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戦闘は一瞬

戦艦のハッチからワラワラと軍人たちが出てくる。

何が起きたのか理解できておらず、生命の危機を感じているのか統率が取れていない。

狭い出入口から我先にと押し合って出ようとしていた。

「全員出揃ってから、まとめての方がいいよねー!試したいこともあるし☆アナタ…名前聞いてなかったね、なんて言うの?」

「…玄森漆だ」

「ウルシ?変わった名前ね☆年も近そうだし、ウルシ君って呼ぶね☆よろしく、ウルシ君」

『ウルシ君』と呼ぶその口調は、記憶の中の柳と全く同じで感情が揺さぶられる。

柳は、玄森のことを覚えてすらいなくなってしまったのだろう。

「ウルシ君も何か力を持ってるんでしょ?どんなチカラ?」

「…」

柳の問いに、玄森は無言で両手をブレードや銃に変えた。

「身体を武器にできるんだ!いいなあ、それなら手ごたえがいっぱいありそう☆」

喜ぶ柳の喉元に、玄森はブレードの切っ先をスレスレまで突き出す。

本来なら命の危険を感じて多少怯えるはずだが、柳はますます歓喜に満ちた、恍惚とした表情を浮かべる。

「…静かにしてくれ。アンタの声は、俺には喧しくてしょうがない」

「ああ…やっぱりアナタも魅力的☆その真っすぐな瞳…とても良い」

意思疎通ができないのか?と思ったが、柳はブレードからそっと身体を離し、『分かった』と笑うのだった。

そんな話をしている間に、軍人たちは概ね戦艦から出てきたようだ。

「私の試したいことは結構生身の人間には危ないから、私の後ろにいた方がいいよ☆時々処理できない人がいると思うから、ウルシ君はその人たちを斬って☆」

柳の能力は概ね知っている。人の気を狂わせるのだから、確かに巻き添えを嫌っては意味がない。

素直に頷き、柳の後方にブレードを構えて待機する。

エウロパエリアの軍人たちは総じてやや長身で、二ホンエリアの軍人よりも体形がゴツい。

皆マシンガンやライフルなどの銃を携え、既にこちらに向けて構えている。

戦艦墜落の動揺を必死に隠し、平静を保とうとしているのが丸分かりだ。

「じゃあ、やろっか☆」

柳の戦闘態勢を見て、敵の兵士たちはまだ墜落の原因を玄森たちとは思えていないようだが、肌の色で敵だと判断し咆哮を上げた。

「WRYYYYYY!」

銃弾が縦横無尽に発砲されるが、柳を狙った弾は全て空間が捻じ曲がるほどの瘴気で着弾する前に落とされる。

「行くよ☆」

弾が届かないことに驚いている敵軍に、柳はその軍隊全てを包む瘴気を繰り出した。

「<発狂型>…☆」

柳がそう呟くと、瘴気の濃度が目で見ても分かるくらい跳ね上がる。禍々しすぎて草原の草木が枯れているのだ。

「WH,WH!?!?!?」

「KILED…!」

大多数の軍人が胸を掻きむしり、もはや戦闘にならない。それでもごく少数、正気でいられる兵士たちは瘴気に冒された軍人を置いて近距離戦に持ち込もうと行進してきた。

「あとはよろしくね☆」

「了解。食らいな、<連式(ガトリング)>」

玄森は両腕をガトリング砲に変え、突っ込んできた残りの軍人をハチの巣にした。

「…これで全部だな」

「そうねー☆お疲れ様☆」

後は戦艦の方だ、と思って顔を上げると、止めとばかりに永瀬が艦隊全てを鉄屑に変えていた。

「やっぱりえげつないな…」

玄森の能力では、そんな簡単に戦艦は壊せないだろう。

永瀬の能力の強大さに冷や汗をかいた。


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