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湯神と崎下の対峙

大変遅くなりました。

家業が落ち着いたのでまた更新していきます!

(白藤さんの…能力か?)

周囲をただ漂っていた淡い粒子が付き出された右手に集中して集まっていく。

粒子が集まるだけ集まって右手に吸収されると、サオリはグッと時空の切れ端を掴み、旗を大きく翳すように引きはがした。まるで卵が綺麗に割れるように、縦割りに島全体の空間が『あの時』に戻る。

引き剥がされた空間の中央では、ドリームスペースで見た湯神という黒ずくめの青年と、若き日の崎下と思われる人物が対峙していた。


『グァルネリ、貴様を廃棄する。ここで貴様と一戦交えれば、私の野望は完成する』

『何を言ってんだかよくわかんないが…上戸拝、お前の思う通りには絶対に動かない』

臨戦態勢に入った湯神から、強い歪みが発生しているのだろう。時空が違うはずの詠斗も足を取られるような気がする。

『くたばれ』

空気が歪み、重力を伴った空砲のようなものが崎下へ放たれるが、崎下もただ右手をその空砲に構えるだけで避ける動作を取らなかった。

何故?と思っていると、その右手に空砲が吸い込まれていった。

『ほう、やはり<アナスタシア>を殺すだけはある』

不満そうに首を傾げる湯神に、崎下は右手でピースサインのように二本指を突き出し、何やら狙いを定めている。

『<ニ増幅(ダブル)>』

湯神が放った歪みの空砲が、倍くらいの大きさと威力・速度になって打ち返された。間違いなく直撃はしたものの、湯神は全く答える素振りを見せない。だが、威力以外同じ能力を返されただけに驚きはかくせないようだった。

(間違いない父さんも…能力者。上戸拝は…間違いなく父さんだ)

『私の能力は<増幅>。取りこんだあらゆる力を倍増して放つことができるのさ』

上戸拝と崎下が同一人物であることは情報では知っていても、殆ど信じていなかった。

詠斗の中の崎下は、穏やかな顔を崩さず、肉体的にも心的のにも力強さに欠けた物静かな男のままだった。

だが、ここで見ている崎下はまるで違った。湯神を前に紅潮とギラつきを隠せず、邪悪に笑っていると言ったほうが正しい。これが本当の父なのか。

二人の戦いはイタチごっこだった。湯神がどれだけ兄弟な能力を放っても、崎下は全て吸収し、倍増して返す。だが最大の10倍増しの反撃を食らっても、興奮している湯神が纏っている歪みが相殺してダメージを与えられない。

肉弾戦もそれほど実力に差がなく、能力戦と同じく互いの攻撃の威力を潰すため、相手を倒すことができないでいた。

『仕方がありませんね。特別ゲストをお呼びしましょうか』

崎下はストレスカウンターからモニターを起動させ、ある映像を映した。

白藤が軍人に乱暴にカプセルに押し込まれている。

『白藤さんはあくまでも、実験体ですから』

ニタっと笑い挑発すると、真に受けた湯神はまんまと激昂する。詠斗からしてみれば安い芝居に見えた。映像に映っていたカプセルの横にある機械には、行き先が『ツク孤島群』と書かれていたのが見えたからだ。

湯神の歪みが、一層強くなる。

『許さねえ…!白藤に手を出すな!」

島中心部が激しく歪んでいたのはこの時発動された歪みだったのだ。l

待っていましたとばかりに、上戸は右手を構える。これを吸収しきれば、最強の能力が手に入る。

これ以上の怒りは、湯神は抱けないほど今憤っている。

そう目論んだ崎下だったが、予定外のことが起きた。

能力が吸収しきれず、上戸の周りに受け流したはずの歪みが左手にあたりねじ切るように破壊された。




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