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破壊力×引力

サングラスに隠れていて目つきが見えなくても、威圧的なオーラが醸し出されているのが分かる。

柳は永瀬を見るやピョンピョンと飛びつこうとするが、彼が顎をクイッと小さく上げると足を取られたように大きく転倒する。いや、させられたのだろう。

まるでコントのように転んだ柳はニヤリと笑って起き上がり、『とても、ステキ』と呟いた。

「今は情勢が逼迫している。軽々しい態度は尊厳も失わせるぞ、<クローデル>」

顔色一つ変えずサングラスの端を小さく上げる永瀬に、柳は妖しい笑みを浮かべた。

情勢の逼迫と聞いて、玄森はプレスキーエリアでのことを思い出す。

蟻の軍隊のように、殲滅を目的とすれば命を厭わず突っ込んでくる兵士たちは、今の温い二ホンエリア軍人には厳しい相手だろう。

「任務はエウロパエリア軍の制圧だ。プレスキーエリアの息がかかり、エウロパエリアの軍隊が暴走させられて我がエリアに侵攻しようとする動きがある。貴様らの能力を試すため、今回は三人での防衛線。戦地はチベル平野だ」

今回もあの男が絡んでいるようだ。

「行くぞ」

永瀬は直径10mほどの転送陣を展開し、三人まとめて転送にかかる。

光が収まると、永瀬達はだだっ広い草原の中に立っていた。

今のところ、見渡す限り平坦な草地と青空が見えるだけだが、本当にここにその軍とやらが来るのだろうかと疑いたくなるくらい閑散としていた。

「暫し待て。まもなく上空を通過するだろう。恐らく何艇か戦闘艇でくるはずだ。私の能力で全部ぶち落とす」

永瀬がそう言ってまもなく、草原に暴風が抜けていく。

空の中に、巨大な戦艦が10艇現れて悠然と水色の世界を航行している。

「いっぱいいるのかなあ☆全部私がやっていい?ユタカさん☆」

「やれる限り、取っていい。やるなら徹底的にだ」

永瀬はサングラスを右手で掃うように外し、戦艦の飛ぶ位置を凝視する。

ひと際輝きの目立つ朱色の右眼には、なにやら幾何学的な模様が浮かんでいた。

「<超重力(テオ・グラビティ)>」

永瀬の両目がカッと見開かれると、10艇の戦艦は瞬く間に草原に叩きつけられた。

あまりの速さに、玄森も何が起きたのかすら分からない程だ。

衝撃で戦艦の底はひしゃげ、黒い煙をモクモクと立たせている。

「来るぞ。対外兵器はすべて破壊する。お前たちは中の人間を」

「オッケー☆」

圧倒的な永瀬の能力に驚いていると、背中を小突かれる。

「早く行け、馬鹿者」

「お、おう…」

柳は既にかなり戦艦に近づいている。自分も後れを取っている場合ではない。

軍艦からは兵士がワラワラ出始めている。

やるか、と玄森は気合を入れるのだった。




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