表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/15

十一話

「よぉ! 遅かった、な……? どうした、ビー。なんかやつれてるぞ」


「うん……。ちょっとね……」


「……満足」


 やっと街についた……。正直、かなり危なかった。


「そうか。まぁ、深くは聞かねぇけど。それより、早くメリーナに会いに行こうぜ!」


「……そうだね。全然、それよりじゃないけど、そうしようか」


「なら、冒険者ギルドで聞いた方が早い。ついでに私たちの登録も済ませれば一石二鳥」


 そっか、登録とかもしないといけないんだよね。でも、冒険者ギルドにメリーナの居場所を聞いて、教えてくれるのかな……?


「よーし! さっそく出発!」


「あ、ブリッツ。先に街へ入る受付があるから」


「……そうか。仕方ねぇ」


 やる気を空回りさせたブリッツの背中を押して、僕たちは街へ入る為の受付に並んだ。


 僕たちの前には、真っ白な服で身を包んだ、綺麗な男性が並んでいる。なんだか、凄く鮮やかな金髪で、男性にしては長めだな……。


「……キミ、さっきからなにか?」


「あ、すいません! その凄くカッコイイなって思って」


 どうやら僕が見つめていたことに気づいていたみたいだ。


「……キミ、名前は?」


「あ、ビーです」


「ふむ。……どうだろう、ボクは立派な男に見えるかな?」


「えっと……? 凄く、中性的な男性に見えますね。女性みたいに綺麗だと思います」


「やはりそうか……」


 真っ白な服の綺麗な男性は、僕の答えが望んだものじゃなかったらしいのか、落ち込んでしまった。


「ビー、おまえ誰とでも話せるよな。……俺はブリッツ。あんたは?」


「あぁ、これは失礼。ボクはサフ……。うん、ボクはサフィーだ」


「……私はニア。貴方、ほんとに男?」


「やはり、男には見えないか……?」


「悪いけど、私には男装した女にしか見えない」


 あぁ、言われて見ればたしかに。もう一度、しっかりと見てみると、男装した女性だ。


「そうか……。キミたちは冒険者か……?」


「いえ、今から冒険者になるところです。サフィーさんは?」


「あぁ、ボクは冒険者なんだが……。キミたち、出会ってすぐでなんだが、ボクの頼みを聞いてはくれないか……?」


「頼み、ですか……?」


「あぁ、ボクをキミたちのパーティに入れてほしい」


 僕たちのパーティに……? なんでわざわざ、僕たちみたいな、今から冒険者になるっていう新人以下にそんなこと頼むんだろう?


「……そんなこと頼んで、貴女にどういう利があるか聞いても?」


「……実は、ボクは色々と理由があって、パーティを組んでもらえないんだ。決して、パーティに迷惑はかけない! 一時期でもいいんだ!」


「……二人とも、どうしよう?」


「私は反対。理由は言わなくても分かるはず……」


「俺は別にいいぜ。先輩冒険者なら、分かんねぇこととか、教えてもらえるだろうしよ」


 おぉ、珍しくブリッツが的確な意見を出した……。


 ニアの理由は、たしかに言われなくても分かる。僕もよく知らない人とってのは、気が引ける。でも、なんだかサフィーさん。ほっとけない感じなんだよなぁ……。こう、小動物みたいな……。


「僕は、良いかなって思うけど。ニアがダメなら、ダメでいいよ」


「……私はビーが良いなら」


「んじゃ、決まったな。そういうわけだ、サフィー」


「……あの、ダメもとだったんだけど。キミたち、随分とお人好しだね」


 サフィーさんは、驚いた顔でそう言う。まぁ、普通なら僕たちも断っていたんだけど。


「そんな、ほんとに困ってますみたいな顔されっとなぁ……」


「……涙目があざとい。あまりビーには、近寄らないでほしい」


「なんか、森で「転がリス」を見ている気分になるんだよね……」


「キ、キミたち……。ありがとう! ボク、きちんと役に立つよ! 戦闘のことから、冒険者の礼儀までなんでも聞いて!」


 なんだかんだで、冒険者について僕たちは詳しく知らないから、助かるところもあるし。


「あ、じゃあ。さっそくで悪いけどよ、メリーナって知ってるか?」


「メリーナって、あのメリーナ?」


「あのメリーナは、あの美少女のメリーナしかいねぇよ」


 いや、世の中にはメリーナって名前の人もたくさんいるから……。


「ノーマ村のメリーナでしょ、ボクは友達だよ?」


「おぉ! そのメリーナは今、どこにいるか知ってるか!?」


「うん、知ってるよ。三日前に王都に向かったからね」


「……あ?」


 え、メリーナはこの街にいないの……? というか、王都に向かったって、どうして……?


「なんか、どっかの有名なパーティに誘われたとか、なんとか言ってた」


 それじゃあ、僕たちはメリーナと一緒に、パーティを組めないってことになるんじゃ……。


「ふ……ふ……。ふざっけんな……! どこのどいつだ! 俺の可愛いメリーナを、王都なんかにさらった奴は!」


「……ねぇ、ビー。なんでブリッツは怒ってるのかな?」


「メリーナは、ブリッツの妹なんだよ」


「え……? ブリッツが……? ビー、ボクを騙そうとしてる?」


 いえ、アレでもメリーナの兄です……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ