囚人も多いが、刑は厳粛に執行される。

変わることはないのに、といつも冷淡にその光景を眺めていた。

だからこそ、そのルールから外れた玄森という男が憎かった、という気持ちも抱えていた。

それと同じくらい、柳の哀れさにどうしていいかも分からなかった。

柳の遺骸を芹馬主導で回収するということは、また彼女は復元され、利用されるのだ。

芹馬は、柳の人格がどうであろうが処置をする際にいくらでも従うようにできる。

そして彼が個人の私財を投じて研究したことにより、身体のほんの一部があれば、相応の時間はかかるが人体を復元することが今の二ホンエリアでは可能となっている。

「貴様は確実に焼殺だろう?精々苦しんで逝け!」

ダイレクトに言葉をぶつけてくる看守の姿を見て、檻から出た後に一度だけフッと笑い残すと、看守は心底不快そうな顔をして中指を立てた。

迎えは芹馬の直属兵士二人だった。厳ついガスマスクをつけており、顔は分からない。

通路を抜けた後、兵士は礎に目隠しをつけて左右に立ち腕を掴んで、無言で監獄棟の中を進む。

どこを歩いているのかは分からないが、しばらくして外に出たことは風が頬を撫でたことで気付いた。

押し込むように車?に乗せられ、走ること10分くらいだろうか。

引きずられるように降ろされ、目隠しが取られる。

太陽の光が一気に目の中に入り、しばらくまともに開けられなかったが、慣れてきて見えたものは

やや郊外にある城を基調とした豪邸だった。

大きめの表札には筆字で『芹馬』と書かれており、人の背丈の倍はある門には大きな鉄の柵がそびえ立っている。警備員は使っていないようだが、門の辺りをみるだけでも侵入者を容赦なく殺すレーザー設備が夥しい数で備え付けられていた。

兵士がストレスカウンターを操作すると、門が重厚な音を立てて開いた。



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