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急襲

気持ちの悪い波動のようなものは、不規則に周波を放っている。

弱まったかと思えば心臓マッサージをしたようにドクンと全身の血液を流動させたような強い不快感を放っている時もある。

どう捉えても、全身の毛が逆立つような騒めく不快感であることは変わりがないが、一体この波動はどこからきているのだろうか。

「こっち、エイト」

サオリは人差し指をエレベーターの方へ向けた。

「この上から、変なの感じるの」

『行ってみたい』とサオリは言うが、勝手に彼女をこの空間から出すことはできない。それにこんな気味の悪い波動を放つものにサオリを会わせたくもない。

「サオリさん。僕でも分かります。これは関わってはいけないとね」

詠斗が釘を刺すと、サオリは納得しきってはいないがエレベーターから離れて具現化したベッドにちょこんと座った。

「…私からはいかない。だけど、その人ここに近づいているみたいだよ」

エレベーターのパネルを見ると、確かにゴンドラが真っすぐこのフロアの近くまで降りてきている。内心詠斗は慌てていた。エレベーターは一基しかない。同時進行で移動することは不可能だ。

あとはどこかにサオリに隠れてもらうしかないが…。

「サオリさん、この空間を真っ白にすることはできますか?」

「最初の状態みたいな感じ?できるよ!」

「ちょっと真っ白な世界で隠れていてほしいんです。ここに来ようとしている人から隠れた方がいいかなと思って」

正直に考えを伝えると、サオリは素直に頷いて即座に空間を最初の真っ白な空間に変えた。

サオリの姿は壁と一体化し、視認できなくなっている。

「声を出したらだめですよ。僕が良いと言うまで」

「うん」

口約束をして体制を整えるとほぼ同時に、エレベーターの扉が開いた。

現れたのは、一人の若い女性だった。

眼鏡をかけ、ポニーテールにした茶髪が印象的だ。

だがそれ以上に、出会いがしらに微笑んだ彼女から放たれるオーラに当てられる。

あの不快な波動は、この女性から放たれていたのだ。

「初めまして☆」

「ここは関係者以外立ち入り禁止エリアですが…貴方は何者ですか?」

女性の顔は不気味なほどニコニコと笑みを携えているが、その目は笑っておらず虚無が写っている。

「へえ…ある程度出してるはずなんだけど、貴方は動じないのね☆やっぱり不思議な人っているのね~」

出しているというのは、このオーラ…気持ちの悪い波動のことだろうか?対面してからその波動の不快度はうなぎ上りなのは事実だ。

「じゃあ、これはどうかな?」

()()()()()()()()。そう察知した詠斗は直感的に身体をやや右に捩らせた。

「へえ、避けれるんだ!すごいすごい☆私、何をするかなんて言わなかったのに!」

女性の右手には、黒く禍々しい気の塊を凝縮した刃が作り出されていた。

体をずらしていなければ、あの刃が首を切り裂いていただろう。冷や汗が出る。この女性は一体何者なのだろうか。

「私はクローデル。ここに妙な脈動を感じたから来てみたの☆でも、来る途中でその鼓動が消えちゃったのよね~。アナタ、何か知らない?」



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