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芹馬と桜井

従者と芹馬は桜井が起こした風圧に吹き飛ばされ、無様に床に倒れ込んでいた。

放電された電力が静電気となり、未だバチバチと火花と音を立てて空気中を飛んでいる。

「桜井…司令官」

「行って。早く」

桜井の顔つきは冷めていて、助けた詠斗に視線を向けずに芹馬のことをジッと静観していた。

詠斗の身体をポイと投げ出すと、後ろ手でシッシと手を払う。

「…ありがとうございます」

詠斗は頭を軽く下げ、エレベーターに乗った。

「桜井司令官、どういうつもりだ」

芹馬はしばらく何が起きたのか理解できないでいたようだが、必死に頭を巡らせ目の前に桜井が立っていることで、邪魔をされたことを理解した。

憤怒の表情で桜井を睨みつけ、従者二人も戦闘態勢に入れるように立ち上がり身構えている。

「貴方がやっていることは、高官として認められない行為ですので」

高官の意を示せるのは、高官全員の意見が纏まったときだけだ。

個人で計画に関与することは禁じられている。

芹馬は兵器の開発に関する権限を持っていると言っていたが、柳はともかくサオリの事はまだ報告していない。彼女は今のところ検査を受けている只の一般人だ。

「地下に隔離している存在は、上戸前司令官が遺した人間兵器だろう?兵器を担当する私にも関与する権限がある。私を出し抜けると思っているようだが、そうはいかないのだよ若造が」

芹馬は床に倒れた際に腰を強く打っていたため、立ち上がるときに腰を擦っていた。

顔つきは憤怒と虚を半々にしたような胸糞悪い表情だ。

今すぐにでも殴りたいくらいだが、制約がある。桜井は憮然とした表情で芹馬を見ていることしかできなかった。

「人間兵器、そんな存在はご報告している者しかおりませんが」

実際、桜井も直接サオリ本人の能力を見たことはない。

報道を賑わせた、有翼人としての写真しか見たことがないのだ。

能力者としての力が未知数であることも事実だ。

だが、芹馬はハッキリと『上戸前司令官が遺した人間兵器』と言った。

「伝手でブラックメモリーキューブを回収したのだよ。我が一族の解析班に渡したところ、50年前の奇跡を起こしたあの女のクローンがいると記されていた」

「…!」

純黒のメモリーキューブが流出していたのを知って、桜井の顔色が一気に悪くなる。

「確か数か月前に話題になった有翼人。あの記事の写真と白藤さおりの顔はほぼ一緒だったのを思い出してな。そして、貴様が庇ったあの研究員は上戸前司令官の養子だろう。何も知らないわけがない」

そして、と芹馬は邪悪に笑う。

「そのクローンは、数多の能力や兵器を発現できるというではないか!」



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