表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/15

八話

「ニアッ!」


 しっかりと気合いを入れた僕は、ニアたちの元へと飛び出す。


「ビー……。なんで出てきたの……」


「ごめん、ニア。だけど、「僕一人」でもやれることはあると思って」


「……仕方ないなぁ。ビーは、村長をお願い」


 ニアのその言葉に頷いて、村長に駆け寄る。口の中を切ったのか、血が出ている。そうとう本気で殴られたらしい、気絶してしまっている……。


「オイオイ、いつもの生意気なクソガキがいねェな」


「一人だけ逃げたんじゃねェか?」


「お嬢ちゃんも、怖かったら逃げてもいいぜェ。ま、そうしたら二度と依頼を受けてはやんねェけど!」


 こいつら……。


 完全に僕たちを見下している。ここ最近までは、こんなあからさまに態度には表さない人たちだったのに。なんで急に……?


「依頼は、出されていないはず。なんでこの村にいるの……」


「それだよ! 依頼が出てねェのがおかしいんだ! もうそろそろ出ても良いはずだろォ!」


「……どうして、そんなことが分かるの」


「……そ、それは。あれだよ! ここ最近は、一ヶ月ぐらいで依頼を出してただろ! もう前回から一ヶ月過ぎてるのに、なんで依頼がねェ!」


 なんだろう、なにか引っかかる。


 たしかに、ここ最近は一ヶ月ぐらいで依頼を出さないといけないほど、モンスターの被害が増えていた。今回は、単純に被害が出てないから依頼を出してないだけ……。そんなの、考えなくても分かるはず……。


「じゃあ、なんで村長を殴ったの? このことを、冒険者ギルドに報告すれば、あなたたちは冒険者としての資格を剝奪されるはず」


「……くくっ。そうだな……。別にいいぜ、報告してくれても。そうしたら、もうどこのパーティもこの村からの依頼を受けなくなるだろうな」


「……そう。別に、これからはそれでも構わないから。今なら見逃してあげる。大人しく帰って」


「……は? 言ってる意味、分かってんのか? こんな村の依頼を、どこも受けなくなったら、この村は終わりだぜ……」


 残念だけどこれからは、それを僕たちが受ければ良い。だから、もうこの冒険者パーティに受けてもらう必要はない……。


「別に、あなたたちにはどうでも良いことでしょ? 帰って」


「……オイ、さっきから調子に乗りすぎじゃねェか? ちっとは可愛いから見逃してやってたが、もうただじゃ済まさねェぞ……」


「……調子に乗ってるのは、そっちのほう。私はちょっと可愛いんじゃない。超絶、可愛いから」


 ニア、自分で言っちゃうの……?


「そうか、そうか……。ならその帰って顔、ゆがませてェアブッ……!」


「近寄らないでくれる……? せっかく今の私は、ビーの匂いに満ちてるの。あなたたちの、悪臭が移ったら嫌だから」


 ニアに、近づいていこうとした冒険者の一人は、氷の鎖に足をとられて顔から地面へと倒れる。そして、鎖から徐々に足が凍っていってる。


「なっ!! こいつ、なんで魔法をつぅぶっ……!」


「口を開かないでくれる……? 口臭、キツイから」


 おぉ……。口に、氷の鎖が突っ込まれている……。


 ニアは、まったく容赦がない。ブリッツと戦っていた時には、まったく本気じゃなかったんだ。これ、もしかしたら僕はいらないかも……。


「くっ! ほのぉぉぉぉおおおっ……! 冷たい! 手が! 手が!」


「魔法とか使おうとしないでくれる……? なんか臭いから」


 ニア、もうそれはただの臭い人でしかないよ……!


「あ……? あれ……? 嘘だろ……。こんな、あっという間に……」


「もう、三人やったから、全員潰しても一緒だよね?」


「そ、そうだね。うん。良いと思う。ニアのお気に召すままに……」


「い、いや……! やめて……! それ以上近寄らないで……! あ、いやぁぁぁあああんっ……!」


「……きも」


 なんか、最後の一人だけ反応がおかしかったな……。なんでかは、僕は知らない方が良い気がする……。


「……結局、ニアだけで良かったね」


「そんなことない。ビーが来てくれた時、凄くかっこよかった」


「そ、そう……? これでもけっこう、勇気を振り絞ったんだ。実は」


「うん。とっても可愛かった……」


「そ、そうかな……? あれ……? 可愛かった……?」


「ビー。それよりも早く、村長を起こそう」


 なんだか釈然としないけど、そっちが先だよね……。


 とりあえず村長を起こして、この冒険者たちをどうするかを聞かないといけない……。


「ビー……。あれ……」


「ん……? あ……」


 ニアに呼ばれて、指差している方を見る。あれは……。


 どうしよう、ブリッツだ……。他の人をたくさん呼んでくれって頼んでいたけど、もう解決しちゃった……。


「待たせたな、おまえら! 強者は遅れてくるんだぜ! あれ……?」


「ごめん、ブリッツ。もう終わっちゃった……」


「バカッツの出番はなし。無駄な労力、ご苦労様」


「……ビー、嘘だろ……? 俺、かなり声かけまくったぜ……」


 ごめん……。ほんとに、ごめん……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ